長崎が海外からも評価されているのは
歴史遺産だけじゃない!?
長崎と言えば、国内屈指の歴史を持つ港町であり、貿易の拠点として栄えてきた場所といったイメージが強いかもしれません。しかし、近年は戦後から植栽を進めてきたヒノキが伐採時期を迎え、林業も大きな盛り上がりを見せ始めています。五島列島や対馬などの離島が多いということもあり、長崎県ではスギよりもヒノキのほうがその気候風土に合っていました。そのため、全体の6~7割を占めるというくらい、他県と比べてヒノキの生産量が多いというところが特徴です。
特筆すべきは薄くピンクがかった上品な色合いが美しいヒノキです。
「現在、長崎県はこのヒノキを『長崎ひのき』として、県内外へとアピールしています。また、海の玄関口であるという地の利を生かして中国や韓国などへの輸出にも積極的に取り組んでおり、海外でも高い評価を獲得しています」と長崎県林政課の石川さんが教えてくれました。
さらに、県内の木工所と大手楽器メーカーとのコラボレーションで『長崎ひのき』を使ったカスタネットが販売されるなど、ヒノキの特徴を生かした新しい用途を県全体で模索。家具や内装材の企画・開発などにも取り組んでいるため、今後はさらに大きな注目を集めていくことになるでしょう。現在は国策として公共建築物などへの木材利用が推進されていますが、この『長崎ひのき』も保育園や幼稚園などに使われており、すでに実績は十分。より一層の飛躍がとても楽しみな存在です。
未経験からフォレストワーカーをめざせる
「緑の雇用」制度
国内外で注目を集める『長崎ひのき』をはじめとした木々が植栽された豊かな森林を守りながら、木材の産出を担うフォレストワーカーとして活躍しているのが、この仕事を始めて5年目になる田川昇さん。
以前は福岡で宅配ドライバーをしていたものの、地元である大村市に戻ってきたタイミングで「緑の雇用」制度を利用し、この仕事に就きました。「緑の雇用」というのは、まったく未経験からでも3年間の研修を通じて森林の仕事を覚えながら、必要な資格までを取得できる国の制度。「まったく経験がなかったので最初はやはり不安でした」と笑う田川さんだが、現在は班長を務める鮎川修さんも一目置くスゴ腕フォレストワーカーです。
そんな田川さんが語る林業の魅力は、やはり自分たちの手で美しい森林を守っていることを実感できるというところ。植栽された木々の成長の妨げとなる雑木の除伐や環境保全のための間伐などを終えてスッキリとした現場を見ると、手を加えるまでは薄暗かった森林に明るい光が差し込み、何とも美しい光景が広がっていると言います。また、こうして手入れをした森林へ数年後に訪れた際、木々の枝がしっかり張っている様子を見ると、それも大きな喜びとして感じられるのだとか。自然が相手である以上、ひとつとして同じ現場はありません。その場所、その場所に応じて、試行錯誤を重ねながら作業を進める必要があります。だからこそ、ひとつの現場が終わった後に見られる美しい森林風景が、毎回のように新鮮に感じられるのはないでしょうか。
山の中で働く仕事だけに、最初の頃は少し肉体的にはきつかったと田川さんは言いますが、それもしばらくすると慣れてきたそうです。それは、プロセッサーやハーベスターなどの高性能林業機械によって効率的に間伐をおこなう列状間伐を全国でいち早く導入したり、夏には空調服を支給するなど、効率的かつ働きやすい環境づくりを積極的に推進しているから。こうした取り組みが評価され、田川さんと鮎川さんが所属する長崎南部森林組合大村支所は令和2年度「第59回全国林業経営推奨行事」において農林水産大臣賞を受賞しました。さらに、長崎県では女性のフォレストワーカーも活躍しているという事実からも、その働きやすさが伺えます。
離島での田舎暮らしを実現!
長く安心して働ける環境があります
安心して仕事を続けられる環境が整い、なおかつ様々な研修が用意されている長崎県は、「自然の中で働きたい!」とお考えの方にとっては、まさに最適なフィールドだと言えるでしょう。また、安定した仕事に就けるため、「五島列島や対馬などの離島で田舎暮らしがしたい」という方にもうってつけ。もちろん、都市部に近いエリアでフォレストワーカーとしての技術に磨きをかけることも可能です。どこで働くかは自分自身で選ぶことができますし、実際に現地へ赴いて仕事を体験してから決めることもできます。興味がある方は、まずはお気軽に相談してみてください。
最近では若手のフォレストワーカーも増え、今年からは精鋭たちがおたがいに技術を競い合う「ながさき伐木チャンピオンシップ」が開催されるなど、長崎県の林業は活気に満ち溢れています。そんな楽しい仲間たちと一緒に自然相手の仕事をするので、普通の会社勤めにありがちな対人ストレスなどはほとんどなし。さらに、日が暮れたら山での仕事はできません。当然、残業はほぼありませんし、雨が降れば休みになることも。家族と過ごす時間や趣味などのプライベートも、きちんと充実させることができます。また、鎖国の時代から世界に開かれていたこともあり、長崎は他県からやって来る人々に対しても非常にオープンな県民性。移住者を快く迎えてくれるやさしい土地柄も、長崎県ならではの魅力だと言えるのではないでしょうか。
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