自然栽培で地域の宝を未来に“つなぐ”! この地とともに生き、安全・安心の農産物を栽培する『つなぎFARMプロジェクト』|マイナビ農業

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自然栽培で地域の宝を未来に“つなぐ”! この地とともに生き、安全・安心の農産物を栽培する『つなぎFARMプロジェクト』

自然栽培で地域の宝を未来に“つなぐ”! この地とともに生き、安全・安心の農産物を栽培する『つなぎFARMプロジェクト』

かつて、公害による大きな被害を受けた経験から、その歴史と教訓を「農と食」の分野で次世代につないでいこうという取り組みを行っている地域があります。九州・熊本県南部にある葦北郡津奈木町では、平成25(2013)年から町が旗振り役となって自然栽培を推進する『つなぎFARMプロジェクト』を展開。その強い想いに賛同する輪が少しずつ広がっています。プロジェクトに参加している地元の方の声を通して、『つなぎFARMプロジェクト』の取り組みや今後の展望についてご紹介します。

海と柑橘とアートの町・津奈木町の魅力を解説!
「歴史を風化させない」確固たる想いと取り組み

東南北3方を山に囲まれ、西には不知火海が広がる、人口4300人弱ののどかな町・津奈木町。昔から漁業が盛んな地域で、タチウオやシロゴ(カタクチイワシ等の幼魚)漁のほか、タイやフグ、ヒラメの養殖など海の恵みも豊富です。農業では多品種の柑橘栽培に力を入れていて、海岸線ギリギリまで迫る山々には、温暖な気候を利用して柑橘畑が広がっています。
1984年からは、「緑と彫刻のある町づくり」にも取り組んでいます。町営の「つなぎ美術館」を拠点に、橋の欄干や森の中などいたるところにアート作品を設置。アートイベントも開催されるなど、自然とアートが融合した特色ある町並みを体感することができます。
実は、津奈木町はかつて水俣病と呼ばれる公害の被害を受けた地域です。その歴史と教訓を風化させず、さらに公害被害地域というイメージからの転換を図るため、2013年から町を挙げて「つなぎFARMプロジェクト」という事業に取り組んでいます。
「人を守り・人を育て・多くの人が訪れ・多くの人が住む」地域にしていくために、山林や河川の適正管理、農村環境の保全、田畑での環境改善と水質汚染の原因となる肥料や農薬を減らすなど循環型農業を学び進めながら、町内外に向けて、環境意識の高い地域であることを発信し続けています。

~津奈木町の農業は未来へのバトン~
「つなぎ FARM プロジェクト」は今

津奈木名産のスイートスプリング。完熟しているので、酸味控えめで甘みが豊か

“津奈木の豊かな自然を将来に残したい” “未来の子どもたちへ正しい食をつなぎたい”―正しい食と農・環境を未来へつないでいく『つなぎFARMプロジェクト』。自治体が中心となり、農家や地域住民のみなさんを巻き込みながら、恵みを次世代につなぐ活動が広がっています。

あたたかい人柄の吉野さんが愛情たっぷりに育てたスイートスプリング

不知火海を見下ろす南向きの急斜面にある、吉野芳美さん(64)の果樹園。ちょうど収穫のシーズンを迎え、青い空と海、緑の山々にオレンジ色のスイートスプリングが美しく映えています。スイートスプリングとは津奈木町の名産のひとつで、「上田温州みかん」と「ハッサク」を交配した柑橘です。
吉野さんはもともと町役場の職員でしたが、同町が開催する環境配慮型農業実践塾への参加をきっかけにスイートスプリングの栽培を開始。自然農法に切り替えて7年。肥料や農薬を少しずつ減らし、ここ3~4年は完全無肥料・無農薬で育てているそうです。

無肥料とは思えないほど元気な樹木には、スイートスプリングがたわわに実っていました

通常のスイートスプリングは早めに収穫するので緑色の皮ですが、吉野さんの農園はこの地域でも珍しい「木成り完熟スイートスプリング」のため、鮮やかなオレンジ色の状態で出荷。採れたてを味見してみると、えぐみがなく甘くてジューシー! 
そんな吉野さんも、当初は肥料を与えないことで木が栄養不足にならないか心配したそうです。それでも、講習で学んだ剪定の方法を実践することで、樹木も元気で収穫量も目標をクリアしているとのこと。
「自然栽培にして良かったことは、肥料や農薬のコスト、作業の労力がかからなくなったことです。販売やルートの開拓に関しては、町が全面的に力になってくれるので、栽培に専念することができています。また、木成り完熟スイートスプリングは珍しいので、豊洲のネット販売でも高値で売れています。最近ではジュースやお菓子など六次化製品も企画・販売されていますよ。これからも、ほかの人が真似をしたいと思うようなみかんを作り続けたいですね」と笑顔で話してくれました。

吉野芳美さん《無肥料・無農薬スイートスプリング》の購入はコチラ

不知火の無農薬栽培にチャレンジしている丸田さん

みかんの品種・不知火では難しいと言われる無農薬栽培に挑戦しているのは、丸田良友さん(63)。海上自衛隊を退職後、実家のみかん園を引き継いで8年になります。
子どもの頃、学校の環境教育がきっかけで、食の安全や環境を保全することの大切さを学んだという丸田さん。スーパーなどで食べ物を選ぶ際も、なるべく農薬を使わないものを選ぶなどしていたとのこと。
「自分が生まれ育った土地で農業をするからには、農薬の使用を控えた農業をやりたい」と『つなぎFARM』の環境配慮型農業実践塾に継続的に参加。苗木の育て方や剪定の仕方、収穫後の管理など、学んだことを日々実践しているのだといいます。その成果もあって、昨年、園地を見に来た講師から「素晴らしい」とお墨付きをもらったそう。

