本格的に寒さがやって来始める11月は、種まきや苗の植え付けができる野菜がだいぶ限られてきます。今回はそんな中でも栽培がしやすい野菜を4つ選びましたので、それぞれ栽培のポイントとともに紹介していきます。ちなみに種まき時期や収穫の時期は関東以南の温暖地を基準にしています。地域によっては記載している時期とは多少前後しますので、ご注意ください。
タマネギ
タマネギは耐寒性があるため、気温の低くなった11月でも植え付けができます。スーパーで売られているような大きなものを栽培するためには、土がとても肥えている必要がありますが、そこまでの大きさを望まなければ、初心者でも十分栽培可能な野菜です。
苗の植え付け時期:10月下旬〜12月上旬ごろ
収穫時期:5〜6月ごろ(葉タマネギとして3月ごろから収穫も可能)
栽培難易度:2 ★★☆
タマネギは肥えた土を好む
タマネギは栄養の豊富な土壌を好みます。比較的土の肥えた場所を選び、植え付けを行う前にしっかりと堆肥(たいひ)を入れて、土づくりを行いましょう。植え付け後も追肥をすることで生育は良くなりますが、球が肥大する2月以降の時期に追肥をしすぎると、球の締まりが悪くなり貯蔵性が落ちてしまうため、やりすぎには注意が必要です。特に有機質肥料の場合は気温の低い季節では分解速度が遅くなるため、できるだけ植え付けのタイミングで施肥を十分にしておきましょう。
タマネギは苗の質が重要
タマネギは種から育てることも可能ですが、育苗は初心者には難しいため苗からの栽培がオススメです。良い苗を選んで植えることで成功率がグッとあがります。太さ4〜6ミリほどの丈夫そうな苗を選び、細い苗や色の薄い苗は避けます。
苗は条間、株間共に15センチほどの間隔で植え付けていきます。隣の株と間をあけすぎないようにし、できるだけ太さが近いもの同士を近くに植えることで、成長がそろいます。また、上記の写真のように苗の根を2~3センチほどの長さに切ってから植えることで、根が活着しやすくなります。
植え付けの時期を外さないようにしよう
タマネギの苗は育ちすぎた状態で寒さに当たると、トウ立ちしやすくなるため、時期よりも早く植え付けしてしまうと成長しすぎてしまい、芯のある硬いタマネギになりがちです。ホームセンターや種苗店では本来の時期よりも少し早めに苗を売り出すため、注意しましょう。地域によって適した植え付けの時期も少しずつ異なりますので、近くの農家や種苗店のスタッフなどの詳しい人に聞いてみるのが確実です。
プランター栽培のポイント
タマネギは根を深く張る野菜ですので、できるだけ深さのあるプランターがオススメです。25センチ以上は深さがあるプランターを選び、土はギリギリまでたっぷりと入れましょう。
春ダイコン
本来は9〜10月ごろが種まき時期のダイコンですが、トンネルなどの防寒対策を行うことで冬の間も種まきすることが可能です。このように冬の間に種まきをして春に収穫するものを春ダイコンと言います。
種まき時期:11〜2月
収穫時期:種まきから90〜100日後
栽培難易度:3 ★★★
トウ立ちしにくい品種を選ぼう
春ダイコンを栽培する場合は、それ用に寒さに強くてトウ立ちしにくい品種を選びます。冬の間もトンネル栽培が可能な品種の場合は、種の袋の裏面などに書かれていますのでチェックしてから選びましょう。
防寒対策をしよう
春ダイコンを栽培する場合は、被覆資材とアーチ型支柱でトンネルを作り、ダイコンを保温し霜に当たらないようにする必要があります。被覆資材はビニールフィルムや不織布などを使います。ビニールフィルムは不織布に比べて保温性が高いですが、雨も通さないので水やりする必要があります。これに合わせて黒いビニールマルチをすると、より地温が上がりやすくなります。防寒対策について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
温度の上がりすぎに注意
ビニールフィルムでトンネルをしていると、思っている以上にトンネル内の温度が高くなることがあります。特に3月以降の気温が上がってくる時期は、日中の晴れた日はしっかりと換気して温度が上がりすぎないようにしましょう。
プランター栽培のポイント
プランター栽培の場合、トンネルをしていて気温を高くしていても、地温の方が上がらないことでうまく成長しないことがあります。特にコンクリートの上などの冷たい場所に直に置いていると、余計に地温が下がります。スノコのような木材を敷いたり、素焼きのプランターカバーをつけたりするなど断熱性の高い素材で土の温度が下がりすぎないようなケアをしましょう。
ベビーリーフミックス
