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SDGsで注目。森に関する専門資格「森林インストラクター」とは

SDGsで注目。森に関する専門資格「森林インストラクター」とは

レクリエーションや学習での活用、地球環境保全など、森林へのニーズと関心がさらに高まりを見せる今、森林や林業についての理解を促し、森林を利用する活動を支援する専門資格として「森林インストラクター」が注目されています。現在、全国で約3000名が登録されていますが、どのような人が、何を思い、どういう活動をしているのでしょうか。森林インストラクターの方々に話を聞くと、その貢献性の高さと活動の幅広さが見えてきました。

森林活用の促進で注目。森林インストラクターとは

「森林インストラクター」とは、森林を利用する一般の人に対して、森林や林業に関する多様な知識を伝えるとともに、森の案内や森林内での野外活動を指導する役割を担っています。「森の案内人」とも呼ばれています。

「森林インストラクター」になるには、資格が必要です。年1回実施される「森林インストラクター資格試験」に合格すると有資格者となり、森林インストラクターとして登録手続きをするとその称号が与えられます。この資格試験制度は平成3年度に開始され、平成17年度から「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」(いわゆる環境教育等促進法)に基づく「人材認定事業」として、環境大臣並びに農林水産大臣の登録を受けて実施されています。

いろいろな年代、職業、バックグラウンドを持つ人が、森林インストラクターとして活躍しています。どのような活動を行っているのか、お話を聞いてみましょう。

山へ入って日々活動、森を守り伝える使命感
長谷川守さん(平成24年度合格者・70代)

現在の活動

森林インストラクター東京会(以下FIT)に所属し、高尾山とその周辺を拠点に、主催イベントの自然観察会や小中高校の依頼で森林学習のガイドをしています。イベントは事前準備をして現場では臨機応変に、自作の資料も使って案内しています。里山整備ボランティアとしても「お日の森くらぶ」を中心に活動しています。八王子観光コンベンション協会でも高尾山ハイキングの案内をしており、森林と観光の相乗効果が得られています。これらの活動で、ひと月のうち20〜25日は外へ出ています。

資格取得の動機

山歩きが好きで体力に自信あり。定年退職後は森林や里山のボランティアをしようと奥多摩体験の森の「森林ボランティア養成コース」に通いました。そのときの講師がとてもよく、名札に「森林インストラクター」と書かれていたので、資格があるなら受けてみようと軽い気持ちでチャレンジしました。想像以上に専門性が高く、全国森林レクリエーション協会の「養成講習」は、大学講師や研究者など25人もの講師陣にアカデミックな話を聞く貴重な機会にもなりました。62歳のときに合格して約10年、通算250回以上、山で有償・無償のガイドをしてます。

やりがい・今後の抱負

自然観察会に参加したお客さんから寄せられた「ガイドさんがよかった」「案内が楽しかった」という感想は、私にとって魔法の言葉です。最近では小学校の森林教育で「コロナ禍でも子どもたちの学習は止めません」という先生の熱意に、森林インストラクターとして応えたいと使命感を覚えました。現在、FITに約350人が所属していますが、合格者が増えれば全体のレベルアップになり、多様なアイデアが出てくると期待しています。

森を守るアクションを考える体験教室づくりを職業に
白濱真友さん(平成29年度合格者・20代)

現在の活動

大学卒業後、知人の自然生物教育事業に加わり、「生き物習い事教室」や自然学習キャンプを企画していました。現在は、理科実験教室の専任講師をしています。この教室では、子どもを対象にした「SDGsを学ぶ森の教室」を企画し、森林インストラクターの資格を活かして、森と生活のつながりや環境を守るためのアクションを考えるプログラムを行っています。個人の活動では、都内の公園とコラボし、親子で楽しめる森林環境教育イベントを実施しています。

資格取得の動機

幼少期からキャンプや自然観察会に参加しており、森に入るたびに、木々に守られているような心地よい空間が好きになっていきました。大学進学後は、子どもたちと木の観察などを行うボランティアサークルや、キャンプなどの自然体験活動に幅広く参加しました。これらを通じて、森林の魅力や現状を伝えたいという思いが高まり、仕事として森林環境教育を実践する力を身につけるために森林インストラクターの資格取得に臨みました。試験は主に記述式で、テキストの内容を覚えるだけでなく、最新情報を追うこと、森林の現状に対して自分の意見を持つことを学びました。

やりがい・今後の抱負

子どもたちが、森の中での大発見に目をキラキラ輝かせ、その先へと興味を広げる瞬間に立ち会えたとき、この仕事の楽しさを感じます。今後は、自然と結びつきの深い書道などの伝統的な文化を出発点に、森林の魅力を伝えるオリジナルプログラムを作りたいと考えています。日本の森を元気にするために、現状を伝え、アクションを起こすきっかけをつくることが活動のテーマです。アウトドアブームが続く今だからこそ、全国の森林インストラクターとつながって、森林での体験活動事業の可能性を広げる活動の波を作りたいと考えています。

