大規模に有機農業を展開するには? 大産地十勝での自然栽培への挑戦
公開日:2021年11月16日
最終更新日:
全国の農家を渡り歩いているフリーランス農家のコバマツです。今回私が訪れたのは北海道の十勝。「有機栽培は大規模産地からやるべき」そんなことを話し、自ら有機JASの認証を受けた圃場(ほじょう)で自然栽培を実践している人がいると聞きやってきました。十勝といえば大規模農業。慣行農法で効率重視な農業をやっているイメージが強い地域です。
そんな地域でどのようにして大規模な自然栽培を行っているのでしょうか? そして、大規模に有機栽培ってできるの? そもそも、大規模産地が有機栽培を行う意義って? 大産地十勝での挑戦、有機栽培が普及するために必要なことについて聞きました。
慣行農業で大規模がキホンの十勝で有機栽培!?
「奇跡のリンゴ」の生産者との出会いから自然栽培に挑戦
今回コバマツが訪れたのは、北海道十勝地域にある中川郡幕別町。十勝は農家1戸あたりの耕地面積が46ヘクタールと大規模農家が多く、小麦、ジャガイモ、豆類、テンサイの生産が盛んな畑作地域です。
大きな十勝の畑
ここで大規模に有機栽培を実践している生産者がいると聞き、やってきました。
有機栽培といえば、「小規模で、手間ひまをかけて、こだわりの作物を作る」。そんなイメージを抱いていて、大規模産地とは無縁の栽培方法だと思っていました。
大規模に有機ってできるの? 膨大な手間がかかるのでは? 流通ってどうしているの?
生産者本人に、いろいろと聞いていきたいと思います。
■折笠農場 折笠建(おりかさ・ますらお)さんプロフィール
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1968年、北海道幕別町生まれ。北海道幕別高校を卒業後、札幌商工会議所付属専門学校を経て実家である株式会社折笠農場に入社。現在は農場の5代目として株式会社折笠農場取締役、さらに加工品作りを行う有限会社ベルセゾンファーム代表取締役も務める。食べる人を意識した商品作りがモットー。
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コバマツ
折笠さん、かなり大きな面積で有機栽培をしているそうですね! 現在どれくらいの規模で栽培しているのでしょうか?
うちでは、有機JAS認証を受けた圃場が33.5ヘクタール。特別栽培もやっていて、その圃場面積は61.5ヘクタールです。全部で95ヘクタール作付けしています!
折笠さん
折笠さんの農場にあるジャガイモのハーベスター。めちゃでかい
コバマツ
広すぎて規模感が分からない……! 十勝地域の1戸当たりの農地面積が46ヘクタールですから、有機JAS認証の圃場だけでもそれに迫るくらいありますね! トータルだと倍以上の面積だ!
この慣行農法が主流の大産地十勝で、有機、しかも有機肥料を使わない「自然栽培」をしようとしたきっかけってなんだったんでしょうか?
自然栽培の師匠、「奇跡のリンゴ」の木村秋則(きむら・あきのり)さんとの出会いがきっかけとなり、自然栽培を始めていきました。約20年前に、「十勝に自然栽培に興味がある農家がいる」といううわさを聞きつけて、僕の農場に木村さんが来てくれたんです。
折笠さん
折笠さんの農場に訪ねてきた木村さん(左)