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人生100年時代にこそ、老後は農業に取り組むのが吉?

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ライター:

人生100年時代にこそ、老後は農業に取り組むのが吉?

「人生100年時代」と言われ、老後も働くのが当たり前となりつつある今、改めて考えてほしいのが「老後は農業で自由に働く」という選択肢です。農業に縁がない都会暮らしの人の中には「難しいのでは?」と感じる人も多いかもしれませんが、実はそれほどハードルが高いものではありません。半農半ライターを実践する筆者が、「老後に農業」をすすめる理由と、40代・50代から取り組んでおきたいことについて解説します。

人生100年時代、老後も仕事を続ける自信ありますか?

ここ数年、「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになりました。ある海外の研究では、「日本で2007年に生まれた子供の半数が107歳より長く生きる」と推計され、国内でも「人生100年時代の到来」と言われるようになって久しいです。今後もさらに平均寿命が延びることが予想される中、より顕在化してくるのが「長生きリスク」です。2019年に大きな話題を集めた「老後2000万円問題」が浮き彫りにしたように、既存の年金制度だけで老後にかかるお金を十分に賄うのは難しく、65歳で引退するのではなく、その後も働き続け、引退時期を先延ばしにすることが重要だと指摘されています。

老後も働き続けることができれば、収入面だけでなく、心身の健康維持の面からも利点は多いと言えそうです。しかし、どれだけの人が老後も働き続けることが可能でしょうか。最近では、定年制度を廃止する企業が増えてきたり、日本政府も企業に70歳定年の努力義務を課したりしていますが、現実的には70歳、75歳……と、長く雇われ続けるのは難しいでしょう。そもそも、健康でなければ仕事をすることすらままなりません。心身ともに自立し健康的に生活できる期間を表す「健康寿命」は、平均寿命と比べて男性では約9歳、女性では12歳ほど短い(2016年調べ)ですし、現実的には健康寿命よりも早いタイミングで勤める場所がなくなる可能性も十分考えられます。

「シニア起業」を考える人もいると思いますが、これもそれほど甘いものではありません。僕自身、農業を始める前からフリーランスとしてライターの仕事をして20年ほどになりますが、開業後、十分な収入を得るためには2~3年の期間を要しました。僕の場合はほぼ未経験からの独立開業だったためで、これまでの実績・経験を生かしてすぐに活躍できる人であれば初めからうまくいくかもしれません。しかし「引退を機に新たなことにチャレンジしてみよう」という場合には、僕の経験や知り合いの自営業者の話からも、十分な収入を得るためには数年かかると考えておくのが妥当だと思います。

業種によっては、相応の初期投資が必要となるケースもあるでしょう。すでに引退時期を迎えているシニア層は、若い人に比べて失敗してから挽回する時間的余地がほとんど残されていません。これは資産運用でも言われることですが、若い時はリスクが高いけれどリターンが大きいものに投資し、年を重ねるにつれてより安全性の高い資産へと投資先を移行させていくというのが王道です。老後の思い切ったチャレンジは、リスクを取り過ぎている可能性が高く、決して手放しでおすすめできるものではないと言えます。

老後は「農業で自由に働く」が理にかなっている

家庭菜園

家庭菜園の様子

そこで老後の選択肢として考えてみてほしいのが「農業」です。田舎では当たり前の光景ですが、「老後の農業」はさまざまな面から理にかなっています。まず、自営業として始めれば定年がありません。雇用されるのとは違い、自分のペースで労働時間を決められます。特に健康に不安を抱えている人の場合、「自分のペースで」という点はとても大きな利点です。僕はフリーライターと農業で生計を立てていますが、自由度の面では圧倒的に農業が勝るというのが実感です。

最近では、道の駅などの直売施設が各地に設けられており、副業レベルの規模、例えば年金に加えて月5万円程度の収入を得る程度であれば、実現の可能性がかなり高いです。「売り物になる農作物を作るのは難しいのでは?」と考えている人もいると思いますが、そこは「自給農」をうまく組み合わせれば容易に解決できます。見栄えがいいものを直売所で販売してお金に換え、そうでないものを自給用に回すといったことが可能だからです。政府の家計調査によれば、65歳以上の高齢夫婦の食費は月およそ6.5万円(2020年調べ)で、そのうち3万円程度を自給できれば、単純計算で年間36万円の「実質的な収入」を得ているのと同じ。一般的なビジネスとは異なり、「絶対離れない“自分”という常連さん」がいる状態でスタートできるのはとても大きいと思います。

