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農林水産省のYouTubeチャンネル「BUZZ MAFF」が面白い! 目標は「日本の農林水産業を世界へ」

農林水産省のYouTubeチャンネル「BUZZ MAFF」が面白い! 目標は「日本の農林水産業を世界へ」

農林水産省公式のYouTubeチャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」を知っていますか? 「日本の農林水産業を世界へ伝えたい」という目標のもと、2020年1月から配信を始め、これまでに約700本の動画をアップロードしています。チャンネル全体で、すでに累計827万回以上再生されるなど、大きな注目を集めているBUZZ MAFF。その魅力や今後の展望について、農林水産省の担当者に話を聞きました。

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■松本純子(まつもと・じゅんこ)さんプロフィール

松本さんプロフィール写真 2000年入省。4カ所の地方農政局で勤務した後、現在は農林水産省大臣官房広報評価課広報室係長を務める。日本初の官僚系YouTubeチャンネル「BUZZ MAFF」の立ち上げから運営まで従事。

■大島沙央里(おおしま・さおり)さんプロフィール

大島さんプロフィール写真 2020年入省。現在は北陸農政局石川県拠点地方参事官室で勤務。入省してすぐに北陸農政局のBUZZ MAFFグループ「穂 Click!(ホクリック!)」に所属し、企画や調整、シナリオ作成、撮影、編集までほぼ全てを担当している。

BUZZ MAFFは大臣の一言がきっかけでスタート

BUZZMAFFトップ画像

BUZZ MAFFのトップ画面

──なぜ農水省がYouTubeで発信することになったのですか?

松本:2019年秋に就任した江藤前農林水産大臣の一言がきっかけです。当時、私が広報室に配属されてすぐの頃で、「農林水産業についての情報をちゃんと届けられているのか」という点で課題を抱えていたんです。そこで前大臣から「若い人は農林水産省のホームページなんか見ない。YouTubeやInstagramが人気でしょ? やってみたら?」という一言があったんです。広報室としても「渡りに船だ、始めてみよう」と考え、担当として進めていくことになりました。

──大臣の一言を実現させたんですね。どのように運営しているのでしょうか?

松本:BUZZ MAFFは2020年1月に配信をスタートしましたが、動画制作する職員は全国から募り、当初14チームで始めました。3カ月を1クールとして、1クールごとに発信者を公募しています。現在は第6クール目で、19チームが発信しています。

──動画制作のスキルについては、皆さん一から学んだのですか?

松本:1クール目の14グループのうち、映像制作の経験があるのは1人だけで、ほとんどが素人からのスタートでした。そこから、何度も制作する中で、映像制作のスキルは少しずつ上がってきています。

大島:業務の合間に学んで制作するのは、なかなか大変なところもあるのですが、そもそも命令されてやっているわけではないので、自分自身も楽しく、取り組めています。

──発信しているYouTuberの職員は、企画から撮影、公開まで全て自分で行っているのでしょうか?

松本:発信者が、自ら動画の企画、許可取り、撮影、編集、納品まで行っています。広報室としては、その動画を最終的に確認して、事実誤認がないかどうか、農林水産業の魅力発信につながっているかどうかをチェックしています。ただ、発信者が自ら企画して発信することを重視しているので、上司からのダメ出しは一切していません。

大島さん穂クリック

大島さんが発信するBUZZ MAFFチャンネル「穂 Click!」の動画

──実際にYouTuberとして活動している大島さんですが、上司からのダメ出しは今までありませんか?

大島:直属の上司から動画についてストップがかかった事は今までにないですし、企画内容も、「お任せ」という感じですね。北陸農政局トップの局長も、楽しみながら動画に出演してくださっていて、上司の皆さんが応援してくれているような雰囲気はあります。「前にあがった動画面白かったね」とか「次はこんな動画がいいんじゃない」という前向きなコメントをくださる環境で、ありがたいですね。

「こんな動画を作っています」

──BUZZ MAFFの動画で、特に反響の大きかったものはありますか?

松本:一番視聴回数が多かったのは、「花いっぱいプロジェクト」を紹介した動画で、これまでに89万回以上再生されています。

この動画は、新型コロナウイルスが流行して生活への影響が出始めた2020年3月に、消費者に対して花の需要喚起を行ったものです。当時、学校の入学式や卒業式、結婚式など、あらゆるイベントが中止になった影響で、花きの生産者さんたちは売り先がなくて、大変困っていました。動画は発信者が真面目に話している間にどんどん花が増えていくという、とてもわかりやすい内容なのですが、大きな反響がありましたね。農家の方からも「メッセージを届けてくれて本当にありがとう」と言われて、発信者の2人もとてもやりがいを感じたと話していました。

──確かにこの動画を初めて見た時は、国家公務員とは思えないような面白い動画だと、驚きました! 最近の動画では、印象的なものはありましたか?

松本:今年の3月に投稿した「【農水省】国家公務員も踊ってみた〜日本酒ダンス〜」ですね。

大島さんも出演していますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で日本酒の消費量が大幅に減少したことを受けて、BUZZ MAFFのYouTuberが一丸となって作りました。酒米の生産者の方も動画に参加してくださって、自分たちが発信したい思いや方向性が一緒であれば、農家さんと公務員が力を合わせて情報発信ができるんだということがわかりました。

日本酒ダンスに参加する酒米農家

「日本酒ダンス」の動画には酒米の生産者も参加した

──大島さんはどうですか?

