セリの紹介
春の七草の一つであるセリは、古くから日本人に馴染みが深く、爽やかな香りと歯ごたえが特徴の野菜です。品種としては、「島根みどり」などが主流ですが、もともと日本に存在した在来種も多く、栽培方法も畑栽培から水田栽培まで様々です。
野生では、清流が流れる場所に密集して生えており、その様子が競い合っているように見えることから「セリ」と呼ばれるようになったと言われています。
歴史が古い野菜だけあって、地域の風土料理と結び付いていることも多く、秋田のきりたんぽ鍋や、だまこ鍋には欠かせない食材の一つとなっています。
見た目が三つ葉と似ているため混同されやすいですが、三つ葉はその名前の通り葉が3枚なのに対し、セリは葉が5枚です。
鮮度の良いおいしいセリの見分け方
おいしいセリは、葉にハリがあり濃い緑色をしています。また、葉の色が黒く変色しておらず、茎や葉がしなびていないみずみずしいものを選びましょう。
セリの栄養
セリには、鉄を多く含むため、成長期の女性や妊婦さんに積極的に食べて欲しい野菜です。その他にカロテンやビタミンCも含みます。
セリをおいしくするワンポイント
生の葉は薬味として使用することができます。小松菜やホウレン草のおひたしに少量混ぜると食べやすい上、香りや風味もアップします。
鍋と合わせる際は、きりたんぽなどの鶏出汁を使った鍋と相性がぴったりです。また、宮城では新名物として「仙台セリ鍋」として、セリをメインにした鍋メニューが食べれるお店が多いです。
ミズナの紹介
ミズナはシャキシャキとした食感が特徴で、サラダにはもちろん、鍋とも相性が良く使いやすい野菜です。もともとは京都を中心に栽培されていた漬け菜の一種で、茎がしっかりとしており、味と香りが強いのが特徴です。京都から全国に広まったことから、京都以外の地域では京菜と呼ばれることもあります。
昔ながらの栽培方法だと一株4キロほどの大株に育てることもありました。ですが近年では、ミズナをサラダとして生食する習慣が根付いてきて、小さい株で販売されるようになりました。水耕栽培も盛んで、株が細く味に癖が少ないのが特徴です。現在は周年流通していますが、本来の旬は冬となります。
鮮度の良いおいしいミズナの見分け方
おいしいミズナは、葉先がまっすぐでピンとしています。また、葉の色が鮮やかな薄緑~緑色になっているものを選びましょう。
ミズナの栄養
ミズナには、豊富なビタミンCとカロテンが含まれています。ビタミンCは体内の多く栄養素に関係しており、コラーゲンの生成に欠かせないビタミンでもあります。皮膚や骨の健康維持や免疫力アップには欠かせないビタミンなので、鍋を良く食べる冬の時期には積極的に摂取したいところです。
ミズナをおいしく食べるワンポイント
鍋の具材として食べるときは、食べる直前に投入するとシャキシャキとした食感をそのまま楽しめます。また、赤紫色の茎が特徴の「赤軸ミズナ」の場合は、茎の色を活かすため、さっと湯でてから鍋に入れると鮮やかな赤紫色の茎の色を残すことができます。
サラダにする時には、少し塩揉みすると量もたくさん食べられるようになります。露地栽培のものは根元に土が入り込んでいるので、しっかり洗ってから調理するようにしましょう。
クレソンの紹介
クレソンは、アブラナ科アブラナ属の野菜で爽やかな香りと独特の辛みが特徴です。日本では、外食産業でよく利用される葉物野菜で、ステーキの付け合わせや、クレソンサラダとしてレストランなどで提供されてきました。近年では一般家庭でもサラダの素材として用いられるようになったので、スーパーでも手に入りやすくなりました。
日本全国の水が綺麗な土地で野生種が存在しますが、主力は施設栽培で、周年を通して市場に出回ります。
クレソンをおいしくするワンポイント
最近では、しゃぶしゃぶなどの鍋にクレソンを入れる食べ方も増えています。根元の固い茎は切って使用するようにしましょう。
また、クレソンには抗菌作用が期待できるので、お弁当にも最適。オリーブオイルとの相性も抜群なので、炒めたクレソンをお弁当の一品にするのもオススメです。
カラシナの紹介
カラシナは、少しピリッとする優しい辛みが特徴で、近年鍋物用として人気が急上昇している葉物野菜です。多くの品種があり、葉カラシナ、高菜など多肉高菜群に分けることができます。新種の博多カラシナは、カラシナの脇芽の部分を採ったものになります。
各地に地方品種が存在し、それらは比較的辛みが強いのが特徴です。周年を通して市場に出回りますが、本来の旬は2月から4月頃です。
鮮度の良いおいしいカラシナの見分け方
おいしいカラシナは、葉の色が濃く葉先までみずみずしくて、茎の下の方まで葉が茂っています。
カラシナをおいしくするワンポイント
カラシナは、加熱してもクタッとなりにくいので鍋の具材に向いています。西洋カラシナは生でも食べることができますが、日本の地方品種は辛みが強いのでさっと湯通しして加熱調理がオススメです。加熱することで辛みを和らげるので、刺激が苦手な方や子供でも食べやすくなります。
カラシナの辛みが好きな方は、ハムやチキンなどの肉と一緒にサンドイッチにするのも美味しいです。カラシナの辛さが、一層引き立ちます。
一口に鍋といっても様々な楽しみ方があります。スープを変えて、具を変えて、自分好みの鍋を見つけるのもまた楽しいものです。普段使っている野菜とは趣向を変えて、新しい野菜を鍋の具材として試してみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)