見逃せない「健康維持」の大きなメリット

老後に農業をするメリットは、収入面だけではありません。早稲田大学政治経済学術院名誉教授の堀口健治(ほりぐち・けんじ)さんの研究によれば、自営農業に取り組んでいる人は「元気で長生きする」という結果が出ています。また、順天堂大学でも「アグリヒーリング」の研究が行われており、農作業によるストレス解消効果などが示されています。

少子高齢化によって高齢者の医療費の増大が大きな社会問題になっており、2022年度には、これまで医療費の窓口負担が1割だった後期高齢者の一部の負担が、2割に引き上げられる予定です。今後も現役世代が減少していけば、さらなる引き上げが予想されます。医療費が老後の生活を圧迫する可能性が高く、健康を維持することが家計を守るためにも大切です。ぜひ健康増進の面からも「老後に農業」を検討してみてほしいと思います。

40代・50代から始めておきたいことは?

60代から農業を本格的に始めるのであれば、40代・50代から自分なりのペースで副業的に農業を始めておくのがいいでしょう。「半農半会社員」として農業に取り組むことができれば、定年退職を迎えたタイミングで農作業をこなすだけの知識・体力が備わっており、なおかつ、ある程度の売り上げのベースを確保しておくことが可能だからです。

まずは農業の“つながり”を作る

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農業も勉強が大事

では、具体的にどんなことから始めるのがいいでしょうか? 僕がおすすめするのは、自治体や地元農協が主催する「農業研修」に参加することです。なかには家庭菜園の延長のような教室もあると思いますが、それでもかまいません。その目的は「就農仲間を見つけること」と「行政・JAとのパイプを作ること」です。

これは一般的によく言われることですが、就農時の一番のネックになるのが「農地の確保」です。世間では耕作放棄地が大問題となっているため、「容易に借りられるのでは?」と考えがちですが、現実はそれほど甘くありません。知人の農家などからの紹介がなければ、自力で見つけ出すのはほぼ無理でしょう。そこで、身近な研修に足を運び、農地のあっせんなどを行っている行政・JAとのつながりを作っておくわけです。

コロナ禍でリモートワークが普及し、以前に比べて時間調整がしやすくなった人も多いはずです。週1回、半日くらいの研修であれば、時間の融通が利く人もいるでしょう。これをうまく利用して研修に参加し、行政・JAとのパイプを構築したうえで、「後ろ盾」を得た状態で農地を探すことができれば、就農時のハードルを下げられる可能性がぐっと高まります。この手の研修には「実家が農家」という人が参加するケースも多いですから、「もしよければ空いている土地を使ってみる?」といった話も舞い込んできやすくなります。

僕も、地元の農業研修をきっかけに新規就農を果たしました。週1回、半日程度の研修カリキュラムだったため、フリーライターの仕事とも両立しやすく、むしろいい気分転換になったくらいです。そして、研修をきっかけに、農協や行政の人たちとのつながりができ、農地をあっせんしてもらったり、先輩農家さんを紹介してもらったりしました。

売り先の確保も重要

また、就農後の壁となりがちなのが「売り先の確保」です。首尾よく農地を借りたり、実家の農地などを利用したりして栽培を始めることができたら、次は小さくてもいいので「販売」にチャレンジしてみてほしいです。

手っ取り早いのは地域の農産物直売所への出品でしょうか。僕も規格外のタマネギなどを一部出品していますが、月2~3万円の副収入を得る程度であれば難なくクリアできるはずです。ポイントは、決して無理をしないこと。「自給+プチ収入」というスタンスを崩さなければ、趣味的な感覚で長く続けられると思います。

個人的におすすめしたいのは「畑での無人販売」です。実際にテストしてみたところ、収穫カゴと貯金箱を置いただけの簡易な無人直売所で、1日3000円程度の売り上げになりました。並行して商業施設に入居する農産物直売所にも出品してみたのですが、2~3割程度の販売手数料がかかるうえ、納入の手間もあり、むしろ無人販売所の方が儲かるという結果になりました。もちろん立地などの条件によるとは思いますが、テストしてみる価値は十分にあると思います。

アイキャッチ_無人直売

畑の横でテスト販売

早めに、小さなことから準備を

農業は、多くの作物が「年に1回」のサイクルで動いていきます。そのため、早めに小さく始めてPDCAサイクルを何度も回しておくのがポイントです。小さい規模で失敗を経験し、老後に本腰を入れて農業を始めるための地ならしをしておくのが大切だと思います。

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