全頭驚愕の「黒毛和牛」一筋!
「も~も~中山牛」で受賞歴多数のこだわりとは?
創業1950年。社長の中山高司さんが独立して一人で牛を飼い始めたことから、うしの中山の歴史はスタートします。当初は鹿児島県出水郡長島町に農場を構えており、2017年にもっと多くの牛を飼うため1000頭の牛とともに鹿屋市へ移設。現在、42棟もの牛舎で黒毛和牛4800頭を育てています。「牛のポテンシャルを最大限に引き出す育て方を行うのが中山の信念であり、当社が追求し続ける理念」と話すのは飯山さん。飯山さんは現場を取りまとめ、人材育成も担う専務。面白いことに同社は現在、社長と専務(現場・販売・経営の計3人)以外の役職はありません。つまり専務がそれぞれの現場の最前線で業務に当たっているわけです。
飯山さんも牛が好きで、社長の牛飼いとしての考え方と行動力に惹かれて中途入社したそう。「ここは牛を飼う環境が整っています。牛舎は移設の際に新しく建てたもの。牛は寒さには強いけれど、人よりも汗腺が少ないので体温調節が難しい夏は苦手です。そこで舎内に扇風機を設置するのはもちろん、屋根の上に散水を行い、気温・湿度を感知してミストを放出する機器を全棟に装備。ミストの粒の大きさにも徹底してこだわっているんですよ」。取材した日は厳しい残暑で屋外は立っているだけでも汗が滴る暑さ。ところが牛舎に入るとグッと涼しく快適に。牛が心地よい環境を整えることは、健康的で良い肉を作ることに直結。牛舎ひとつ取っても、細部まで配慮されているのが分かります。
現在、牛舎で働くスタッフは30名ほど。夜勤専門のスタッフ以外は、朝7時から夕方5時の勤務を行います。飯山さんもスタッフや牛とコミュニケーションを取りながら現場を巡回。自ら指導を行うだけでなく、社長とスタッフの意見をつなぎ、チームとして一体感を生む声かけにも余念がありません。「牛の質全体を底上げするためにはスタッフ一人ひとりの成長が鍵。個々の持ち味を伸ばし、やりがいを持って意欲的に取り組める環境づくりにも力を注いでいくつもりです」。
入社5ヶ月でオールラウンダーに!?
挑戦心があれば信頼して仕事を任せてもらえる現場
2021年3月に入社した坂本晃汰さんは、実家が佐賀県で牛の繁殖農家を営んでいます。生まれた時から牛が身近にいて、牛が大好き。自然と畜産に興味を持ち、中学卒業後から本格的に家業を手伝い始めたそうです。「家業の後継は兄に決まっていたので、それならもっと広く畜産を知りたいと思って飛び出しました」。縁もゆかりもない鹿児島の農場を選んだのはなぜなのでしょう?「働き先はどこがいいか、SNSを使って探していたところ、うしの中山のインスタを見つけて。楽しそうな雰囲気が伝わってきたので詳しく調べると成績も優秀。生産の現場はある程度経験したので、次は牛を仕上げる肥育の現場で高い技術を学びたいと思ったんです」と、ニコニコハキハキ答えてくれる坂本さんは若干18歳。聞き手がびっくりするほどしっかりしていますが、探し方はちゃんとイマドキの若者で少しホッとした部分も。
18歳とはいえ、牛の世話は他の社員に引けを取らないほどの経験があります。「でもここで働いて、肥育は生産と別ものだと感じました。当社では生後10ヶ月ほどの素牛を購入し、約20ヶ月かけて育て出荷します。月齢によって、また個体によって食事や体調に目を光らせなくてはいけません。覚える作業や知識が多く、大変だけど刺激があって楽しいですよ」。その刺激の一つは、社長との出会いだと話します。驚いたのは、これまでのキャリアや多くの実績があるにもかかわらず、今なお、牛飼いとして努力を続けていく姿勢。そんな社長に教わったことをたずねると、「毎日ちゃんと牛に挨拶しろ、と。一頭ずつ顔を見て、おはようと声をかけろと言われました」。実際に社長もやっているそうで(社長はほぼ毎日現場に来て自ら牛の様子をチェックします)、顔を見れば好不調がわかるのだとか。「僕はまだまだです」と謙遜する坂本さん。ところが現場では牛の見回りの他、体調不良の牛に対する対応を任されるほどの実力を付けてきているのです。
