畑の害虫図鑑〜アザミウマ〜【畑は小さな大自然vol.59】

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畑の害虫図鑑〜アザミウマ〜【畑は小さな大自然vol.59】

連載企画:畑は小さな大自然

畑の害虫図鑑〜アザミウマ〜【畑は小さな大自然vol.59】
最終更新日:2019年11月22日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。野菜の葉や果実に白っぽい斑点やスジができたり、新芽が丸まっていたら、それはアザミウマという虫のせいかもしれません。このアザミウマはアブラムシと同じようにとても小さく、繁殖力が旺盛で、しかもなかなか見つかりにくいところに身を隠しているため、発見しづらいというとても厄介な虫です。今回はこのアザミウマについて、その生態と対策をご紹介します。

アザミウマの被害の特徴は?

アザミウマはアブラムシと同じように口針を差し込んで、野菜の葉や果実の部分から養分を吸い取ります。特に軟らかい新芽の部分や若い果実が被害に遭いやすく、トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、イチゴ、ネギなど野菜全般を食害します。アブラムシとは違い、口針を刺した部分に小さい白っぽい斑点やスジができるのが特徴で、しだいに褐色に変色したり、かさぶたのようになることもあります。また葉が萎縮して丸まったり、奇形になることもあります。

病原ウイルスを運んでくることも

トマト黄化えそ病にかかったミニトマトの葉

アザミウマの厄介な点として、黄化えそ病などの病原ウイルスを媒介することが挙げられます。このような病気が発生した場合は、アザミウマがその感染ルートになっていることもありますので、アザミウマ対策を同時に行う必要があります。

アザミウマの種類・生態

アザミウマは別名スリップスとも呼ばれ、ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ネギアザミウマ、ヒラズハナアザミウマなどの種類が畑の害虫としては知られています。体長1〜2ミリ程度ととても小さく、アブラムシとは異なり野菜の株元付近に潜んでいることが多いため発見しにくい虫です。卵からふ化して幼虫になり、その後サナギになる段階で一旦土の中に潜るため、これも対策がしにくい要因の一つになっています。

成虫1匹のメスは150〜300個を産卵するため、1カ月後には300倍ほどまで増殖するなど、とても繁殖力が高いのも特徴の一つで、特に気温が高くなる春〜秋にかけて数を増やし、活発に活動します。また、アブラムシと同様に乾燥した環境を好むため、雨が少ない時期や雨の当たらないビニールハウスやベランダなどのような場所では、発生しやすい傾向があります。休眠しないため、ビニールハウスの中などの温かい場所では冬も発生します。

アザミウマの対策

アザミウマはとても小さく、野菜の株元付近にいるため、なかなか発見しにくく、捕殺が難しい虫です。まずはアザミウマが発生しにくい環境を整え、アザミウマが食害した傷あとを見逃さないように早期発見・早期対策を行いましょう。以下、具体的なアザミウマ対策をご紹介します。

まずは苗をチェック

アザミウマは成虫の飛行能力があまり高くなく、畑への侵入経路としては、苗に付着している場合が多いようです。苗を植える際には必ず株元や葉の裏までチェックする習慣をつけましょう。

肥料のやりすぎに注意

肥料、特に窒素成分が過剰な場合に、アザミウマのような野菜の養分を吸い取る害虫が発生しやすくなります。これは野菜が窒素成分を多く吸収することで、虫が好きなアミノ酸の濃度が高くなることが一つの要因なのではないかと考えています。窒素成分が過剰な時の分かりやすい目安としては、葉が濃い緑色になりますので、葉色を観察しながら堆肥(たいひ)・肥料の量を調整しましょう。

防虫ネットを張る

防虫ネットは物理的に害虫の飛来を防げるため、あらゆる害虫対策としてとても有効な方法です。アザミウマに対しても有効な方法の一つですが、アザミウマはとても小さいため、網目が大きい防虫ネットだと侵入されてしまう点は注意が必要です。網目が0.4ミリほどの小さいネットを選びましょう。また、特にアザミウマには赤色の防虫ネットが有効だと言われていますので、アザミウマの被害が多い畑では赤色の防虫ネットの使用を検討してみてください。

トラップをしかける

アザミウマは特に黄色や青色のものに誘引されやすいことが知られており、その特徴を利用したトラップが有効です。一般的で使いやすいものとしては粘着テープがありますので、特にアザミウマの発生しやすい株元付近に設置しましょう。

光を反射するものを設置する

アザミウマはキラキラと光を反射するものを避ける性質があります。これは水面に落下するのを避けようとする虫の習性ではないかと考えています。この習性を利用して、野菜の株元付近に光を反射するものを設置することで、アザミウマの飛来を防ぐ方法です。銀色のビニールマルチを使用したり、アルミホイルやキラキラと光るテープを張るなどして対策します。

木酢液を散布する

家庭で使いやすい薬剤として、木酢液をアザミウマの忌避剤として散布するという方法があります。ただしこちらはあくまでも一時的な効果でしかありませんので、他の方法と合わせて対策を行う方が良いでしょう。

天敵を利用する

ヒメハナカメムシ。アブラムシやアザミウマを食べる

アザミウマの天敵としてはヒメハナカメムシや捕食性のカブリダニが知られており、生物農薬として販売されているものもあります。特にヒメハナカメムシは土着天敵として畑に発生する場合もあるので、見つけたら殺さずに重宝しましょう。
畑に特定の天敵だけを増やすことは難しいですが、できるだけ生態系を複雑にすることで、自然と一つの害虫だけが大量発生するリスクを低くすることができます。畑の生態系を複雑にするためには、多様な種類の植物を畑に植えることが最も有効な方法です。同じ種類の野菜だけでなく、できるだけ多くの種類の野菜、特に科目の異なる野菜を植えることで、それぞれ生息する虫が異なってくるため、自然と天敵と害虫のバランスが整うことが期待できます。
 
一般的には畑の雑草を全て取り除くことがアザミウマ対策として行われますが、これは徹底して行わなければ意味がなく、逆に天敵の発生も期待できなくなるため、家庭菜園レベルではあまりオススメしません。少しの食害であれば受け入れ、大量発生しないようにだけ努める方が、結果的に楽で続けやすいです。野菜の生育に邪魔にならない場所であれば、雑草も適度に残しておくことで、畑の生態系を複雑にしやすくなります。

アザミウマ特有の傷あとの特徴を覚えておこう

アザミウマは目立つところにいないため、発見が遅れがちです。ただしその食害した傷あとは特有の白っぽい斑点やスジができるので、それを見逃さないようにして、アザミウマ対策を行うようにしましょう。

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