ニーズに合わせた正当な値付けで野菜を高く売る
私の両親は、長ネギやダイコンを栽培し市場出荷をしていた農家で、私も就農当時は両親の手伝いをしていました。家には、ネギの皮むき器やダイコン洗浄機など仕事の効率をアップする機械があり、そうした機械のおかげで野菜を安く売ることができていたのだなと思います。
その後私は市場出荷の手伝いをやめ、少量多品目の農業にシフトチェンジし、年間を通して多品目の野菜の栽培を始めました。そして気づいたデメリットは、やることが増え、それに伴い、必要な資材が増えたことです。しかも、多品目の野菜は毎年同じではないので、デメリットはいつまでたっても減ることはなく、当然儲けも出ませんでした。
少量多品目農家が、大規模単一品目の農家と同じ値段で売っていてはとても成り立ちません。手間や経費を野菜の値段にも反映させたいところですが、実際にはスーパーの“顔の見える野菜”コーナーと市場から仕入れたコーナーとの販売価格はほとんど変わらないのが実情です。
少量多品目農家が選択しやすい販売チャンネルであるECサイトの野菜セットも、梱包や事務作業などを考えると利益率はよいとは言えません。さらに、星の数ほどある野菜セットの中から選ばれるのも難しいと言えるでしょう。
仮に、今の農園の売り上げを2倍にすることを考えた場合、どんなことが考えられるでしょうか。
案その1 野菜を今の2倍栽培して売り切る。
案その2 加工品などの野菜以外の収入源を増やす。
これらを実行すれば、2倍の売り上げをあげる可能性は出てきますが、それに伴う労力や資材、機械、人材の投入も必要となります。
私は、今と同じ農業のやり方で売り上げを2倍にする方法を選びます。それは、シンプルに販売価格を2倍にすることです。