気温が低くなってくると、なかなか野菜は大きく育たなくなってきます。そのため寒い時期に野菜を栽培する場合は、無理に一つ一つの野菜を大きくしようとするよりも、野菜をたくさん植えて、小さいうちに収穫するというのも一つの手です。そこで紹介したいのがベビーリーフミックスです。ベビーリーフとはルッコラやレタス、ミズナ、カラシナなどの葉物野菜を小さい時に収穫したものを言います。軟らかく、苦みや辛みも出にくいため、収穫してすぐにサラダや料理の彩りとして使えます。
種まき時期の目安:真冬と真夏を除き周年
収穫時期の目安:種まきから3〜5週間後
栽培難易度:1 ★☆☆
種は自分でミックスしてもOK
初めから「ベビーリーフミックス」もしくは「サラダミックス」という名前で、さまざまな葉物野菜の種をミックスしたものが売られていますので、これを購入しても良いですが、これらの種は特にベビーリーフ用の特別な品種というわけではありません。ですから自分でさまざまな葉物の種をミックスしてまくことも可能です。家庭菜園ですと葉物野菜の種は余りがちなので、これらを混ぜてベビーリーフミックスとしてまくと良いでしょう。
バラまきがオススメ
葉物野菜は通常、筋まきにすることが多いですが、この場合はバラまきがオススメです。バラまきのメリットは面積を広く使えるため、同じ面積の中でもより多くの野菜を育てられることです。逆にデメリットは雑草の芽と混じりやすく、初心者の場合は見分けがつきにくいこと、間引きが難しくなることが挙げられますが、11月は気温も低く雑草も生えにくくなるためバラまきで作りやすい時期だと言えます。
具体的なバラまきのやり方は、まずまっさらな土の上に種をパラパラとバラまきします。1平方メートルに2〜3ミリリットルくらいの量を目安に少し多めにまきます。そして種が隠れる程度に薄く土を被せます。最後に土と種が密着するように、手で土をしっかりと押さえることがポイントです。
間引きながら収穫を
隣同士の葉が重ならない程度の間隔があくように、適宜間引きながら収穫します。この間引きが遅れると、一本一本がもやしのように細長く弱い苗になってしまい、そのあとの成長にとても大きく響きます。初めはもったいないと感じたり、かわいそうに感じたりして間引くのが難しいものですが、思い切って大胆に間引いた方が、残った苗はより丈夫に育っていきます。背丈が15センチほどまで育ったら、今度は大きいものから収穫していきましょう。
プランター栽培のポイント
ベビーリーフはプランターでは特に栽培しやすく、収穫まで早いためオススメです。ただし、葉物の中でもレタスは他のルッコラ、ミズナ、コマツナ、カラシナなどのアブラナ科野菜と比べて発芽が遅く、プランターのような狭い場所に密集して植えていると、レタスだけ成長しきれないことがよくあります。レタスも大きくしたい場合は、レタスだけ少し離して植えるか、別なプランターで栽培しましょう。
ソラマメ
ソラマメは冬越しをして春に収穫する野菜です。比較的手間はかからない野菜ですが、植え付けのタイミングや植える場所が重要となりますので、注意すべきポイントをご紹介していきます。
種まき時期:10月ごろ
苗の植え付け時期:11月ごろ
収穫時期:5〜6月ごろ
栽培難易度: 2 ★★☆
若苗を植えよう
11月に入ったらソラマメは苗で植えるのがオススメです。大きすぎる苗は根の張りが弱くなりやすく、寒さにも弱いため注意が必要です。まだ本葉が2〜3枚ほどの小さい苗を選びましょう。
本葉2〜3枚で越冬させよう
ソラマメは大きくさせすぎると寒さに弱くなるため、本葉が2〜3枚の状態で越冬させるのが理想です。大きく成長しすぎてしまった場合は、不織布をかぶせるなど、防寒対策の工夫をしましょう。
肥料のやりすぎに注意
マメ科の植物は窒素固定菌と共生しているため、空気中の窒素分も生育に利用することができ、他の野菜と比べて痩せ地でも育ちやすいのが特徴です。肥料分が多すぎるとかえって実のなりが悪くなったり、病害虫の被害を受けやすくなったりします。追加の肥料などはやらずに、夏野菜がよく育った場所を選んでその後作にソラマメを植えましょう。また、ソラマメはpH6.0以上の土壌を好むと言われています。それよりもpHの低い土壌では、草木灰や有機石灰などでpHを調整しましょう。
プランター栽培のポイント
マメ科野菜は連作障害になりやすいため注意が必要です。特にプランター栽培の場合は、スペースが限られているため、気をつけていないと連作障害が起こりやすいです。新しい土で栽培するか、2〜3年は間隔をあけてから栽培するようにしましょう。
防寒対策をすれば他の野菜も栽培可能
今回はトンネル栽培での春ダイコンを紹介しましたが、このように防寒対策を行えば、春ダイコン以外にもホウレンソウ、春菊、小カブ、コマツナなども栽培が可能です。成長はゆっくりなので、なかなかすぐには大きくなりませんが、11月以降に野菜を植えたいという場合は、ぜひ試してみてください。
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