海の幸・山の幸いっぱい!“おいしい”野田村ってこんなところ
県都・盛岡から車で約2時間、岩手県の沿岸北部に位置する野田村。夏は偏東風「やませ」の影響で涼しく、冬は温暖で晴れの日が続き、降雪量も少ないことから東北沿岸地域の中でも過ごしやすいことで知られる人口約4000人の自然豊かな農山漁村です。その小さな村には古くから豊かな食文化が根付いており、海の幸・山の幸の恵みを生かした多くの“おいしい”があります。
「のだ塩」
村に古くから伝わる直煮製法(じきにせいほう)で作られた自然塩「のだ塩」は、野田港より自然ろ過された地下海水を使用。鉄鍋に薪をくべ続け4日間じっくり煮詰めたあと1日乾燥させ、5日間かけて作られます。海水のミネラル分が残ったまろやかな風味の優しい塩は、料理のプロからも絶賛される村一番の特産品です。
「荒海ホタテ」
潮通しがよく、よどみのないきれいな水質の外海(そとうみ)の海流で育つ野田村産ホタテ「荒海ホタテ(あらうみほたて)」。荒波に揉まれながらおいしいエサをたっぷり食べることで身が締まった肉厚のぷりぷり食感と、雑味のない透き通った味を楽しむことができます。2017年11月には日本の保護すべき優れた郷土産品として地理的表示(GI)に登録された荒海ホタテは、GI登録される日本で唯一のホタテです。
「南部福来豚」
ブランドポーク南部福来豚(なんぶふくぶた)は、高い衛生レベルを保った豚舎で丹念に育てられ、天然ミネラルが豊富な海藻粉末、ゴマ、ビタミンE、クエン酸などを強化したこだわりのエサで育ちます。健康な福来豚の味は、重厚でコクがあり、豚肉本来の旨さを味わうことができます。
「山ぶどう」
野山に自生するニホンヤマブドウの絞り汁を愛飲する風習が古くからあった野田村では、約40年前から村をあげて栽培に力を注いでいます。三陸沿岸特有の冷涼な気候の中でじっくりと成熟させるその味わいは、ジュースやジャムなどさまざまな加工品で楽しむことができます。中でもイチオシはワイン。原料の栽培からワインの製造、販売までを一貫して行う純日本産ワイン・野田産山ぶどうワインの魅力発信を担うのが、地域おこし協力隊インターンシップで取り組むミッションです。
外側からの視点で山ぶどうワインの美味しさを発掘・発信
野田村で栽培されているニホンヤマブドウは日本在来の野生ブドウの一つで、果汁は古くから健康飲料として愛飲されてきました。その栽培からワイン造り、ワイン販売まで、“オール野田村”で実現させようというプロジェクトが発足したのは2015年のこと。1 年後、村内に待望の醸造施設「涼海の丘ワイナリー(すずみのおかわいなりー)」が完成したことを機に、オール野田村によるワイン造りがスタートしました。
「国内外からさまざまな方が震災支援として野田村を訪ねてくださいました。その際、外側から見た野田村の良いところを聞くことができことが大きな励みになりました」
と、話すのは醸造所長の坂下 誠(さかした・まこと)さんです。シニアソムリエでもある坂下さんは長くホテル業に携わっていましたが、東日本大震災により傷ついた故郷・野田村の産業復興への思いから、2015年からワイナリーの設立準備に従事。完成後は醸造責任者としてワイン造りに情熱を注いでいます。
ワイナリーの設立を後押ししたのは野田村のヤマブドウに可能性を見いだした村外のファンたちです。“ワインを作ろう!”と機運を盛り上げ、出資者を募り、村の人たちにもヤマブドウの秘めた可能性を懸命に説いてくれたのだとか。ファンの人たちがヤマブドウに描いた夢に後押しされるかたちでスタートしたワイナリー設立の資金調達はクラウドファンディングを利用。約800名のワイナリーサポート会員が全国から集まり、待望のワイナリーが完成しました。
「サポーターのみなさんには野田産ワインをはじめ、荒海ホタテやのだ塩など、野田村自慢の特産品でお返しをしました。寄せられた感想の中には斬新なペアリングや貴重な意見もあり、これはマーケティングにもつながると直感。あるサポーターからは“もっと自信を持ってワインを売っていくべき”ともアドバイスいただき、PR活動やブランディングには外部の意見が大切と実感しました」(坂下さん)
そこで設けられたのが地域おこし協力隊インターンシップ制度です。2週間の滞在期間中、参加者はインターンとしてさまざまなプログラムを体験し、野田村の魅力を独自の視点で発掘します。
共に汗を流し、現場を知ることで野田村の“ファン”になってほしい
地域おこし協力隊インターンシップ制度とは、ヤマブドウの生産現場で農業体験から経営、販売までをチームでじっくり考える実践的なインターンシッププログラムです。期間は2週間を予定しており、生産者と共に汗を流しながら収穫体験、ワイナリーでの醸造などを学びます。
「共に働くことで“仲間”になっていただき、その経験をマーケティングやブランディング、PRにつなげていただきたいと考えています」
と、話すのは野田村未来づくり推進課の廣内 鉄也(ひろない・てつや)さんです。ワイナリーサポーターによって高く評価されたことが自信となり、野田産山ぶどうワインは次のステップに進むことに。野田村が誇るヤマブドウを活用した産業を未来につなげたいー。地域おこし協力隊インターンシップ制度を設けた背景には、そんな願いが込められています。
「2018年には醸造本数1万8千本と、好調を見せていた野田村産の山ぶどうワインですが、震災復興支援の熱量の落ち着きや新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、売り上げは減少傾向に。震災支援を通して人とのつながりの強さを実感したわたしたちは、今こそ外側からの意見を取り入れるチャンスと地域おこし協力隊インターンシップ制度を立案しました。インターンとの出会いにより生まれる可能性に期待します」
醸造責任者でもある坂下さんは、ソムリエ時代にはなかった自身の感情を、ぜひインターン生に体感してもらいたいと話します。
「ソムリエとしてホテルに勤務していた時は、テーブルの雰囲気を作ることが仕事でした。ワインを造る立場になった今は、ワインに生産者の情熱や努力をのせたいと考えるようになりました。この感覚をぜひ、インターン生にも体感してもらい、野田村のファンになっていただきたいです。インターンシップの参加にワインの知識は必要ありません。生産に携わり、生産者の声を聞くことでその土地の風土や空気感などを自分ごととして体感することができます。その経験を生かし、自身の言葉で発信していただきたいですね」
地域おこし協力隊インターンシップ制度を“お試し期間”とし、移住や3年任期の地域おこし協力隊の検討材料に使うことも可能です。2週間と限られた期間ではあるものの、その体験がその後の人生の豊かさにつながっていくことでしょう。
東北沿岸の小さな村・野田村に流れる時の流れはとてもゆるやかです。そこに存在する豊かな食文化や人々の優しさは、訪れる人を自然と癒していきます。
一度訪れたらファンにならずにはいられない野田村。地域おこし協力隊インターンシップ制度に参加し、村の一員としてその大いなる魅力を発掘してみませんか?
お問い合わせ
野田村役場 未来づくり推進課
〒028-8201岩手県九戸郡野田村大字野田20-14
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