大島:自分の転機になったと思う動画は、「【下剋上!】究極の唐揚げで上司に倍返し!」という動画です。

北陸は日本有数の米どころなのですが、近年は全国的に米の消費量がどんどん下がっています。もっと米を消費してもらうために、米粉を唐揚げの粉として活用してもらおうと、この動画を作りました。初めて自分の上司に出演してもらい、周りの人の力も借りて作れた動画でしたね。タイトルのつけ方やサムネイルのつけ方を工夫した効果もあったのか、再生回数が上がり、YouTubeの発信力の強さも感じられました。

BUZZ MAFFと農業

6

現在は19チームが活動中

──BUZZ MAFFがきっかけで農業に興味を持つ人は増えていると感じますか?

松本:日々コメント欄にはうれしい言葉が寄せられています。例えば、「新聞を読む時に、必ず農業の話題を読むようになりました」とか「息子に農家になってほしいです」、「この春から就農する予定です」というコメントも。BUZZ MAFFがきっかけだという言葉をいただけると、心からうれしく感じますね。

大島:地域の特産野菜を取り上げたり、お米や日本酒のPR動画をアップしたりすると、「今度食べてみます」とか「家でもお米を炊いて食べます」「日本酒を頑張って消費します」という明るいコメントが多いんです。そういった反応に触れると、自分の発信している内容が役に立っているのかなと、やりがいと手応えを感じられます。

──農家さんに動画に出演してもらうこともあると思いますが、農家さんからの反応はどうですか?

大島:地方農政局は結構現場に行くことが多いんですけれど、その時も「YouTuberや〜!」みたいな感じで言ってくださって、「この間の動画面白かったよ」と声をかけてくださるのがすごくうれしいです。農家さんは自分が作った農産物をどういう風にPRしたらいいかわからない方もいらっしゃるようで、YouTubeで発信している人もかなり少ない現状です。そのため、動画制作に協力してくださった農家の方から「発信方法の参考になりました」と言われたこともありますね。

──YouTubeでの発信については、好意的に受け止められているんですね。

松本:そうですね。コロナ後はYouTubeを見る人が3割くらい増えたと言われていて、一般的にもYouTubeのイメージはずいぶん変わってきたように感じています。農家さんも、協力にちゅうちょされる方は全然いないし、すごくオープンに対応してくださっていますね。

農水省だからこそYouTubeでできること

──農水省自らがYouTubeという媒体で発信をする事にどのような意味があると感じますか?

松本:BUZZ MAFFは、現在約6.2万人の方がチャンネル登録してくださっています。日本の農林水産業について元々興味を持っている方もいらっしゃいますが、その多くは発信している職員のファンになって、初めて農水省のことを知ったという方たちなんです。職員が自ら思いを持って顔を出して動画で発信することで、初めて伝えられたことがあったのではないかと考えています。

大島:私自身は、入省前の内定が決まっていた時期に、初めてBUZZ MAFFを見たんです。当時、「国の機関で自分はやっていけるかな」と心配していたのですが、いい意味で予想を裏切られました。堅くて真面目だと思っていた農水省職員が、こんなにも面白いんだということが目に見えてわかり、安心感を抱きました。当時私がそう感じたように、今見てくださっている方が、「こんな人が働いているんだ」と安心感を持ってくれればと、発信しています。

──確かに、動画制作のプロではなく、別に本業があるからこそ、失敗やちょっとできていない部分もあって当然で、そういった部分も愛される理由なのかなと思います。

大島:以前、音声が録れていなかった時に、「マイク、電源入ってなかった」というようなテロップを入れて、乗り切ったことがあります。私のようなレベルでも発信者になっていいんだということは、身をもって伝えられていると思いますね。

「農業のマイナスイメージを払拭(ふっしょく)したい」

──これから、どのような動画を作っていきたいと考えていますか? 目標を聞かせてください!

松本:まずはチャンネル登録者数を増やして、農業の魅力をより多くの人に届けたいです。BUZZ MAFFを始めた当時に、「日本の農林水産業を世界へ」と掲げましたが、まだ達成はできていません。コロナの影響もあって海外になかなか行けず、試行錯誤しているところです。ゆくゆくは、海外にまで日本の農林水産物の良さを伝えられて、販売促進や需要喚起にまでつながればうれしいです。

また、ありがたいことにさまざまな機関とコラボ動画を作らせていただいています。例えば法務省ならば農福連携について、環境省ならば海洋プラスチックゴミの問題についてなど、農水省が関係ないものって、ほとんどないんですよね。

作物を作っている生産者さんたちは、本当に素晴らしくて、リスペクトしています。そうした生産者さんたちのお手伝いを、BUZZ MAFFでしていければいいなと考えています。動画一本で世界の誰かに魅力が伝わるということに、可能性があると思いますね。

タガヤセキュウシュウ編集中

動画を編集する人気チーム「タガヤセキュウシュウ」の2人

──農業への関心が高まることで、農業を仕事として検討する人が増えてほしいという思いもありますか?

大島:コロナ禍で地方にもスポットが当たるようになってきて、 農業を職業の選択の一つとして選ぶ人も増えてきているように感じます。職業としての農家には「きつい・汚い・格好悪い」などのマイナスイメージもいまだに残っていますが、現場に出ると、全然そんな風には思えないんですよね。自分でInstagramやYouTubeで発信していたりしますし、若い農家さんも増えています。農業のマイナスイメージの払拭は、今後YouTubeで発信できればいいなと思っています。そして「農業ってちゃんと儲かるんだ」ということも伝えていきたいですね。

大島さん仕事中

松本:今何気なく見てくださっている人たちが就農するかもしれないという期待はどこかにあります。「BUZZ MAFFを見てから部屋でハーブを育て始めました」というコメントを見ると、そうした小さいことの積み重ねで「農」に対する印象は変わってくるのかなと感じるんです。私たちが小さい時にはBUZZ MAFFはなかったですけど、今もしかしたら小学生の子が見ていて、「農業って身近だな、やってみたいな」って感じてもらえるといいなと期待していますね。

※ 情報は2021年6月10日時点のものです。

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