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農法とは?従来の主な農法3選と新しく生まれた農法5選を解説!

農法とは?従来の主な農法3選と新しく生まれた農法5選を解説!

農業をやってみたい人にとって一番困ってしまうのが、どんなやり方で作物を育てればいいのかわからないことです。これについては今に限らず昔から続いている悩みです。その悩みの解消法として多くの方法が存在しており、農法と呼ばれています。この記事では、これから農業を始める人のために、さまざまな農法について紹介します。

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農法とは?


農法とは、作物を育てるときに無事に収穫できるまで成長するよう、最適な環境に整えてあげる方法のことです。

従来の主な農法3選!


過去から受け継いでいる農法は、「慣行農法」と「自然農法」そして「有機農法」の3つが該当します。

1. 慣行農法

慣行農法は、一般的に農家の方々が行っている方法をそのまま実行することです。現在の慣行農法は1950年以降に広まったやり方であり、戦争が終結し人口が増えるにつれて必要になる食料の増加が見込まれることを念頭に置いた方法となります。

この方法は農作物の生産量を安定させるために、農業共同体が定めた量の農薬と除草剤そして生育を促進する化学肥料を使うなど、収穫に至るまで人が関与して栽培をすることを指します。

2. 自然農法

自然農法とは、農薬や除草剤が存在しなかった時代のやり方をそのまま実行することです。生育を自然のサイクルにすべて任せるため、環境の影響を受けやすく収穫量が少なくなり、慣行農法の作物より高価となります。

その代わりに農薬を使用していないため安全性が高く、過酷な環境下に耐えた作物は本来の力強い味わいを楽しめることから、健康を重視する消費者の間で人気となっている農法です。

3. 有機農法

自然農法の考え方を残しつつ、慣行農法の「人が関与する」という部分を加えたのが有機農法です。有機農法は耕した土に種もしくは苗を植えたら、無事に収穫できるまで水やりと草刈りによる除草、さらに肥料を与えて世話をします。このときに与える肥料は化学的に生み出した肥料ではなく、米ぬか・貝殻・卵の殻、さらに畜産業の副産物である糞など自然由来の肥料を与えます。

このように自然農法と慣行農法の良いところを掛け合わせ、生産性を向上させて持続可能な農業にしたのが有機農法の特徴です。

新しく生まれた農法5選!


これまでは慣行と自然、そして有機農法の3つが主流の方法でしたが、新しいノウハウや科学技術をプラスすることによって新しい農法が生まれています。

1. 合鴨農法

合鴨農法は有機農法で取り入れられている手法の一つで、水田で作物を育てるときに使う方法です。作物で生計を立てるためには、十分な量を確保して販売をする必要があるため広範囲の土地が必要になります。それにより、雑草や害虫駆除の労力が増してしまいます。

慣行農法では農薬を使って駆除をしていたわけですが、やはり環境面の影響に加えて味にも少なからず影響を与えてしまうのが欠点です。そこで労力の負担を軽減する方法として考案されたのが、生物の力を借りる合鴨農法になります。苗を合鴨よりも少しだけ大きくなるまで成長させたら、水田に合鴨を放ちます。

合鴨は泳ぎながら苗の間を進んでいって、水田に生えた雑草や虫を根こそぎ食べてくれます。さらに水掻きのある合鴨が泳ぐことで、水田に十分な酸素がおくられます。これにより土は柔らかくなって根が伸びやすくなり、酸素を根から取り入れることで生育がより促進されます。そのほかに合鴨が水中に糞を出すことで、有機肥料として生育に役立ち、余計な肥料を与える必要がなくなるのがメリットです。

2. アクアポニックス

最新農法の一つアクアポニックスは、簡単に言えば「水耕栽培」のことです。作物が病気になる原因は、空気中の雑菌よりも、土の中にいる雑菌の影響のほうが大きいです。そこで土で栽培をするのではなく、専用の箱に水と循環器、そして作物の根を固定できる道具を使って栽培する方法になります。

アクアポニックスの栽培方法には2種類あります。

一つ目は「生き物との共生で行う」方法です。水で栽培をするといっても、作物には栄養が必要です。そこで水を入れた専用の箱の中に、メダカや金魚などの小魚やヤモリなどの両生類を一緒に飼います。これらの生き物が箱の中で活動することで、酸素が供給されるだけでなくボウフラなどの水の中で生きる小虫や水草などの植物を食べてくれるので作物への悪影響を防いでくれます。ボウフラなどの小虫や水草などの水生植物などは、そのまま有機肥料として活用できます。

二つ目は、「人の手ですべて管理する」方法です。専用の箱の中に水を入れるわけですが、そこに作物を育てるための栄養液も加えます。酸素については、小型スクリューなど酸素を生み出す道具を使って発生させます。この方法は大規模なビニールハウスで用いる場合もありますが、光合成のためのLED設備とともにビルの室内など「屋内栽培」でも用いられています。

