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みどりの食料システム戦略を実現させるためには? 大規模有機農家が有機農家に伝えたいこと

みどりの食料システム戦略を実現させるためには? 大規模有機農家が有機農家に伝えたいこと

全国の農場を渡り歩いているフリーランス農家のコバマツです。今回も北海道の十勝に来ています。農林水産省が「みどりの食料システム戦略」を打ち出し、日本の有機農業の取り組み面積を耕地面積の25%にするという目標を掲げました。「それを実現するためには大産地から始めるべき。そうすれば実現可能性はぐっと高まる」。そう話す生産者の元を訪れました。
25%を実現させるために必要なことって? 日本でそんなことが可能なの? 日本の有機農業の可能性について聞いてきました。

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みどりの食料システム戦略、現役有機農家にはどう映る?

みどりの食料システム戦略とは?

皆さん、2021年3月に農林水産省が打ち出した「みどりの食料システム戦略」という政策を知っていますか?

みどりの食料システム戦略は、「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるため、中長期的な観点から戦略的に取り組む政策方針」とされています。 農林水産業全体の生産力を、持続可能性と矛盾することなく高めていくことを目標としており、2030年まで、2040年までと10年ごとの達成目標が設定されています。

「2050年までに目指す姿」として掲げる農業関連の項目は、主に以下の4つ。
1. 農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現
2. 低リスク農薬への転換、総合的な病害虫管理体系の確立・普及に加え、ネオニコチノイド系を含む従来の殺虫剤に代わる新規農薬等の開発により化学農薬の使用量(リスク換算)を50%低減
3. 輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減
4. 耕地面積に占める有機農業の取り組み面積の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大(国際的な有機農業の基準で)

今回取材で取り上げるのは4つ目の項目。
日本国内における有機JAS取得済みの圃場(ほじょう)面積は、2019年4月時点で約0.25%というのが現状です。この数字から約30年で100倍の25%にどうやって持っていくのでしょうか?

有機転換は大産地から! しかも米が一番やりやすい!?

この疑問に答えてくれるのはあの人しかいない。
前回訪れた北海道十勝地域、中川郡幕別町の折笠農場の折笠さんを再度訪ねました。

前回の記事
大規模に有機農業を展開するには? 大産地十勝での自然栽培への挑戦
大規模に有機農業を展開するには? 大産地十勝での自然栽培への挑戦
全国の農家を渡り歩いているフリーランス農家のコバマツです。今回私が訪れたのは北海道の十勝。「有機栽培は大規模産地からやるべき」そんなことを話し、自ら有機JASの認証を受けた圃場(ほじょう)で自然栽培を実践している人がいると…

前回の取材では、「有機栽培は大産地からやるべき」と力強くお話ししていました。
「有機栽培=小規模に・丁寧に・こだわって」、そんな固定観念がありましたが、折笠さんに出会い、その考えは見事に崩れ去りました。
なんと、栽培総面積95ヘクタール、うち33ヘクタールもの有機JAS認定を取得した圃場で大規模に自然栽培をしています。

折笠さんの畑。相変わらずデカい

機械を使い、効率化をしながらも、有機に向く品種を見つけ出し、きちんとそれが育つ土壌作りをすることで、農薬も肥料も使わない自然栽培をしています。
そんな折笠さんに、改めて、日本で有機栽培を普及させるために必要なことについて聞いていきたいと思います!

■折笠農場 折笠建(おりかさ・ますらお)さんプロフィール

折笠さんプロフィール 1968年、北海道幕別町生まれ。北海道幕別高校を卒業後、札幌商工会議所付属専門学校を経て実家である株式会社折笠農場に入社。現在は農場の5代目として株式会社折笠農場取締役、さらに加工品作りを行う有限会社ベルセゾンファーム代表取締役も務める。食べる人を意識した商品作りがモットー。

コバマツ

国はみどりの食料システム戦略の中で「有機農産物の取り組み面積の割合25%」という政策を打ち出していますが、どのような行動をしていけば実現可能だと思いますか?
私も、この政策が打ち出されたとき、25%という数字を聞いて「できるのか?」と少し思いましたが、結論から言うと実現可能な数字だと思います。
25%という漠然とした数字だけではイメージがわきにくいと思いますが、日本の耕地面積はどれくらいか、それに対する25%はどれくらいか、具体的な数字にすると、ぐっとイメージがわきやすくなります。

折笠さん

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