収穫したジャガイモは種芋にできる?【畑は小さな大自然vol.60】

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収穫したジャガイモは種芋にできる?【畑は小さな大自然vol.60】

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収穫したジャガイモは種芋にできる?【畑は小さな大自然vol.60】
最終更新日:2019年11月22日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。家庭菜園をしている人から「収穫したジャガイモはまた種芋として使えるんでしょうか」という質問をよくされます。売られている種芋と見た目は変わらないし、放っておくと芽が出るから使えそうに見えますよね。種芋代の節約にもなります。実際に収穫したジャガイモを種芋として使うことも可能ではあるのですが、きちんとそのリスクを理解していないととても厄介なことになってしまうため、基本的にはしない方が良いとされています。今回は収穫したジャガイモを種芋として使うことがなぜ危険なのかと、もし使う場合に注意すべきポイントをご紹介します。

収穫したジャガイモを種芋に使うリスク

基本的に自分で育てて収穫したジャガイモは、種芋として使うのは良くないと言われています。なぜかというと収穫したジャガイモが病気の原因となるウイルスや細菌に感染していたり、害虫が付着していたりする可能性があり、種芋を介して次世代にもその病害虫を受け継いでしまう可能性があるからです。
それまでその畑で発生したことのない病害虫が、収穫したジャガイモを種芋として持ち込むことで、以後発生するようになることもあります。特に病気に感染しているかどうかは外見では分かりません。食用に売られているジャガイモに関しても、人体に影響のないものであれば病原菌に感染していることがあるため、種芋として使用するにはリスクを伴います。特に市民農園のような場所では、他の利用者にも影響が及びますので注意しましょう。 

販売されている種芋は検査に合格したもの

青枯病は種芋によって伝染する可能性がある

種芋として販売されるジャガイモは、法律によって検査が義務づけられています。植物防疫所にて以下の3種の害虫と7種の病気を対象に行われており、これに合格した種芋のみ販売が許可されています。逆にいうと収穫したジャガイモを種芋として使用することは、これらの害虫、病気を伝染・拡大させるリスクがあると言えます。

  • ジャガイモガ
  • ジャガイモシストセンチュウ
  • ジャガイモシロシストセンチュウ
  • 馬鈴しょウイルス
  • 輪腐病菌
  • 青枯病菌
  • そうか病菌
  • 粉状そうか病菌
  • 黒あざ病菌
  • 疫病菌


粉状そうか病が発症したジャガイモ

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収穫したジャガイモを種芋にする時の注意点

以上のように、基本的に収穫したジャガイモを種芋として使用するには病害虫伝染のリスクがありますが、種芋にすること自体が不可能なわけではありません。きちんとリスクを把握し、できるだけ病虫害の伝染が起こらないようにケアしていれば、十分現実的な手段の一つになります。特に家庭菜園であれば、万が一病害虫の伝染が起こったとしてもさほど問題にはならないでしょう。以下、収穫したジャガイモを種芋にする際の注意点をご紹介していきます。

健康的な株から収穫したジャガイモのみを種芋にする

種芋として残すジャガイモは、病害虫に感染していない株から選ぶ必要があります。収穫したジャガイモだけを見ても判断できない病気も多いため、生育途中の葉の様子や色がおかしくないかなどをしっかり観察してから採種する株を選抜しましょう。

小ぶりな芋を選ぶ

大きな芋は保存がききにくく、植えるときも切って植えなければなりません。切らずに植えた方が植えた後に病気になりにくくなります。80〜120グラムほどの大きさで、そのまま切らずに植えられるような芋を種芋として残します。

植える前に日に当てて緑化させる

種芋は植える前に日光に3〜4日ほど当て、緑化させることで病気に強くなると言われています。収穫したジャガイモを種芋にする場合に限りませんが、極力病気の発症を避けるためにオススメの方法です。

肥料は控えめに

土の中の肥料分が多いと、その分ジャガイモの成長は早くなりやすいですが、病原菌も繁殖しやすくなります。収穫したジャガイモを種芋にして栽培する場合は特に、肥料は少なめにして栽培しましょう。また土の中に未分解の有機物が多いことも病害虫の発生につながりますので、注意します。

アブラムシ対策を

モザイク病や葉巻病などジャガイモの病原となるウイルスの多くはアブラムシによって運ばれてきます。そのためアブラムシ対策を行っておくことも優良な種芋を残していくために大切なポイントとなります。

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連作を避ける

ジャガイモは連作することで土壌病害が発生しやすくなります。ナスやトマト、ピーマンなどのナス科野菜とも連作にならないように、3〜4年を目安に間隔があくように栽培しましょう。

種芋保存のポイント

ジャガイモの種芋は次の植え付け時期まで適切な環境で保存しておかないと、芽が出てしまったり、腐ってしまったりします。そこで種芋としてジャガイモを保存する際のポイントをご紹介します。

種芋を選別する

種芋を保存するときに一つでも腐っている芋があると、他の種芋まで腐ってしまうことがあります。一部腐っているものや軟らかいものは取り除き、硬く締まっている種芋だけを残しましょう。また、表面に土が付いていたら拭き取り、ぬれている場合は表面を乾燥させてから保存します。

光に当たらないようにする

収穫してから2〜3カ月ほどは大丈夫ですが、それ以降は光に当たると芽が出やすくなります。芽が出るのが植え付けのタイミングと合わないと種芋として使用できなくなります。基本は光が当たらないような場所で保存します。

低温で保存する

ジャガイモの保存温度は2〜15度が良いと言われています。その中でもできるだけ温度が低い方が長く保存できるため、家庭だと冷蔵庫がその温度を保ちやすいですが、乾燥しやすい点には注意が必要です。湿度を高く保てる野菜室を備えていれば、そこに入れるのが一番でしょう。

湿度を高く保つ

ジャガイモを保存するときの湿度は80〜90%が理想とされています。ただし通気性がないと腐ってしまうので、新聞紙や段ボール、紙袋などに入れて保存しましょう。

リスクを理解しておこう

収穫したジャガイモを種芋にすることは可能ですが、場合によってはその種芋によって病害虫が発生し、次年度以降の作付けにも影響がでるリスクがあることを理解しておきましょう。そして種芋として使用する場合は、今回ご紹介した注意するポイントを参考にして、病害虫の伝染・拡大を防ぎましょう。

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