マイナビ農業TOP > 農業経営 > 農業法人をM&Aするメリットと注意点

農業法人をM&Aするメリットと注意点

農業法人をM&Aするメリットと注意点

農業業界には多くの課題があります。よく知られているのは、「後継者問題」「農業従事者の高齢化と人口減少」「海外の安価な農作物の輸入による国内食料自給率の低下」などです。衰退産業とネガティブに見られることもある農業ビジネスですが、効率的かつ安定的に農作物を生産できる「スマート農業」など、さまざまな課題を解決するための取り組みも進んでいます。別稿の「農業法人のM&Aは盛んなのか」では、農業業界の多様性などについて解説しました。本稿では、農業法人をM&Aするメリットや注意点について解説します。

twitter twitter twitter

農業法人をM&Aするメリット

農業法人をM&Aするメリットは主に、「事業規模の拡大」「農地や農業施設・設備の獲得」「技術・ノウハウの獲得」「シナジー(相乗)効果」です。これらのメリットは、農業業界に限らず、同業種間のM&A、異業種間のM&Aでよく挙げられるメリットでしょう。

農業法人が同業種の農業法人をM&Aで買収すれば、シンプルに事業規模を拡大することができます。

また、M&Aすることによって農地や農業施設・設備・農材などを獲得することができます。異業種から農業に新規参入する場合、イチから設備投資するのはリスクを感じますが、M&Aであれば事業の実績がわかりますので、リスクを軽減できるでしょう。

農業法人のM&Aでは、株式譲渡ではなく事業譲渡が多く用いられますので、獲得する農地や施設、設備を選択できるメリットもあります。売り手(譲渡)農業法人の合意が得られれば、必要のない農地や施設、設備を譲受しない契約も可能です。

農業は、技術やノウハウが極めて重要で、収穫量という成果に影響する要素です。そのため、新規参入の場合は技術やノウハウを培っていかなければならず、労力と時間を要します。時間を買う意味でも、農業法人のM&Aは有効な選択肢でしょう。

異業種の企業が農業法人をM&Aする場合は、シナジー効果を狙う場合は多いでしょう。「6次産業」と呼ばれるように、農業業界も「つくって終わり」ではなく、一気通貫で消費者まで作物や加工品を届ける事業の多角化が進められています。すでに消費者(ユーザー)を抱えているEC事業者などが農業業界に参入する可能性は大いにあります。

農業法人をM&Aする際の注意点

では、農業法人をM&Aする際の注意点にはどのようなことがあるのでしょうか。デューデリジェンス(対象企業への事前調査)の時に注意しておきたいのは、

  • 農地の状態
  • 農業施設や設備、農耕器具の状態
  • 収穫時期だけでなく、一年を通じた農地の状態

を確認することです。

農業法人をM&Aする場合は、必ず現地を視察してください。できれば農業に詳しい専門家に同行してもらい、専門家の観点から農地の状態を把握できるようにしておきましょう。

農地だけでなく、農業施設や設備、農耕器具の状態も確認しておく必要があります。設備や器具のメンテナンス状態も確認し、M&A後に早期買い替えなどの想定外の出費が生じないように注意してください。

農地の視察は、1回だけでは足りません。農業は土づくりから種まき、栽培、収穫と季節ごとに工程が分かれています。どの時期を視察するかも大事な要素です。頻繁に現地に足を運び、一年を通して農地を視察するか、いくつかの時期に複数回視察を行いましょう。

特に異業種からM&Aによって農業業界に参入する場合、農業の知識がないがゆえに正しく事業デューデリジェンスができず、譲受後に想定外のことばかりが起こることがあり得ます。専門家に相談し、時間をかけてデューデリジェンスすることをオススメします。

無料相談・資料請求はこちら

あわせて読みたい記事5選

関連キーワード

シェアする

  • twitter
  • facebook
  • LINE

関連記事

タイアップ企画

公式SNS

「個人情報の取り扱いについて」の同意

2023年4月3日に「個人情報の取り扱いについて」が改訂されました。
マイナビ農業をご利用いただくには「個人情報の取り扱いについて」の内容をご確認いただき、同意いただく必要がございます。

■変更内容
個人情報の利用目的の以下の項目を追加
(7)行動履歴を会員情報と紐づけて分析した上で以下に活用。

内容に同意してサービスを利用する