独立就農党と雇用就農党、代表による指針表明
コロナ禍を経て農業への関心は高まっています。新規就農するならば「独立」と「雇用」のどちらを選ぶべきか。きょうは「独立就農党」と「雇用就農党」の代表をお招きして、テーマを掘り下げていきます。
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独立就農党 代表 井本喜久 株式会社The CAMPus BASE(キャンパスベース)代表。都市に暮らす人たちを新規就農者に育成するオンラインスクール事業やコミュニティ運営による限界集落の再生を通して、小さい農家(=コンパクト農家)の育成を目指す。 |
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雇用就農党 代表 佐々木康人 株式会社マイナビ農業活性事業部 営業部長。情報メディア「マイナビ農業」をプラットフォームに、一次産業にかかわる人を増やし、農林水産業を新しい経済圏としてより良く、より強くすることを目指す。 |
--新規就農者を増やす支援策の目玉をお聞かせください
独立:新規就農者は微増していますが、農業人口は減り続けています。地域活性のために移住者も求められています。そこにアクションを起こすために、2020年に「コンパクト農ライフ塾」を立ち上げました。小さくても高いレベルで機能するコンパクトな次世代型農業の営み方を、業界の革命児的な講師陣が知見と経験をもとに伝授するスクールです。新型コロナの対策として100%オンラインに舵を切ったことで、多様な人材が集い、小さい農業のスタイルが面白いと思う人たちを掘り起こすことができました。

コンパクト農ライフ塾では豪華講師陣の知恵と経験を短期集中&完全オンラインで直接学べる
雇用:私たちの強みは、全国にいる営業が一次産業に従事する方を訪問し、抱える課題をいかに解決するかを事業にしていることです。その中で、一次産業の大きな課題は「人材」であると確信し、2021年10月に一次産業に特化した求人情報サイト「マイナビ農業水産ジョブアス」をリリースしました。2022年4月には累計掲載数が1000件、会員数は5000人を突破しました。
人生の次のステージに農業が選ばれている
--両党では就農希望者の属性や動機をどのように見ていますか
独立:「コンパクト農ライフ塾」の塾生は、圧倒的に30~40代が多く全体の70%を占めています。次いで50代が多いですね。スクール自体が都会のビジネスパーソンに向けているので、都市の生活に疲れを感じて生き方を変えてみたいと考えている人たちの参加が目立ちます。
雇用:「マイナビ農林水産ジョブアス」を通して就農した方も30~40代がメインです。他の仕事を経験して次のステージに農業を考える方が多い印象です。前職に違和感を感じたという意見のほか、コロナ禍で職を失ったという声もありました。
--実際に就農してQOL(生活の質)は上がるものでしょうか
独立:爆上がりですよ。農村には仕事がないと言う人もいますが、都会のような仕事がないだけであって、自分でいろいろなものをつくっていく農村の暮らしは非常にクリエイティブです。自分が何をしたいかに気づけたら、やりたいことへ進んでいくほうが人生は豊かになると思います。
雇用:移住就農した方から、家族と過ごす時間が圧倒的に増えたという声をよく聞きます。何を人生の軸にするかで満足度は異なります。その人にとっては、家族との時間を大切にすることが人生の軸で、それをできる職業が農業だったのでしょう。
テーマの核心を突く。独立と雇用どちらを選ぶべき?
--新規就農希望者からは、収入、資金、スキル、農地などを心配する声が聞かれますが、両党はどのように考えていますか
雇用:これらの課題を踏まえると、独立就農はリスクが高いのではないでしょうか。独立するのは経営者になることです。独立して農業だけで食べていける人は就農者の25%ともいわれています。雇用就農であれば、資金や農地の準備がなくても農業を始めて、働きながらスキルを身に付けて生計を立てることができます。
独立:小さく始めれば独立してやっていけるという考えをベースに私たちが提案するのが「コンパクト農ライフ」です。農家になるからといって農作物を作ることから始める必要はなく、地域で農産加工品を作って販売することなどから農的ライフをスタートすれば、いずれ農家になる道のりを歩み始めることができます。
雇用:そうは言っても、独立就農は起業して会社を経営することです。農業経営者になるならば雇用のステップを踏み、そこで得た経験や人脈を活かしていくのが理想ですし、地域に歓迎される人の循環になると思います。
独立:都会のビジネスパーソンは商売のセンスを持っています。それを農村で開花させればビジネスとして成り立つはずですし、なにより自分らしい人生を歩んでいく基礎となりえます。
雇用:人・モノ・カネ・情報をマネジメントする感覚をもって雇用就農すれば、一般企業とくらべてもキャリアアップの可能性が十分にあり、事業継承により経営者となることも夢ではありません。
独立:事業継承では資産だけでなく負債も引き継ぐリスクがありますし、大規模経営でやっていける農地は日本の中では限られています。個人事業主としてビジネスを起こして小さくても稼げる状態をつくることが、いま必要なことだと思っています。
【メリット】 ・自分の裁量で経営できる ・頑張った分だけ成果が見える 【デメリット】 ・資金や農地の準備が必要 ・経営リスクに対する責任がある |
【メリット】 ・安定収入が得られる ・スキルやノウハウがなくてもOK 【デメリット】 ・勤務先や裁量に制約あり ・給料以上の収入は見込めない |
独立就農党と雇用就農党が共同声明を発表へ
--就農を目指す有権者から、まず何をすればいいのかとの質問が上がっています
雇用:雇用就農も会社選びが重要です。自身に合った環境もあれば、逆もあります。そこを見極めるために体験に行くのもいいでしょう。「マイナビ農林水産ジョブアス」には、経営者の人柄や職場の雰囲気まで紹介されています。
独立:自分の人生の計画を立てることです。暮らしと仕事をセットにして自然環境の中で生きていけるのが農業です。人生の計画を立てるワークに取り組めるのが「コンパクト農ライフ塾」です。1.5カ月の短期で完全オンライン受講。卒業後のサポートもあります。「自分も農業を始められる」と思えるでしょう。
--最後に両党首からのメッセージは……共同声明です!
独立・雇用:独立、雇用のどちらであっても、就農を実現するためにはアクションが必要です。株式会社The CAMPus BASEと株式会社マイナビは、共にさまざまなサービスで就農を後押しします!