同社の農場には4800頭が飼育されています。温度・湿度管理や給餌も機械化を徹底し、スタッフの手間を削減。その分できた時間を牛の見回りに当てています。暇があれば担当牛舎を歩き、顔や体つきをチェック。また、全頭に小さな温度計を飲ませ胃の温度変化で水をどれだけ飲んだか、体調に異常はないかなどデータに基づいた判断を行なっています。どんなに注意していても体調不良の牛は毎日必ずいるそうで、ひどい場合は獣医を呼ぶことも。その間に手をこまねいているのではなく、限られたスタッフで初期の手当てを実践。坂本さんは入社5ヶ月ではありますが、社長や飯山さんとともに初期の手当てに対応する一人です。元来の素質を多くの経験で磨き、オールラウンダーとして活躍を期待されているとか。同社が年齢や経験を問わず、意欲を持って仕事に取り組む人材にチャンスを与える職場だということも言えそうです。
周りがほぼ全員年上という坂本さんにとって、職場の居心地は重要なポイント。「笑いがある職場。飯山専務をはじめ、温かくおおらかなスタッフに囲まれて充実した毎日を過ごしています。厳しい指導もあるけれど、納得できるまで対話をしてもらえるし信頼関係が築けているので不安はありません」。加えて、定期的に自社ブランド肉を食べる機会があるのも楽しみの一つだと言います。「入社して初めて食べたとき、人生で一番美味しい牛肉を食べたと思いました(笑)。口の中で脂と旨みがとろけるんですよ!そんな牛肉を育てる最高レベルの現場に携われるのは何よりの喜び。牛が好きで、だからこそ最後まで健康に育てて美味しい牛肉として食べてもらえるよう努力を注ぐのが使命であり、牛に対する礼儀だと思います。それを実感できたのは、ここで働いたからこそ。今後も現場で学び、世界一の牛肉を作る世界一の農場を目指していきます」。
“世界一”を目指して加速!
原動力となる若い力で、もっと畜産業界を盛り上げたい!
うしの中山では、飼育頭数から管理能力、美味しさに至るまで“世界一”を追求して進んでいます。さらに効率よく動ける職場を整えようと、スタッフが見回りに使うアイテムの充実に注力。広い農場を電動カートやスクーターで移動するのはよく見かけますが、同社では新たにセグウェイ(スケートボードタイプ)を導入。操作を練習するスタッフは、使いこなせるのか心配しつつもなんだか楽しそうでした。そうなると、どんな設備でどんなふうに牛と触れ合っているのか、実際の現場に興味が湧きませんか?
総務部の柚野秀斗さんに尋ねたところ、「当社ではインターンシップの用意がありますよ。餌やりから牛舎の見回りなど、通常行う作業を体験してもらいます。担当牛舎を割り当てられるので、時間を見つけて足繁く通えば牛の変化に気づけるようになるかもしれません。ポイントは目つきや頭の角度など多数有り。体調が悪ければ手当を行い、牛が回復して大きく育ったりすれば達成感を味わうこともできるはず。全国で高い評価を受ける牛肉を生み出すチームの一員として、たくさんの刺激を受けてみてください!」。柚野さんは、鹿屋体育大学在学中に同社直営の飲食店でアルバイトとして働いた経験があります。そこで築いた上司との関係性に支えられ、卒業後は大手企業に勤めるも「やっぱりあの人のもとで働きたい」と転職を決意して現在に至ります。この経緯から、同社は牛を育て上げる技術力だけでなく、人を惹きつける人間力も有する会社だと推察できそうです。
どんな人と働きたいかの質問に「牛が好きな人」と即答したのは専務の飯山さん。「当社ではさらなる規模拡大を狙うプロジェクトが進行中。これまで培ってきた技術やノウハウを継承し、未来につなげていける若手が仲間になってくれるとうれしいですね。私自身、入社して改めて畜産の将来のビジョンを描けたし、そういう仕事に携われる面白さを実感しています」。こだわりの詰まった環境・餌・管理で魅力ある牛肉を作り出す同社には、県内外から10代・20代の個性あふれるスタッフが集まってきています。スタッフ同士の切磋琢磨で、新たな化学反応が期待できる職場。上司としても牛飼いとしても信頼の厚い飯山さんのもと、仲間たちと一緒に自身の可能性を広げてみませんか?
【問い合わせ先】
有限会社うしの中山
〒893-1602
鹿児島県鹿屋市串良町有里5137-3
TEL:0994-62-4510
FAX:0994-45-6543