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バッテリー1本で2.5haに散布可能。NTTが開発した農薬散布ドローンの真価

バッテリー1本で2.5haに散布可能。NTTが開発した農薬散布ドローンの真価

ドローンを活用した農薬散布は年々その面積を広げてはいるものの、政府が設定した100万haの散布目標には遠く及ばず、生産現場での普及が進んでいるとは言い難い。そうした状況の打破に、国産ドローンを基軸にして挑むメーカーがある。NTT東日本など3社が共同出資して立ち上げた株式会社NTT e-Drone Technology(以下、NTTイードローン)だ。

農業を持続するため、省力化が急務

「一次産業なくして地域の発展はありませんが、今後ドローンが普及していかなければ、農業をやりきれなくなってしまうケースが出てくるでしょう」。NTTイードローン代表取締役の山﨑顕(やまさき・あきら)さんは、ドローンを軸に農業へ参入した背景についてこう振り返る。

農薬散布は、広い圃場(ほじょう)であればラジコンヘリによる散布が主で、それが難しい飛び地などは噴霧器などを背負って作業に当たるケースも依然として多い。ラジコンヘリによる農薬散布は農協や生産法人などが地域一帯に対して実施することが多いため、農家個人にとっての適期防除は難しい場合も。天候が好ましくない状況でも散布せざるを得ない場面も当然生じてくる。

一方の噴霧機での農薬散布も、1反あたりの作業時間は1.5時間ほど(農林水産省調べ)と、一定以上の規模では重労働だ。

「北海道や大潟村(秋田県)などのように広く平坦な土地であればラジコンヘリが有効ですが、日本の土地の多くはそうではありません。確かな操縦技術がなければ隣の圃場に薬剤がかかってしまう恐れもあります」(山﨑さん)。そこで同社は、比較的小回りが利く産業用ドローンに目を付け、誰でも利用できるようコンパクトサイズの農薬散布ドローン開発に乗り出した。

最大の特徴は「軽量」「コンパクト」「省エネ」

同社が製造する農薬散布ドローン「AC101」最大の特徴は、手軽さと大容量のバッテリーにある。
まずは、その「軽さ」と「コンパクト」さから見ていこう。

機体重量は7.3キロ。従来の農業ドローンは一般的に、大型機で25キロ前後、小型のものでも10キロ前後であるから、いかに軽量化されているかがわかる。女性や高齢者、体力に自信のない人でも難なく持ち運びできそうだ。

軽量化にこだわった設計には余計なセンサーや機能を省くことも必要だが、アシスト機能などの安全性能はしっかりと装備されている。

散布幅は5メートルと広大ながら、プロペラは左右で折り重ねられる斬新な構造で、省スペースや運搬のしやすさにもこだわりを見せる。5L機並みのサイズ感がありながら、アームを開いたまま軽トラで運搬することも可能だ。

圧倒的な飛行時間

「省エネ」の観点で見ていくと、圧倒的な飛行性能が光る。

とりわけ、従来の農業用ドローンではバッテリー持ちの悪さが課題として上がりがちだったが、本機では大容量インテリジェントバッテリーを搭載しており、1本で最大約2.5haが散布可能(※外気温や散布方法による)。ほかの農業ドローンを利用している農家からは「そんなに飛行時間が持つわけない」との声が上がったそうだ。飛行時間が十分に確保できるため、途中でバッテリーを交換する手間が省け、中山間地や飛び地などの必然的にホバリング時間が長くなりがちだった圃場にも適していると言えるだろう。

トータルでの省力化に着目

もう一点、山﨑さんが「AC101」の強みだと強調する点がある。飛行前後の手間の少なさだ。

「農薬散布ドローンは使用後そのままにしていると、ノズルが凝固して翌朝には使えなくなってしまいます。とはいえ、逐一機体やタンクを清掃するのも骨が折れる作業です」。

そこで「AC101」では、プロペラを4枚の設計とし、その間に散布ノズルを配置したことでスムーズなダウンウォッシュを可能にした。これにより散布後の液剤による汚れは最小限に抑えられ、軽い拭き掃除のみでメンテナンスすることができという。

タンクも、機体から工具を使わずとも容易に脱着でき、農薬散布後の清掃に手間取ることが少ないという。農薬散布の効率を上げるのみならず、散布前後の清掃などを含めてトータルに省力化できるよう配慮がなされている。

異例の7年保証

急速に成長するドローン産業では、機体を長く使うよりも短期間で買い替えるという動きがあったという。しかし同社では、できるだけ長く利用してほしいとの思いから、農機具として「AC101」を購入してから7年間のサポートを行っている。農業用ドローンで、ここまでの長期保証は異例だ。

「2~3年で部品供給が途絶えては農機具としては困る」。そんな現場の声にも耳を傾けて実現した。
同社では全国の生産者方に出向き、機体のデモ飛行などを不定期で実施。これまでに100回以上のデモ会などのイベントを手掛け、2000人以上の農業関係者と意見交換を重ねてきた。地道に生産現場を行脚し、商品設計のアップデートにもつなげている。

地域課題の解決に自信たぎらせ

同社は現場の実態に即したドローン開発などを通じて、ドローンの現場実装を目指している。

「これまで、一気通貫で現場の課題を解決するべく、ドローンの開発、製造を行ってきましたので、どうしたら農家さんごとの課題を解決できるのか、必ず答えを見つけられると自信を持っています。地域の課題解決に貢献していくことで、ドローンの社会実装にもつなげていきたい」と山﨑さん。NTTグループが持つ技術の種を、地域や生産者の課題解決につなげていく。そんな動きが、各地の生産現場で現実になりつつある。

「AC101」は、農業ドローンの導入費用の半額(補助率等は条件により異なる)を補助する農林水産省支援事業「スマート農業機械等導入支援」の対象となる。
2023年1月20日まで申請手続きなどの相談受付や支援を行っているというので、導入を検討しているという方は一度、話を聞いてみてはいかがだろうか。

詳細はこちら

【取材協力】

株式会社NTT e-Drone Technology
埼玉県朝霞市北原二丁目4番23号

https://www.nttedt.co.jp/

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