野菜の病気図鑑〜そうか病・粉状そうか病編〜【畑は小さな大自然vol.55】

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野菜の病気図鑑〜そうか病・粉状そうか病編〜【畑は小さな大自然vol.55】

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野菜の病気図鑑〜そうか病・粉状そうか病編〜【畑は小さな大自然vol.55】
最終更新日:2019年10月08日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。ジャガイモを収穫するとかさぶたのような出来物が表面にできていることがあります。

そうか病と粉状そうか病

左側の2つがそうか病を発症した芋

そうか病と粉状(ふんじょう)そうか病は特にジャガイモに起こりやすい病気で、芋の表面にかさぶたのようなブツブツができる病気です。収量にはほとんど影響しませんし、皮をむけば普通のジャガイモと同じように普通に食べられるのですが、見た目が悪くなるため商品化ができず、農家にとってはとても深刻な病気です。しかもそうか病が一度発生した畑では、それ以降も発生しやすく、根本的な対策の難しい病気の一つです。

そうか病と粉状そうか病の症状は似ているのですが、それぞれ病原体が異なり、発生しやすい環境も異なります。正確にどちらなのかを判別するのは難しいケースもありますが、それぞれの大まかな特徴を知っておくと対策の役に立ちます。

そうか病の原因と特徴

そうか病のジャガイモ。膨れたり、陥没したりしている

そうか病はストレプトマイセス属菌という細菌が原因となって発生する病気です。この菌にもいくつか種類があり、種類によってかさぶたの形も異なります。膨れ上がった形になったり、中が陥没した形や、小さい亀裂のような形になるようなこともあります。

粉状そうか病の原因と特徴

粉状そうか病は糸状菌が原因と考えられていましたが、今では原生生物の一種という説が有力のようです。粉状そうか病になると円形の出来物ができ、これが膨れて破裂します。そのため水ぶくれが潰れたような形になることが多いです。

そうか病と粉状そうか病の発生しやすい環境とは?

そうか病は芋ができる時期に地温が20度以上と高くなり、乾燥すると発生しやすくなります。基本的には強酸性土壌では発生しにくく、pH5.2以上で発生するようになり、6.5以上で多くなります。そのため石灰質資材を多く使っているとより発生しやすくなります。

逆に粉状そうか病は地温13〜16度で発生しやすく、20度以上だと発生が抑制されます。また土壌が湿潤な環境で発生しやすくなり、土壌酸度が低い場合も発生しやすくなります。

つまり、土壌水分・土壌酸度・土壌温度に関しては、そうか病と粉状そうか病の発生しやすい環境は全く逆になります。そのためその畑で発生しているのはどちらなのかによって対策の仕方が全く異なるということになります。

ただしそうか病と粉状そうか病の発生しやすい環境条件として、共通するポイントもあります。それは以下の2つになります。

  • 発酵しきっていない未熟な堆肥を入れた場合
  • ジャガイモを始めとするナス科野菜を連作している場合

この2点は共通して発生しやすい条件となるため、対策を考える時に重要なポイントになります。

そうか病と粉状そうか病の予防策

そうか病や粉状そうか病がまだ発生していない畑においては、まず病原菌を持ち込まないことを第一に考えます。ホームセンターや種苗店で種芋として売られているものは消毒してあるので、そうか病の病原菌が付着していることはありませんが、食用のジャガイモを畑に植えたり、他の畑で作られたジャガイモを植える時は注意が必要です。

そうか病と粉状そうか病への対策

一度そうか病や粉状そうか病の病原菌が侵入した畑では、その病原菌を完全に排除することはかなり難しくなります。土ごと殺菌消毒する方法もありますが、土にとって必要な土壌生物への影響もあるため、家庭菜園レベルでの使用はお勧めしません。

そこでこれらの病気が発生した畑ではこれ以上被害が増えないように、それぞれの病原菌が増えにくいような環境を整えることが大切となります。前述のそうか病と粉状そうか病が好む土壌条件の違いを、下の表にまとめます。

そうか病 粉状そうか病
土壌水分 乾燥を好む 多湿を好む
土壌酸度 中性土壌を好む 酸性土壌を好む
土壌温度 高温を好む 低温を好む

それぞれの病気が発生しないようにするためには全く逆の条件を整える必要があります。どちらの病気が発生しているのかが分かれば、その病原菌が好まない環境に変えることで、その数を減らすことができます。

そうか病が発生しにくい環境にする方法

黒いビニールマルチは地温が上がりすぎてしまうことがあるので注意

そうか病が発生しにくいような土壌環境にするためには、

  • 土が乾燥しすぎないようにする
  • 地温が上がりすぎないようにする
  • 土を酸性にする(石灰資材を使わない)

の3点がポイントだと言えます。土が乾燥しないようにするためには、ビニールや落ち葉、ワラで土を覆うマルチングが有効ですが、秋植えのジャガイモを植える場合に黒のビニールマルチを使うと、場合によっては地温が上がりすぎることもあるので注意しましょう。土を酸性に傾ける資材としてはピートモスが手軽に使えます。ただ日本の土壌は、野菜を栽培していればおのずと酸性化していくので、アルカリ性の石灰資材を使わないようにするだけで十分な場合もあります。

粉状そうか病が発生しにくい環境にする方法

水はけの良い土づくりが大切

次に粉状そうか病が発生しにくいような土壌環境にするためには、

  • 土の水はけを良くする
  • 地温が下がりすぎないようにする
  • 土を中性にする

の3点がポイントとなります。雨がたまるような水はけの悪い畑では、畝を高くするなどして水はけに注意します。春植えのジャガイモは地温が下がりやすいので、下がりすぎないようにマルチングを行いましょう。また土が酸性に傾きすぎている場合は、石灰資材を用いて中性に近づけます。

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そうか病と粉状そうか病に共通する対策

そうか病と粉状そうか病に共通する対策としては、

  • 輪作をする(連作を避ける)
  • 未熟な堆肥を使わない

という2点です。ジャガイモはナス科の植物ですので、他のナス科であるナス、トマト、ピーマンなどとも連作にならないように少なくとも2〜3年は間隔をあけてから植えるように考えましょう。

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またアンモニア臭のするような未熟な堆肥を使うこともそうか病、粉状そうか病の発生を助長します。きちんと発酵した堆肥で土づくりを行いましょう。また、木の皮を原料としたバーク堆肥や落ち葉から作られた腐葉土なども大量に入れすぎると、同様にそうか病などの土壌病害の発生につながることがあるので注意します。

まずは共通の対策を徹底しよう

ナスもジャガイモと同じ仲間なので、連作は避ける

そうか病と粉状そうか病は慣れないと実際は判別が難しいことが多いです。そのため無理して判別しようとする前に、感染した種芋を使わず、輪作をして完熟した堆肥を使うという共通する対策をまずは徹底して行いましょう。

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