モザイク病の被害とは?
モザイク病にかかった野菜は、新芽などの新しい葉の方から薄緑色の斑点ができたり、葉脈に沿って葉の色が薄くなったりし始め、モザイク状のまだらな模様ができてきます。そして次第に葉が縮れていき、株全体にその症状が広がり、茎や実などにも奇形・変形を生じます。症状が進むと著しく収量が落ち、回復することはほとんどありません。
モザイク病の病原体は?
モザイク病はウイルスによって引き起こされる病気です。ウリ科、ナス科、アブラナ科、キク科、マメ科などさまざまな野菜が、このモザイク病にかかります。モザイクウイルスは主にアブラムシ類によって媒介されるほか、芽かきや剪定(せんてい)時に感染した株の汁が他の株に付着して伝染したり、土壌伝染、種子伝染をする場合もあります。
病気は3つの要素が重なった時に発症する
モザイク病に限らず、野菜の病気は3つの要素が重なった時に発症します。それは①抵抗性、②病原体、③環境の3つです。野菜がその病気に対する抵抗性を持っておらず、病原体に感染し、病原体が増えやすい環境に野菜があるという3つの要素が揃うと、病気が発症します。そのためこの3つの要素に対して総合的に予防・対策を行うことが、野菜の病気対策を考える上で重要になってきます。
モザイク病の予防と対策
モザイク病の予防・対策としての方法を①抵抗性、②病原体、③環境という3つのアプローチから考えると以下の3つが出てきます。
①モザイク病に抵抗性を持った品種や接ぎ木苗を利用する
②モザイク病の病原体を持ち込まない・広げない
③モザイク病が広がらない環境を作る
これらを詳しく解説していきます。
①モザイク病に抵抗性を持った品種や接ぎ木苗を利用する
まず1つ目の予防・対策方法はモザイク病に対して抵抗性のある品種や接ぎ木苗を利用することです。モザイク病に抵抗性を持った品種や接ぎ木苗はそこまで多く出回っているという訳ではありませんが、最も確実な対策方法ですので、モザイク病が頻発するような畑ではこれらの利用を検討してください。
②モザイク病の病原体を持ち込まない・広げない
ウイルスを病原体とする場合は、殺菌剤などの薬剤で病原体を死滅させるという手段が取れないため、基本的にはウイルスが感染しないように、広がらないようにするしかありません。モザイク病の病原体であるモザイクウイルスが野菜に伝染してくるルートとしては、主に以下の4つがありますのでそれぞれの対策を行いましょう。
- アブラムシ
- 土壌伝染
- 汁液
- 種子伝染
1. アブラムシの対策としては防虫ネットなどで物理的に野菜につかないようにする他、窒素肥料が過剰になることでもアブラムシは大量発生するため、土作りから注意することが大切になります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
2. 土壌伝染については、前作からの期間が短ければ短いほど発病しやすくなります。最低でも半年以上は期間を空けることで、発症のリスクは低くなると言われています。モザイク病が頻発するような畑では、発病した野菜の残さができるだけ土に残らないように処分し、期間を空けてから再度野菜を植えるようにしましょう。
3. 汁液による伝染を防ぐためには、まず発病した株の早期発見が鍵になります。発病した株は早めに抜いて、燃やすか畑の外に持ち出すなどして処分するか、発病株の汁液が他の野菜に付着しないように手入れを行います。
4. 種子伝染を防ぐためには発病した株から採取した種子を使用しないようにします。
モザイク病が広がらない環境を作る
モザイク病が広がりやすい環境条件は、基本的に気温が高く、乾燥する時期です。これはそういった環境時、アブラムシが増加しやすいからです。そのため、5月以降の気温が高くなり雨があまり降らない時期は、特にアブラムシ対策が重要になります。
アブラムシ対策、そして早期発見・早期対策が重要
モザイク病は一度発症すると治すことができずに症状が進行してしまう厄介な病気です。まずはアブラムシ対策をしっかり行って、極力感染しないように努めること。そして感染してしまった株があれば、早めに除去します。モザイク病なのか判断が難しい場合は、万が一のことを考えて、その株の液が他の株につかないように、芽かきや剪定の時は注意しましょう。