会社勤めをしながら、自分の世界を広げる場
芝原久さん(平成30年度合格者・50代)

現在の活動

森林インストラクター東京会(以下FIT)と山梨会に所属しており、FIT主催事業の「森林インストラクター資格取得支援講座」の事務局を務めています。この講座は、現役森林インストラクターが講師として試験科目(森林、林業、野外活動、安全及び教育)の座学を行っているほか、長池公園・鳩ノ巣フィールド・パウロの森での実習や、高尾山親子自然観察会のリハーサルに参加してイベント運営体験もできるので、森林インストラクターの活動に興味のある方にぜひお勧めしたいです。このほか、上野原市林業研究会で行っている林業作業などの活動にも参加しています。

資格取得の動機

竹クラフトで定年後の生計を立てる、という思いがきっかけです。家と会社の往復で定年を迎えることに危機感を持ち参加した、居住地である上野原市が主催する林業講習会(北都留森林組合が講師)や、勤務する会社がある八王子市の里山サポーター育成講座で、森林インストラクターの誘いを受けました。そこで、全国森林レクリエーション協会主催の養成講習を受講してみると、地方から宿泊して参加する方もいてみなさん真剣そのもの。社会経験を積んだ人が多く試験勉強の励みとなりました。自身の経験を踏まえて、現役世代のみなさんに仕事以外に自分を発見できる場所を知ってもらうことを目的に活動しています。

やりがい・今後の抱負

自然の中へは誰もが自由に入ることができますが、知識を持って人に伝えることができるのは私たちです。FITは研修会や観察会が多く、その内容は森林、野鳥、クラフト、史跡巡りさらにコアな苔の世界など多岐にわたります。いろいろな活動に参加して勉強させてもらいながら、これから進む方向やつながり先を探しているところです。この活動を通してネットワークを広げ、将来は竹クラフトを母体に何かできればと考えています。

好きな野草をきっかけに、学ぶ人から伝える人になる
鳥越まり子さん(令和3年度合格者・40代)

現在の活動

資格試験に合格したばかり。まだガイドの活動はしていませんが、全国森林インストラクター神奈川会と日本森林インストラクター協会に所属して勉強中です。有資格者約160人が所属する神奈川会には、スキルアップのためのクラブ活動があり、先輩方が持ち回りで主催する、森、鳥、山などの勉強会に参加しています。林業に詳しい方や、私のように野草が好きな方、子どもの自然教育をしている方と多様な方が集まっているので、それぞれの興味のある分野の話が聞けてお互いにフォローし合える雰囲気の良さを感じています。

資格取得の動機

山と自然が好きな母の影響を受けて育ち、家族で八ケ岳山麓へ通ううちに自然の中にいることに落ち着きを感じるようになりました。短大で自然分野を勉強しましたが、結婚後、20年ほど自然から離れていました。好きな植物をもう一度勉強しようと、生物分類技能検定に取り組む途中で森林インストラクターの資格を知りました。高山植物や山菜がある生活や経験を伝えて共感してもらえたら楽しいだろうと思いましたが、独学では難しそうで実技免除の特典もある養成講座に申し込みました。講座を受講して日本の森林の現状を知り、守るすべを考えることができました。

やりがい・今後の抱負

これまで日々の雑事に追われて自然を感じずに過ごしていましたが、再び植物に触れ始めると身近にある自然に気がつき世界が広がりました。今は自分が好きで学んでいますが、徐々に人に伝える勉強をしていきたいです。

学生からシニアまで幅広い年齢層が資格を取得。あなたも森林インストラクターを目指しませんか

全国森林レクリエーション協会によると、森林インストラクター試験の合格者は、60~70代、40~50代がそれぞれ3割。最近は環境部門への就職に有利との考えで学生の受験も増えつつあり、学校教師や自治体職員などでも資格取得を目指す動きがあるそうです。

一次試験は「森林」「林業」「森林内の野外活動」「安全及び教育」の4科目について主に記述式で行われ、合格すると二次試験で「実技試験」と「面接」が行われます。最終合格率は約3割と決して容易ではありません。全国森林レクリエーション協会では、希望者を対象に森林インストラクター養成講習を実施して学習をサポートしています。合格者は各地の有資格者団体(地方会)に所属して、主催イベントの手伝いや勉強会などでスキルアップすることができます。各地方会の主催イベントに参加してみることが、森林インストラクターの実像や資格取得の極意を知る近道になるかもしれません。

今、一般の人たちの森林への関心が高まり、専門資格を持つ人材が求められています。森林インストラクターとして活躍の場を広げませんか。一次試験は、毎年9月下旬の日曜日に行われます。試験詳細はこちら

試験詳細・お問い合わせ先

一般社団法人全国森林レクリエーション協会
〒112-0004 東京都文京区後楽1-7-12 林友ビル6階
TEL:03-5840-7471
FAX:03-5840-7472
E-MAIL:info@shinrinreku.jp
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