 1年前に植えたばかりの温州みかん。「講習会で教えられた通りにしたら、こんなに大きくなってびっくりしています」

「現在、肥料は有機肥料を少しだけ、農薬も必要最低限にしています。不知火は皮が薄く傷みやすいため、完全無農薬とまではいっていませんが、袋かけをするなどして少しずつ減らす工夫をしています」
そんな丸田さんの不知火は、12月後半に収穫して、3カ月ほど倉庫で熟成した後、酸味と甘みのバランスがちょうどいい時季に出荷。町の物産館「つなぎ百貨堂」やウェブサイトで販売されて好評だとか。

袋掛けをして樹上で熟成中の不知火。安全でおいしい果物をつくるために試行錯誤の連続

「まだまだ小さい規模ではありますが、気持ちは大きい農家に負けません。今後は、安全と品質のバランスも考えつつ、柑橘の種類も増やしながら、みなさんにおいしいと言って食べてもらえるような果物を作りたいですね」。

丸田良友さん《特別栽培不知火》の購入はコチラ

地域の子どもたちと一緒に活動するのが楽しいと話す坂口さん

子どもたちに、地域に伝わる食の伝統継承を行っているのは、この地で代々農業を営む坂口信行さん(51)。2018年に農業法人化して以降、水稲栽培のほか特産・サラダ玉ねぎの栽培や加工品開発などを通して、町の農業振興にも力を注いでいます。さらに、町の耕作放棄地をどうにかしたい、町のために何か貢献したいという熱い想いで始めたのが、大根を栽培し津奈木町に古くから伝わる伝統食『寒漬大根』を再興すること。寒漬大根は、かつては各家庭で独自のレシピがあるほど、この地域の身近なソウルフードでしたが、高齢化により大根が作れなくなったり、寒漬づくりの作業が重労働なことから、作り手がすっかり少なくなっていました。

坂口さんの自宅の軒先で寒干し中の大根

そんな津奈木町で8年前から始まったのが、中学生による無農薬・無肥料の大根でつくる寒漬大根づくりの農業体験プログラムです。坂口さんの指導のもと、9月に種まきをして、草取りや間引きをした大根を12月に収穫。中学校の校舎の軒下に干した後、樽につけ込み、再度軒下に干すという手間のかかる作業の後、味付けして完成。子どもたちがパッケージデザインも考えたという寒漬大根は、給食で出されるほか道の駅でも販売されています。作業には農家の方も参加するなど、地域との交流も生まれています。

坂口さんが育てたもち米で作った「わたしのきモチ」には1つ1つメッセージが(左)子どもたちがパッケージデザインも考えた寒干大根。味付けしてない干しただけの大根も人気(右)

「体験の前には、食品添加物の授業をやるなどしています。子どもたちがちょっとでも食べ物のことを考えるきっかけになればうれしいです」と坂口さん。
地域の伝統継承や新たな担い手育成、農地や環境の保全にもつながると期待されている農業体験プログラム。「農業も付加価値をつけることで、いろいろなチャンスが広がります。農業体験だけでなく、六次化など販売についても学ぶことで、子どもたちに少しでも農業に興味を持ってもらえたらうれしいですね」

津奈木中学校での農業体験プログラムの様子

人のつながりを大切にする津奈木町で自然栽培しませんか?
移住・就農サポートもみんなで支えます!

正しい食と農、環境を未来へとつないでいく『つなぎFARMプロジェクト』の取り組みは今、全国からも注目されています。環境への意識の高まりもあって県外からの視察も多く、移住希望者も増えており、行政が主導して自然栽培を奨励したり六次化製品を開発していることに興味を持つ若いファミリーも少なくありません。実際に大阪や山口から移住して柑橘栽培を始める移住者もいて、町でも移住や新規就農者に対して全面的に支援しています。

★就農・移住についてもっと知る★
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この事業をさらに多くの人に知ってもらいたいと、東京の物産展に出展したり、町の物産館でオーガニックマルシェなどを開催するなど、『つなぎFARMプロジェクト』の発信にも力を入れています。
自然栽培の独自の基準づくりや生活の基盤が安定するような仕組みづくり、生産者団体の組織化などまだまだ課題はありますが、1人でも多くの人に『つなぎFARMプロジェクト』の意義を知っていただき、意識が変わることが大切だと考えます。

かけがえのない地域の恵みを未来へつなぐ津奈木町の挑戦から目が離せません。

近日開催!イベント情報@東京

●吉野芳美さんのスイートスプリング
●丸田良友さんの不知火
●坂口信行さんの寒漬け大根

が購入できる『熊本県津奈木町 つなぎFARMマルシェ(仮)』が、東京のマイナビ農業イベントスペース『農mers Café』で開催されます!
記事の商品の他、津奈木町のこだわりぬいた、商品(青果・加工品)が販売されます。また、イベント開催期間中は同カフェにて吉野さん・丸田さんの柑橘を使った期間限定メニューが毎日10食限定で提供されます!
ぜひお越しください!

イベント詳細
    【日程】令和4年2月28日(月)~令和4年3月4日(金)
    【時間】8:00~15:00
    【場所】農mers Café
       (東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町1F)

【問い合わせ先】
津奈木町役場
農林水産課 農林水産班(つなぎFARM関連)

〒869-5692
熊本県葦北郡津奈木町大字小津奈木2123番地
Tel : 0966-78-5520
Fax : 0966-78-3116

津奈木町移住定住サイト つなぎぐらしHP

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