ソラマメは放任してもできないことはないですが、放任するとたくさんなりすぎてしまい、サヤは小さく、中身が入っていない空サヤが多くなります。正しい方法で栽培すれば、サヤに3粒しっかり着粒したソラマメを多く収穫できます。適正な着果量は一株に60~80サヤ程度です。
栽培カレンダーに沿って見ていきましょう。
畑の準備
マメ科の作物は、連作に比較的弱いです。ちまたでは4~5年間連作するな、と言われていますが、1年も空けておけば問題なく生育します。ただ、さすがに毎年同じ場所にソラマメを植えていると生育にも影響がでますので、極力マメ科を植えていない場所を選びましょう。
比較的土壌に左右されにくいですし、プランターでも栽培できます。10~11月に植えつけられる作物は非常に少ないですから、気軽にチャレンジしてみましょう。
ソラマメの肥料
マメ科は肥料をあまり必要としませんが、ソラマメはその中では比較的肥料を欲します。とはいえ多すぎると良い果実は収穫できません。植え付け2週間前に、1平方メートルあたり堆肥2キロと苦土石灰50グラム、1週間前に化成肥料約50グラム(窒素-リン酸-カリの含有率が8-8-8の場合)を入れ、よく耕して畝を立てましょう。
前作に夏野菜のトマトやナスやキュウリを栽培していた場合は、かなり肥料成分が残っていると思いますので、元肥をやらなくても追肥だけでできてしまう場合もあるくらいです。とにかく肥料のやりすぎには注意してください。
ソラマメの種まき
ソラマメの種まきはとても簡単ですぐに終わりますが、実はとても相談が多いのは、この種まき後の失敗です。
立てておいた畝の真ん中に40~50センチ間隔で1条植えします。1カ所に2~3粒まいておいて、あとから1本に間引きするのが確実でしょう。ニヤニヤ笑っている口元を下にして、少し頭が見えるくらい浅く覆土し、しっかりと水やりをしておきます。
栽培期間が長いため、マルチで覆っておくことをお勧めします。
ちなみに最も多い相談とは、種をまいたのに一向に発芽しないというものですが、これはカラスなどの鳥類が食べている場合がほとんどです。広く耕された畑に、大きなソラマメが浅く表面が見える程度に埋められているのを見逃さない程度にはカラスは優秀です。あなたが畑を離れるのを待って巧みに降りてきますので、ネットなどで物理的に覆うことで解決します。
ソラマメの摘心
12月中~下旬頃、ソラマメの芽が真上に1本、横からわき芽が吹いてくるのが確認できるようになります。
真上に伸びている主軸の1本が、全ての枝の中で一番元気が良いと思いますが、これを摘除します。
「えーもったいない!」と思われるかもしれませんが、ここがソラマメ栽培のポイントですね。その他の管理を完璧にコントロールできていれば、この作業をしなくてもできないことは無いですが、家庭菜園の場合はぜひ実施してください。
ソラマメの整枝・追肥
3月上旬、暖かくなってきた頃に整枝と土寄せ、追肥を行います。こんなに大きくなってからではなく、もっと早くから整枝した方が良いように思われるかもしれませんが、早すぎると植物に与えるダメージが大きくなりすぎますし、芯どまりした枝(低温障害で生育が止まった枝)の見極めができません。
整枝と土寄せ
わき芽の数が計5~8本になるように、徒長した弱い枝を摘除し、根元に土をかぶせてしまいます。
こうすることで、次々と新しいわき芽が出てくるのを防ぐことができますし、倒伏防止になります。春一番による倒伏で全滅することがないよう、根元は押さえておきましょう。
また、ひもなどで囲っておくことで、倒れる心配はなくなります。簡易な方法で構わないのでしっかりと囲ってあげましょう。ただし、囲いを狭くしすぎて枝が密集してしまうようではいけません。真ん中に光が射しこむスペースがあることで日照量が増加して実入りがよくなります。
追肥
土寄せと同時に追肥を与えます。1株にスプーン1杯程度の化成肥料で充分です。もしもソラマメの枝が生育旺盛で節間が長いようでしたら(最初は比較対象がないので分かりにくいでしょうが)、追肥は見送ってもかまいません。
また、大きくなりすぎた場合(ソラマメは20節が限界、15節でも十分と考えてください)、上の部分はカットしてしまいましょう。
ソラマメのアブラムシ対策
ソラマメで問題になる病害虫といえば、アブラムシでしょう。各種病害も、元をたどればアブラムシを媒介として侵入するものばかりですので、アブラムシ対策は非常に重要な管理になってきます。
農薬を使用せずに対処するのであれば、こまめに観察しておき、発生次第、固まって分布している葉ごと畑の外に持ち出すことが第一です。
植え付け後の生育後すぐと、4月以降の収穫直前がアブラムシ発生時期です。植え付け直前にオルトラン粒剤などの殺虫剤を畝に混和しておけば年内の発生は防ぐことができます。
3月下旬から、また暖かくなるとアブラムシが活動をはじめます。それ以降は薬剤散布によって防除する他ありません。
ソラマメの収穫
収穫時期は、ソラマメのサヤを見て確認します。うぶ毛がとれてきて光沢が出てくる、上向きだったサヤが下に垂れてくる、色が濃くなってくるなどの目安で判断してください。よく分からないうちは、試しに一つとってみて、中身のソラマメの口に黒く色が付いていれば収穫して大丈夫です。
3粒しっかり結実したサヤをみるとソラマメが大好きになります。ぜひ自分の手で育ててみましょう。