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19ヘクタールで手取り月40万円、稲作経営の本当の適正規模とは

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

19ヘクタールで手取り月40万円、稲作経営の本当の適正規模とは

日本各地で100ヘクタールを超す農場が誕生している。平均が3ヘクタール強にとどまる中で、途方もない規模だと感じる。だが経営の合理性を考えたとき、本当にそんな面積は必要になるのだろうか。千葉県柏市で稲作を手がける吉田竜也(よしだ・たつや)さんは「もっと小さくて十分」と強調する。

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年間の休みは150日

吉田さんは36歳。19ヘクタール弱の田んぼでコメを栽培し、全体の約8割を農協に出荷している。残りの2割はオリジナルのデザインのパッケージをつくり、小売店に販売したり、消費者に直接売ったりしている。

実家は代々の農家。吉田さんは2008年に大学を卒業すると、そのまま実家で就農した。5年間働いたが、父親との関係がうまくいかなかったこともあり、いったん離農。病院の検査技師として働き始めた直後に父親が病気で亡くなったため、もう一度田んぼに戻ることにした。2013年のことだ。

大学を出て就農したばかりのころは、100ヘクタールを超すような大規模農場にすることをイメージしていた。吉田さんは「若かったので、大きいことをやりたいとの思いが強かった」と当時の心境をふり返る。

吉田竜也さん。手に持っているのは独自販売のコシヒカリ

だが2度目に農業を始めたころは、「大きくやることにそんなに意味があるのだろうか」と思うようになっていた。父親と一緒にコメづくりをした5年の間に各地の農家と交流したことで、大規模経営が必ずしもうまくいっていないことや、小さくても利益を出せることに気づいたからだ。

再スタートを切ってから、すでに9年が過ぎた。吉田さんはこの間、「必要以上に大きくしなくていい」との考えを実証してきた。

いまや年間の売り上げは2000万円を超え、経費や税金などを払った後に手元に残るお金は月40万円に達している。吉田さんには7歳と4歳の娘がいるが、家族を養うのに十分な金額だ。2年前には家も建て替えた。

過酷な労働に耐えながらこの収入を実現したわけではない。2021年は150日休むことができた。吉田さんは「効率的に仕事をし、休みが取れ、家族と一緒の時間を確保できている。十分に満足している」と話す。

再スタートを切ったばかりのころ。右は妻の弓子(ゆみこ)さん(2014年撮影)

いまの営農方法にたどりつくまで何をしたのか

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