栽培時期
水菜の生育適温は15〜25度で冷涼な気候を好みますが、寒さにも強く、ほぼ一年中栽培することができます。夏場は成長が早く、小株どりでは25日程度であっという間に収穫時期を迎えます。大株を育てる場合は秋まきとし、低い温度でじっくり大きくします。小株、中株と大株では異なる品種が販売されているので、作りたいサイズに合わせて品種を選ぶと品質のよいものが収穫できます。
土づくり
土壌酸性度は弱酸性を好み、酸性の強い畑では根こぶ病が出やすいので、播種(はしゅ)2週間前に苦土石灰を入れて耕しておきます。さらに1週間前に元肥を入れて耕し、高さ10〜15センチ程度の畝を立てます。草取りが面倒、という方にはマルチがおすすめです。マルチは種をまく際に切れ込みを入れて使用します。
播種
小株、中株どりの場合はすじまきします。まず土の表面を平らにならし、深さ1センチ、幅約1〜2センチのまき溝をつけます。まき溝は支柱や木板を土に押し付けると簡単につけることができます。三角クワで掘ってもいいですが、深さにムラがでないように気をつけましょう。条間は15〜20センチとします。
まき溝ができたら、種が重ならないように注意しながら1〜2センチ間隔で1粒ずつ種をまきます。すべての種まきが終わったら、両側から土を寄せるようにかぶせ、平クワで鎮圧し、上から水をかけます。水をかけるときはじょうろの蓮口をつけ、種が水圧で流れてしまわないように優しくかけてあげましょう。
大株どりの場合は株間30センチ間隔で播種します。まき穴は瓶やコップの底を土に押し付けると簡単にくぼませることができます。1穴に4〜5粒まきとし、軽く覆土してからじょうろで水をかけます。種まきしたところに不織布や稲わらをかけておくと、乾燥防止になり発芽がそろいやすくなります。
播種した後はすぐに防虫ネットをかけましょう。水菜はアブラナ科に属し、チョウチョやガの幼虫の大好物です。また、アブラムシもよく寄ってきます。アブラムシは非常に小さいので、ネットの目合いが1ミリ以下の物を使用してください。網の目の細かいネットは風にあおられやすくなります。ネットの上部はトンネルの支柱にクリップでとめる、裾は土でしっかり埋めるなどし、頑丈に設置しておきましょう。すきまが開いていると虫が侵入して虫かご状態になってしまうので注意が必要です。
間引き
芽が出て葉が混み合ってきたら、生育の悪いものを指先でつまんで、2〜3センチ間隔を目安に間引きします。間引き後は残した株が倒れないように、軽く土寄せし、除草をかねて中耕しておきます。小株のサラダ水菜として育てる場合はこれを最終間引きとしてそのまま育てます。
中株どりとする場合は、さらに背丈が伸び、本葉2〜3枚になったころに2回目の間引きを行い5〜6センチ間隔にします。この時は手で抜くのは難しいので、はさみで切った方がよいでしょう。葉が絡まり合って取りにくいので、残す株を傷めないよう気をつけます。根元を持ってゆすったり、霧吹きなどで葉を濡らしてやると取りやすくなります。抜いた水菜はベビーリーフとしてサラダにするといいでしょう。
2回目の間引きが終わったら、化成肥料を条間にぱらぱらとまき、土と混ぜるように中耕します。このとき一緒に除草もできるので一石二鳥です。小株どりの場合はすぐ収穫時期になるので追肥しなくてもよいでしょう。
大株どりは本葉2〜3枚のときに3本立ち、本葉6〜7枚で1本立ちとします。1本立ちにする際にもし欠株が出た時は、元気に育っている苗を移植してあげます。追肥は2回目の間引きのときと、草丈が30センチほどになったときの2回やりましょう。
収穫
小株どりは背丈が15センチほどになったら収穫します。小さいサイズの水菜はやわらかくてクセがなく、サラダや肉料理の付け合わせにぴったりです。
中株どりは草丈が20〜30センチくらいで収穫します。小株どりに比べて茎も硬くしっかりしているので、サラダの他に炒め物、煮物などに利用できます。
大株どりは草丈が30センチくらいになってから、さらに茎が枝分かれして、横へ横へと広がっていきます。ずんぐりと株が太ったら収穫時期です。家庭菜園ならば規格にこだわる必要はないので、食べたいときに随時収穫しましょう。また、一部だけを刈り取って収穫することも可能です。
中株どりを収穫する際に、間引きの要領で株間をあけて収穫しておけば、残りの株が成長するので大株どりとして長く収穫を楽しむことができます。このとき、株間に追肥してやると成長が良くなります。大株どりにした水菜はハリハリ鍋などにして食べると最高です。
主な病害虫
害虫
コナガやモンシロチョウなどの幼虫であるアオムシが葉を食べて穴だらけにします。食欲旺盛であっという間に成虫となり産卵して、どんどん増殖します。また、ヨトウムシの幼虫は、1カ所に100〜200個の卵を産むので、集団で葉を食い荒らします。防虫ネットをかけるか、農薬を散布して防除しましょう。農薬は化学農薬の他に、生物農薬であるBT剤も使用できます。BT剤ならば収穫前日まで散布でき、人への害もほとんどありません。
また、アブラムシが春と秋に多く発生しますが、ビニールハウスなどでは一年中見られます。ウイルス病を媒介するので、しっかりと防除することが大切です。とても小さい虫なので、目合い1ミリ以下の細かい防虫ネットを使用しましょう。
病気
根こぶ病、立枯病などが主な病気です。病気になった個体は他の個体への感染源となるため、見つけたらすぐに抜き取り処分しましょう。このとき畑に捨てると畑に菌が残ってしまうため、必ず畑の外に持ち出して処理するようにしてください。根こぶ病は一度出るとその畑でずっと発生するので、同じ場所を使用する場合は植え付け前に土壌に農薬をまいて対処したほうがよいでしょう。
水菜は栽培スペースが小さくて済むので、プランター栽培もおすすめの野菜です。高層階のマンションのベランダなどは害虫も少ないので、かえって畑よりも育てやすいかもしれません。しかし3階程度の高さではまだアブラムシが飛んで来ることもあるので、プランターを包むように防虫ネットをかけておくと安心でしょう。また、水菜は水の野菜と書くように、水をたくさん必要とする野菜です。プランターの場合は畑に比べて土が乾燥しやすいので、特に生育初期はこまめに水やりをしてあげましょう。ベランダで育てた水菜をすぐにサラダにして食べられると、普段の食事がいっそう楽しくなりますね。