「京くれないEX」の特性
タキイ種苗が2013年に発表した「京くれない」は、鮮やかな赤色という見た目に加え、カロテン・リコピンという2種類のカロテノイドを併せもつ点で、多方面から評価を集め、人気となりました。今回新発表する「京くれないEX」は、近年の気象変動に対処するため、主に高温期の初期生育が向上するよう「京くれない」に改良を加えた品種です。そのため春~夏どり栽培も可能となり、幅広い作型で栽培できます。
初期生育がよく栽培性向上
「京くれない」は初期生育が緩慢なため夏場の暑い時期の立枯が心配でした。そのため「京くれないEX」は、特に初期生育のスムーズさを重点的に改良しており、春まき栽培も可能となっています。
リコピンの含量がさらにアップ
カロテンとリコピンの両方をバランスよく含んだ「京くれないEX」は、一般のニンジンに比べてカロテノイド総量が多く、リコピンの含量は「京くれない」よりもさらにアップしています。
「京くれないEX」栽培のポイント
①均一な発芽を心掛ける
ニンジン栽培においては、均一に発芽させることが良品生産のポイントです。発芽には多くの水分が必要なので、播種(はしゅ)後の乾燥に注意して土壌を適湿に保つように努めてください。初期の乾燥は又根の原因になります。
②適切な肥培管理を行う
「京くれないEX」は五寸ニンジンに比べて生育期間が長いため、追肥型の肥培管理に努めます。生育途中の肥切れは、黒葉枯病や斑点細菌病などの地上部病害の原因になります。追肥は肥大期に入る前(本葉6枚ごろまで)に施し、青首防止のためにしっかりと土寄せを行いましょう。
③収穫は十分着色してから
適作型は中間・暖地の秋冬どりで、12月〜2月まで収穫できます。播種後約120日、根長20〜22センチ程度になったころが収穫の目安です。大きさだけでなく、根部がしっかり着色したことを確認し、収穫してください。十分に着色させるためには、生育後半にしっかりと低温にあてることが重要です。
④春まきでは抽苔に注意
ある程度の晩抽性を有していますが、無理な早まきは抽苔(ちゅうだい)の危険があります。中間地のトンネル栽培では2月中旬以降の播種がおすすめで、さらにマルチやベタがけ資材を利用すると効果的です。冷涼地では5月上旬以降の播種がおすすめですが、地域によって異なりますので、確認の上、適期播種を心掛けましょう。
(執筆:タキイ長沼研究農場 坂巻有一)