3. アグロフォレストリー

アグロフォレストリーは、農業(Agriculture)と林業(Forestry)を組み合わせた造語で別名「林業農法」と呼ばれます。農業を行う人にとって最大の懸念は、豪雨や台風などの影響によりどんなに頑張っても作物が収穫できないリスクが存在することです。そこで収穫ができない場合を考慮し、農業と同時並行で林業、さらに場合によっては酪農もやってしまうという方法となります。

山の土地を購入したら、森を育てるのと同時に購入した土地の一角を耕して畑にします。この畑を耕すときに、ヤギや牛など草木を食べてくれる動物を放って食べてもらいます。動物にある程度食べてもらったら、重機を使って耕します。

このときにヤギや牛を活用する理由は、お乳を出してくれるので、加熱殺菌をして販売したり、チーズなどに加工して販売することができるため。このほか、食肉の取り扱いに関する免許やハムといった保存食を作る技術を習得しておけば、食肉によっても収入を得られるでしょう。

これらの動物を飼うメリットは草を食べてくれることで土地の自然開拓ができるだけでなく、糞が有機肥料となり作物を育てるのに役立ちます。育てる木はブナやヒノキなど一般的に使われる木材だけでなく、リンゴやミカンなどの果実の木を植えることで収入を得ることもできます。

そして森林と作物を一緒に育てることで雨風の影響を最小限にしてくれるだけでなく、落ちた葉が腐葉土となって土壌を豊かにしてくれます。このように農業・林業・酪農が連携することで、収入が安定し持続可能な農業を行いやすくなります。

4. 炭素循環農法

炭素循環農法は、肥料に含まれている窒素の影響を少なくした栽培法のことです。窒素は自然界に存在する成分の一つで、大気中に漂っているのですが雨が降ることで土壌にしみこみます。その土壌にしみ込んだ窒素を、根を張り巡らせた作物が吸収します。この窒素は植物にとって大事な成分であり、その効果は作物の成長ホルモンを刺激するので茎や葉を大きくしてくれる農業にとっては重要な栄養素です。

窒素は、作物の成長を促進するため、さまざまな方法で肥料に添加されています。窒素自体は適量であれば問題はありません。ただ、作物が吸収できないほどの量を与えてしまうことは問題です。作物にとって重要な成分であっても、その吸収できる量には限度があります。吸収できずに残った窒素は、そのまま土壌に残ります。

この窒素は虫が好む香り成分を含んでいるため、この匂いをたどって多くの虫が集まり害を招いてしまいます。その他にも、雨と一緒に流れた窒素は土壌だけでなく水質汚染を引き起こし、自然界の生き物に悪影響を与えます。さらに問題なのが窒素が大量に残った状態の作物を食べてしまうと、体の中で有害物質になることです。

そこで窒素の問題を解決するために考案されたのが炭素循環農法です。作物を育てるときに肥料で育てる代わりにキノコ菌などの微生物が繁殖した苗床を活用します。この苗床は、作物に必要な栄養素をすべて微生物が作り出してくれるので余計な肥料を与える必要がなくなります。これにより余分な窒素が含まれる要素がなくなるため、虫の食害や土壌汚染を防げるだけでなく微生物の栄養成分によって、おいしい作物に育ってくれるのです。

5. 永田農法

永田農法は永田照喜治さんが考案した農法のことで、別名「スパルタ農法」もしくは「断食農法」と呼ばれる方法です。この永田農法は、川砂や赤玉土といった水はけのよい土に窒素・リン酸・カリだけが入っている液肥を加えるだけになります。さらに作物にとって大事な水については、葉の状態を見て完全に萎えているときだけ与えることにし、ほぼ収穫するまでは与えないというのが特徴です。

水分を与えない状態にすると、作物は足りない水分を補給するために根をより広範囲に広げて確保しようとするだけでなく産毛のような毛を茎と葉に生えさせて空気中の水分を吸収しようとします。これにより大量の栄養を土壌から吸収し栄養価の高い作物になるのです。

結局どの農法が良い?

「〇〇農法が一番いい!」ということはない

いろいろな農法を紹介しましたが、どれがいいのか判断は難しいのではないでしょうか。それというのも古くからある農法も新しい農法もどれにも一長一短があって一番いいものというのは存在しないからです。

自然と向き合うことが一番大切

結局のところ農業を行うためには農法よりも、自然と向き合うことが重要です。例えば同じ品種のトマトを育てる場合でも、海に近い場所で育てる場合と山で育てる場合では生育方法を変えないと失敗してしまいます。このように自然と向き合った経験を記録して積み重ねていけば、最終的に自分に合った「農法」が生まれるのです。

これからの持続可能な農業にはAIを活用する知識も必須

地球温暖化やグローバル化による他国からの影響により、過去から受け継がれてきた農法が通用しなくなる環境になりつつあります。この環境を乗り越えるためには、農法や自然と向き合う気持ちだけでなくAIを代表とする科学技術の活用も重要になります。人間の力で及ばない部分を科学技術でフォローすることで、それが新しい農法として持続可能な農業につながるのです。

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