本気で取り組めば稼げる農業も夢じゃない!
30年分のノウハウを1からすべて教えます!
そもそも有機農業とは、「自然との調和を大切にしながら、化学肥料や農薬に頼らず丁寧な土づくりをすることで、そこに生息する多様な生き物と共生しながら行う農業」のこと。JAS法に基づく有機JAS制度では、有機農産物と表示するには「有機JAS認証」を受け、有機JASマークを付けることが義務づけられています。
熊本県は、この有機JASの農家数・ほ場面積共に全国3位。米や野菜、果樹と多様な作物を栽培しており、有機JAS農家も全国3位(※令和3年3月 農林水産省調べ)という有機農業先進県。そんな熊本県に2011年、有機農業を専門に学べる場としてスタートしたのが、熊本県有機農業者養成塾(以下、養成塾)。これまで約50人が卒塾し、45人が実際に就農を実現してきたそうです。
宇城市でトマトの有機農業を始めて31年になる澤村輝彦さんは、養成塾の受入農家ネットワークの代表を務めています。これまで7名の研修生を受け入れ、有機農業の指導を熱心に行ってきただけでなく、卒塾後のサポートも続けています。
有機農業が確立されていない時代に始めて、試行錯誤で取り組んできたという澤村さん。農薬や化学肥料を使わずに農作物を作ることは、実際には簡単ではないといいます。「毎日の天候はもちろん、機械も操作しないといけないし、病気や虫がないかも見ないといけません。常に五感が求められる。私もここまで来るには、失敗も数知れずありました。それでも、美味しくて安全で本当に体にいいものを目指してやってきました」。
養成塾に参加する人は、異業種から参入する人がほとんど。澤村さんは、30年かかって得た経験や技術を1年間ですべて指導するそうです。「栽培するだけでなく、作った農産物を流通にのせることも不可欠です。自分でできるようになるまでは、関西や関東の食材や産地こだわっている店や生協など私たちが開拓した独自のルートで販売するサポートもします。だからこそ、研修期間内になるべく多くのことを学び、自立する準備をしてもらいたいと思っています」。
今では実際に、年収2000万円を超える収益を上げている卒塾生もいるとか。「有機農業は簡単ではないけれど、努力次第では可能性がいっぱいあります。こういう作物を作れば消費者は買ってくれるし、流通も一目置いてくれるということが30年かけてわかってきました。その技術やノウハウを1年間に凝縮して、1から10まですべて指導します。本気で取り組めば、稼げる農業も夢ではありません!覚悟を持って扉をたたいてほしいですね!」
ラーメン店経営から移住→就農の道!
夫婦で有機農業を始めようと思ったワケ
そんな澤村さんの元で現在、有機農業を学んでいるのが斉藤康貴さん・奈帆子さん夫妻です。康貴さんはもともと熊本市内でラーメン店を営んでいて、奈帆子さんは3人の子育てをしながら手伝っていたそうです。もともと食への興味があったという奈帆子さん。体調がいまいち優れない時、たまたま参加した保育園での講話で、食と農業、健康のつながりについて学んだことから、有機農業への関心が高まったといいます。熊本県有機農業研究会を通じて澤村さんに相談。その後、新型コロナ感染拡大による営業縮小を受けていた康貴さんも一緒に研修することになりました。
「澤村さんが稼げる農業を指導すると言ってくださったのが大きかったですね。お金だけでなく、食べた人も満足してもらえるような技術を身に付けていきたい」と康貴さん。
家族5人で阿蘇市に移住し、澤村さんの畑でトマト栽培を学ぶようになって約半年。
「澤村さんが30年間で経験されたことを1から10まで教えてもらう毎日。天候への対応など、まだまだ学ぶことがたくさんありますが、自然の中でストレスなく仕事をしています。ここに来て、体調も考え方も大きく変わりましたね」という奈帆子さんに対し、「有機農業は自然にもやさしいし、人が食べても安全なので、地球や次の世代にもきれいな環境を残していけるという自負を感じながら仕事ができます」と康貴さん。
それまで子育てを奈帆子さんに任せっきりだった康貴さんも、今では積極的に子育てに参加。保育園の送迎からすべて完璧にできるようになるなど、家族のライフスタイルも大きく変化したそうです。
また、今後の就農のために無くてはならないのが、ほ場(畑)ですが、「澤村さんに相談したりして見つけるのは大変でしたが、今住んでいる家を紹介してくれた人のつてで、探すことができました。来年4月にはトマトの苗を植える予定です」と、澤村さんの後押しを受けて、卒塾後の独立準備も着々と進んでいるようです。
これから就農を考えている人に、「都会と違ってこっちは人のつながりが濃厚だったり、地域の行事に参加することが多いなど、環境が大きく変わります。初めて就農という場合は、作物のことだけでなく、事前に調べたり体験したりして、納得しておくことが大切だと思います」と康貴さん。
さらに奈帆子さんも、「私たちは稼げる農業をやりたいと思ってきましたが、『田舎暮らしをしたい人』『農業に憧れている人』など、さまざまだと思います。何十年もやってきたことを短い時間で習得するのは簡単ではないので、それだけの覚悟は必要です。自分はどんな農業をやりたいか、あらかじめ決めておくのがオススメです。そのためにも、インターンシップなどに参加することをおすすめします」とアドバイスしてくれました。
就農相談からアフターフォローも万全!
まずはインターンシップに参加を
11年目を迎える養成塾の研修期間は、基本的に1年間。育てたい農作物や、どういう農業をやりたいかによって、その人に合った研修先を紹介してくれます。研修が始まれば、週に5日間の有機農業実習と、月に1回程度の集合研修が始まります。基本的には1日8時間、週に40時間の研修ですが、農繁期などによっては研修時間が変更になることも。
研修では農業技術のほか、機械操作、農村での暮らし方、経営や流通、農産物の加工、種苗と自家採種、有機JASなどの幅広い技術を学ぶことができます。また必要に応じて、養成塾以外の研修にも参加し、新規就農者のネットワークづくりや情報交換なども可能です。研修期間だけでなく、研修後も事務局や受入農家を通じたネットワークが続くため、先輩や仲間たちがよき相談相手として心強い存在になってくれるはずです。
熊本県有機農業研究会では、農業インターンシップも募集中です。相談会の出展も予定されているので、自分がどんな農業をしたいのかまだ決めきれていない人、経験者の体験談を聞いてみたい人もまずは相談をしてみてはいかがでしょうか。
【問い合わせ先】
特定非営利活動法人 熊本県有機農業研究会
〒861-8030
熊本市東区小山町1879-3
TEL:096-223-6771
FAX:096-223-6772