旅行気分で参加したバスツアーがきっかけ。
不知火(デコポン)に感動し、移住&新規就農を決意!
たわわに実ったオレンジ色の不知火(デコポン)の果樹園を前に「いよいよ来週から収穫が始まります。今季は、1年目より2~3割多く収穫できそうなので楽しみです」と笑顔を見せるのは、田代雄紀さん(51)。山口県から夫婦で津奈木町に移住し、不知火(デコポン)の露地栽培を始めて2年目になります。
県外でサラリーマンをしていた田代さんが農業を始めたのは、令和2年12月に熊本県新規就農支援センターが主催したバスツアーへの参加がきっかけでした。「不知火(デコポン)という果物のことも知らずに旅行感覚で参加したのですが、食べてみたらその美味しさに感動しました。リリーフ園地の制度を利用すれば1年目から収入も得られるし、町やJAのサポートもあるので、早期退職して農業を始めるなら早いほうがいいと思いました」。2ヶ月後の翌年2月には産地見学会に参加し、実際に移住・新規就農した方の話を聞くなどして就農を決意。リリーフ園地や空き家を紹介してもらい、4ヶ月後には津奈木町に移住しました。
とんとん拍子に進んだ移住を伴う新規就農。不安はなかったのでしょうか。
「栽培に関してはJAの研修やサポートを受けられるので、行けばなんとかなるだろうと思っていました。就農前に準備したことは、図書館で果樹栽培に関する本を読んだり、ネットで調べたりしたことぐらい。サラリーマンと違って個人事業主になるので、確定申告の仕方などは勉強しましたね」
リリーフ園地として貸し出された70アールの果樹園で就農した田代さん。週に一度の研修とJAの担当者による指導を受けながらの農業がスタートしました。1年目は言われた通りにやるだけで精一杯だったそうですが、今季はインターネットやSNSなどで情報を得たり講習会に参加するなどして、肥料の与え方や摘果の仕方を自分で考えて工夫を重ねたそうです。
「エビデンスのある内容で管理をするよう心がけています。今後は標準収量の2倍くらいを上げることができるよう、栽培管理のスキルを上げていきたいですね。将来的には栽培園地も広げてハウス栽培にも挑戦したいと思っています」と意欲的です。
就農して2年目の今、「分からないことが分かった時がいちばん楽しい」と話す田代さんにとって農業の魅力とは、「自分で自由に決めて行動できること。時間の使い方も自分で決められるので、自由な時間を作ることもできること」だそう。「価値観は人それぞれだとは思いますが、自分で事業主としてやっていくということは、やればやっただけ自分に戻ってきます。目標とする収量をしっかり上げて、利益を上げていきたいですね」と抱負を語ります。
移住した津奈木町の印象については、「自然も気候もいいし、近くには温泉もあります。農業でも生活面でも町独自の補助金がいろいろあって、役場の人たちが親身になってくれるので、何か分からないことがあればすぐに相談しています。園主さんをはじめ地域の人も温かい人ばかりで、たまたま仲良くなった人から狩猟のことも教えてもらいました。サラリーマン時代には考えられないことです。ずっとここに住み続けたいと思っています」。
これから新規就農を考えている人には、「果樹栽培で収入が得られるのは基本的に1年に一度。ある程度の収入が得られるまではお金のやりくりは大変です。国の新規就農のサポートはありますが、できれば1年目の生活資金をある程度準備しておくと気持ちに余裕が持てると思います」とアドバイスを送ってくれました。
相談から新規就農までをワンストップでサポート
津奈木町ならではの手厚い移住&新規就農支援!
「新規就農で果樹栽培を始めたいけど、すぐに収入が得られないので不安」と躊躇する方は少なくありません。このため津奈木町では平成30年から熊本県、水俣・芦北地域の市町、農業委員会、JAで組織する「芦北地方農業振興協議会」に「新たな担い手確保対策プロジェクトチーム」を結成。デコポン、甘夏など柑橘を中心に、新たに農業を始める人の相談から研修・就農までをトータルでサポート。相談窓口を一本化して、迅速かつ丁寧に対応しています。制度がスタートして以来、田代さんを含め全国から5組が水俣・芦北管内に移住&新規就農を果たし、内2組が本町に移住・就農しました。
津奈木町のサポートについて、担当者に聞きました。
「津奈木町では構成市町の1つとして、互いに協力しながら就農相談から現地での案内、空き家バンクの情報提供、町営住宅の空き家情報などを取りまとめて紹介しています。また、独自の補助金制度を整え、関係各課が連携・協力しながらきめ細かいサポートを行なっています。移住定住に関する横の連携が取れているので対応しやすいのが特徴です」
さらに、毎月1回は協議会の新たな担い手確保対策プロジェクトチームの会議を開催し、市町の園地の情報や空き家の情報共有を行っているとか。「他の市町と情報交換しながら、就農・営農支援に対する新しい制度の導入にも積極的に取り組んでいます。令和元年には、新規就農者への10万円の一時金制度や農業用機械・施設の購入補助金も町独自で導入しました」。
令和4年度の津奈木町の主な新規就農及び生活支援は以下の通りです。
●新規就農者支援
・就農奨励金10万円
・農業用機械・施設の購入補助…補助率1/2、上限80万円
●農業経営
・果樹振興対策事業
┗優良品種苗木代の1/2以内の補助
┗デコポンの鮮度保持資材の購入費用の1/2以内の補助
┗ハウスの修繕費用の1/3以内の補助
その他、農作業支援事業・農業用資材補助・電柵等設置補助・農業用施設等原材料支給・基盤整備等への補助など
●住まい・移住定住
・空き家活用リフォーム補助金
空き家バンク登録物件に入居が決まった場合、空き家の家財道具処分やリフォームの費用の一部を補助。補助割合は2/3で上限50万円。
その他、住宅新築支援・分譲地子育て支援助成・分譲地定住促進など
●医療・介護・福祉
・国保人間ドックの助成
●子育て・教育
・出生祝金
・子ども医療費助成
・ひとり親家庭等医療費助成
・保育料軽減など
津奈木町独自の支援制度もいろいろ。
本気で新規就農したい人に本気でサポート
このようにさまざまな制度で、移住・新規就農者を支援している津奈木町。
「本気で就農したい人には、町も本気でサポートします。まずは気軽にバスツアーや見学会に参加し、移住・就農経験者の声を聞きながら移住を伴う就農へのイメージをつかんで、担い手として定住してもらえたらうれしいですね」と担当者。
津奈木町での新規就農に興味を持った方は、まずは気軽に相談してみませんか。
◎相談から新規就農までの主な流れ
就農相談
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バスツアーや現地見学会での案内(年に数回開催、1泊2日)
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短期研修会
※5日間程度、農業支援や生活支援の紹介、リリーフ園地や研修園地での農業体験、移住経験者の話を聞くなど
※短期研修では、1日1100円で泊まることのできる町のおためし住宅が利用OK!
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就農希望者にはリリーフ園地での研修(1年以上2年未満)
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移住・就農(就農後もJAや県による研修等の支援)
【問い合わせ先】
津奈木町役場 政策企画課
〒869-5692
熊本県葦北郡津奈木町大字小津奈木2123番地
Tel : 0966-78-3114
Fax : 0966-78-3116