安心して将来設計できる「酪農ヘルパー」という選択肢
職業選択のひとつとして「酪農ヘルパー」と言われても、おそらく大半の方は「それはいったい何をする仕事なの?」と思われることでしょう。ペットを飼った経験がある方なら、なんとなくイメージが湧くかもしれません。例えば動物を飼育するとなると、毎日欠かさず朝夕にエサを与えなければいけませんし、トイレ掃除も欠かさずしないとストレスが溜まります。それは当然ながら乳牛も同じです。酪農家になれば、さらに搾乳をする必要もあります。つまり生き物を扱う酪農家には、年間365日のうち1日たりとも休日がないのです。
しかし、それでは病気やケガをした時に困ってしまいますし、休日をまったく取れなければリフレッシュすることもできず、体力的にも精神的にも続けることが難しくなってしまいます。また、1日も休日がないとなれば、酪農に興味のある若手が家業を継いだり、新規就農を躊躇してしまうのではないでしょうか。そうなると、県内の酪農はどんどん衰退してしまいます。
そこで、欠かせない存在なのが「酪農ヘルパー」です。酪農ヘルパーは、酪農家に代わって乳牛のお世話や留守を預かるお仕事。例えば、酪農家さんから「この日は家族の記念日だから出かけたい」とリクエストがあれば、その牛舎に赴いて搾乳や餌やり、清掃などの作業を行います。とはいえ、この職業はただ軽作業を代行する「お手伝いさん」ではなく、酪農に関するきちんとした知識がないと務まらない仕事です。だからこそ、頼れるプロとして安心して留守を任され、作業後は「ありがとう」と感謝されて、とてもやりがいを感じます。
さらに、専門性が高く社会的な意義も大きい仕事だけに、待遇や福利厚生が充実しているのも「酪農ヘルパー」ならではの魅力。通常の会社員と変わらない安定した収入を得ることができますし、福利厚生もとても充実しています。「将来的に結婚して子どもができて、マイホームを購入するために住宅ローンを組む」といったライフプランもしっかりと立てて仕事ができるので、職業選択のひとつとして検討する価値は十分にあります。
1年目の若手が語る!「酪農ヘルパー」の魅力とは?
卒業後は動物園やサファリパークで働きたいと考え、そのための知識・スキルを学べる専門学校に通っていた髙松鈴さん。「地元で働きたい!」という思いが強かったものの、久留米には観光牧場のような施設がなかったため、「酪農ヘルパー」になるという道を選びました。この仕事を始めて半年ほどになりますが、現在は先輩について仕事を学んでいる最中。最初の3ヵ月間は充実した研修が用意されていたため、「不安に感じることは何もありませんでした!」と、当時を振り返ってくれました。
酪農ヘルパーをしていると、牛たちにも日によって機嫌の良し悪しがあったり、性格がおとなしかったり活動的だったりと、個性があって面白いのだとか。また、さまざまな酪農家さんを訪れるため、牧場ごとに違う酪農のやり方、考え方があって非常に勉強になることが多いのだそう。この仕事は午前6時から10時、そして午後4時から8時と朝・夕の勤務時間になりますが、髙松さんは「日中の時間を自由に使えるところは、この仕事ならではの魅力ですね!」と語ってくれました。空いている時間は家に帰って昼寝をしたり、買い物に出かけたり、姪っ子と遊んだりなど、気ままに過ごしていると言います。
今後の目標は、先輩たちのようにひとつひとつの作業をより早く、きれいに、丁寧にできるようになること。「ここは人間関係がとても良いので、何でも気軽に相談できます。だからこそ、着実に成長を続けることができるんですよ」と話す髙松さんにとっては、そんな職場の雰囲気も「この仕事を選んで良かった!」と感じているポイントだそうです。
兄弟で「酪農ヘルパー」として活躍中!
頼れる先輩陣が語る、この仕事・職場の魅力
実の兄弟である馬田裕介さんと小野寺弘之さんは、30代ですでに10年以上のキャリアを持つ腕利きの「酪農ヘルパー」久留米エリアの酪農家たちから、絶大な信頼を獲得しています。これだけ長く仕事を続けられている理由として、弟の小野寺さんは「牛は瞳がやさしいんですよ。作業が大変なこともありますが、毎日開放的な現場で、牛に見つめられながら仕事をできるのは、一般的な会社勤めでは体験できない環境です!」と話してくれました。酪農家さんとの人間関係も非常に良いので、ストレスはほとんどないそうです。
実は、今の仕事を楽しげに話すこのふたりのお父様も酪農家でした。しかし、「酪農は継がせたくない」とつねづね話していたのだとか。馬田さんは「おそらく父は365日休めない仕事を、子どもたちにさせたくなかったんでしょうね。ただ、その頃に酪農ヘルパーという制度があれば、また考え方は違ったかもしれません。今の酪農家さんは私たちと協力し合って酪農に取り組めますし、重たい荷物の運搬は機械化されているので、昔のように過酷な重労働ではないんですよ」と教えてくれました。そんなエピソードが物語っているように、今や業界にとって「酪農ヘルパー」の存在は欠かせません。それを兄弟そろって担っているということに、何か運命めいたものを感じます。
私たちが日頃から当たり前のように飲んで、料理やスイーツの材料としても使われている牛乳は、日本の食卓においても米に次いで重要です。その生産を担う酪農家と、それを支える「酪農ヘルパー」の存在は、人々のいのちを守っていくために必要不可欠なものです。
酪農家の財産であり、大切な命でもある乳牛を預かる仕事には、もちろんプレッシャーもあります。でもプレッシャーがあるからこそ、心から感謝される喜びを実感できるのです。「まずは体験だけでもしてみて、この仕事の醍醐味に触れてもらえれば嬉しいですね」と、最後に声を揃えて語ってくれました。
現在、福岡県酪農ヘルパー利用組合では気軽に半日から体験できるインターンシップも実施中です。担当エリアは福岡県内6つに分かれているので、希望エリアでの参加も可能です。詳しくは下記ページをご覧ください。
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