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これからの日本の水産業はどうなる? 水産業の現状から見る未来

これからの日本の水産業はどうなる? 水産業の現状から見る未来

水産業の現場で問題となっているのが、従事する人の高齢化担い手不足です。2018年度の漁業センサスによると、国内の漁業従事者は15万1,701人。そのうち65歳以上が4割を占めています。また、個人経営体のうち後継者がいるのは全体の2割以下という統計も出ています。日本の漁業就業者数は一貫して減少傾向にあり、1988年には約39万人いた漁業者も2018年には約15万人と半数以下に減っています。年齢の割合を見ても、これからの水産業の現場を担う40歳以下が少ないことは明らか。魚がいなくなるのが先か、 漁師がいなくなるのが先か……そんなことが危ぶまれているのです。実際に気になるのは、果たして「水産業に未来はあるのか」ということ。ここでは、日本と世界の水産業を比較しながら、これからの水産業の可能性を考えていきます。

水産庁HPより引用した漁業就業者数の推移のグラフ


※出典元:水産庁「漁業就業者数の推移

水産業は衰退産業? 成長産業?

日本の水産業は、1985年頃をピークに生産量が減少し続けています。漁業者の高齢化・担い手不足も問題となっていることから、日本では「衰退産業」と言われることが多いのが現実です。

水産庁HPより引用した日本の漁業生産量の推移のグラフ

日本の漁業生産量の推移


※出典元:水産庁「数字で理解する水産業

しかし、世界に目を向けて見てみると、海産物の生産量は伸び続けていて、全世界で海産物に対するニーズが高まり続けています。つまり世界的には、水産業は大きなチャンスのある「成長産業」と考えられています。 例えばノルウェーでは、大学まで進学した人たちが卒業後に漁師や船関係の仕事に就くほど、人気のある職業になっています。資源が枯渇しないように国が徹底した管理を行い、人気のある養殖サーモンは世界市場をターゲットにした育成・出荷方法で付加価値をあげるなど、確実に稼げる産業に変えることに成功しています。

水産庁HPより引用した世界の漁業・養殖生産量の推移のグラフ

世界の漁業・養殖生産量の推移


※出典元:水産庁「平成29年度 水産白書全文

一方で日本の水産業は、魚を獲ることに関して厳格な規制をしてきませんでした。その結果、資源の枯渇が進み、「漁師はキツくて稼げない」と人気のない仕事になってしまいました。
今後の日本においては、水産資源管理をしっかりと行っていくことが成長産業へ変える鍵として考えられていて、2020年に制定された改正漁業法でも、水産資源管理はTAC(漁獲可能量)による管理を行うことを基本とすることが定められています。

TAC(漁獲可能量)とは?

水産資源の維持のため、特定の魚種ごとに捕獲できる総量を定めたもの。日本では、1997年から漁獲量のTAC(漁獲可能量)制度による資源管理が行われています。2021年12月現在、8魚種が指定されていますが、今後魚種が増えることが見込まれています。

対象魚種:クロマグロ、サンマ、スケトウダラ、マアジ、マイワシ、マサバ及びゴマサバスルメイカ、ズワイガニ

選定基準:
1.漁獲量が多く、国民生活上で重要な魚種
2.資源状態が悪く、緊急に管理を行うべき魚種
3.日本周辺で外国人により漁獲されている魚種

日本人は肉派? 魚派?

突然ですが、あなたはお肉とお魚どちらが好きですか? 1週間の食事のうち、たくさん食べるのはどちらでしょう? お魚大国日本も、2001年を境に魚介類の消費量は減り、2011 年以降は肉類の消費量が魚介類消費量を上回るようになりました。また、農林水産省が実施した令和元年度「食料・農業及び水産業に関する意識・意向調査」では、64.9 %の人が「肉類をよく購入する」と回答しています。価格の高さや調理の手間などの理由はさまざまですが、日本の家庭で魚を食べる機会が減ってきていると言えます。

日本人は肉派? 魚派?
※出典元:水産庁「数字で理解する水産業

一方で世界はどうかというと、魚介類の消費量は増加傾向にあります。FAO(国連食糧農業機関)の報告によれば、 ひとり当たりの魚介類の消費量は過去半世紀で約2倍に増加。輸送技術の発達や都市人口の増加、健康志向の高まりなどが理由としてあげられ、需要が増えているのです。それでも、日本人ひとり当たりの消費量は世界平均の約2倍もあります。お寿司は子供から大人まで根強い人気がありますし、近年はサバ缶ブームも起こったように、やはり日本人にとって魚は切っても切れない大切な食材と言えます。

水産庁HPより引用した世界の海産物の消費量の図

世界の海産物の消費量


※出典元:水産庁「数字で理解する水産業

日本の水産物の食糧自給率は?

1970年代半ばまで日本の水産物における自給率は100%を超えていました。しかし、排他的経済水域の制定や漁獲減少などの影響により輸入量が増え、水産物の自給率は56%にまで下がってしまっています。
日本の水産物の食糧自給率は?
※出典元:水産庁「令和元年度 水産白書全文

日本の輸入量は、消費量が減っていることや世界的に魚の需要が増えたこともあり、ゆるやかな減少傾向にありますが、全体の数量としては、EU、中国、米国に次いで輸入上位国にランクインしています。ちなみに、輸入品目のベスト3は、サケ・マス類(12.7%)、カツオ・マグロ類(11.0%)、エビ(10.5%)となっています。


キャプション:※出典元:水産庁「平成29年度 水産白書全文

このように日本は島国でありながら、魚の消費量の約半分を輸入に頼っています。国内の水産物の需要を賄うために、生産力を高めることや、国内で獲れる魚をおいしくいただくといった消費者の意識改革などが求められています。

水産業の未来は、自分たちが切り開く

日本の水産業は世界と比べると、まだまだ後進国。しかしそれは「伸びしろ」があると言い換えることができます。時代とともに食生活の変化はあっても、長い年月をかけてこの国に息づいてきた「和食文化」の最たるものが魚であり、世界的な需要も増え続けています。
これからは、量よりも質の時代。一人ひとりが意識を持ち、「獲ったもん勝ち」から「持続可能」な水産業へ変容させていくことが、成長産業へと変える鍵となるはずです。

水産業の未来は、自分たちが切り開く

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