農協離れ、コミュニケーション不足が大きな課題
━━早速ですが、JAつくば市にはどのような課題があったのでしょうか?
俗にいう「農協離れ」も起きたのですが、こちらの目が奥まで行き届かなくなってしまったのが原因の1つですね。
━━今回、農協離れの打開策として、新たな取り組みをスタートされたとお聞きしました。
有機肥料などの資材契約だけでなく、栽培のノウハウや利益を上げるためのアドバイスなども含めて、生産者に付加価値を提供できる体制の構築をはじめたんです。
もう1人のキーマン 初代葱師 清水 寅 (しみず つよし)
ねぎびとカンパニー株式会社代表取締役 300万本に数本しか取れない1本1万円の奇跡の葱「モナリザ」、家庭菜園用として誰でも美味しいネギを育てられる「寅ちゃんねぎの苗・肥料」を販売。日本の農業に一石を投じたいという強い意思のもと、美味しさを徹底追求しながら世界で戦える企業農家を目指す。 |
━━清水さんの視点では、JAつくば市にどのような課題があるように思われますか?
いい方法を教えてもらえないし、自分のやり方も変えようとしない。たとえば「この肥料いいですよ」と言われても、変えない人が多い印象ですね。
━━農家としては失敗が命取りですし、自分のやり方を変えにくいかもしれないですね。
ほかにもいろいろな理由で有機肥料が見直され、国も有機肥料を中心にしていく動き※がありますが、それでもやり方を変えられずにいる人が少なくないんですね。
※注:農林水産省は「みどりの食料戦略システム」において、2050年までに化学農薬の使用量を50%、化学肥料の使用量を30%、それぞれ削減するとともに有機農業に取り組む面積を100万haに拡大するなどの目標を掲げている。
我々が持っている知識や情報をお知らせしたくても、なかなか難しいのが現状ですね。
なので、資材提供だけではなく、栽培指導も含めてご協力したいと思っています。なんなら資材を購入されていない生産者に対しても、指導していきたいですね!
資材を買っていなくても栽培指導を実施、その真意とは?
━━ある意味、清水さんのスキルやノウハウを無料で提供してしまう行為ですが…どのような思いで取り組まれているのでしょうか?
収量を増やして収入を上げるには、どのコストを削減すべきか?など、別の視点も含めて見直しが必要だと考えているからです。
━━生産者の方に「この肥料を使えばOK」と、単純な考えでいてほしくないんですね。
それに、生産者は横のつながりが非常に弱い。うまくいった人の話を聞く機会がとても少ないのが現状です。生産者が県をまたいだ交流をして、ゆくゆくは日本として大きくまとまってほしいと思います。
━━生産者同士はいわばライバルですが、まとまれば「県」や「日本」という大きな視点で農業について考えられるようになるんですね。
そこで、知識や技術をシェアし、日本全体でネギの収量を上げられたとしたら…どうなるでしょう?
━━中国から輸入しなくてよくなりますね。
それを実現するには、小さなまとまりではダメ!今は視点を変える分岐点だと考えています。
━━ちなみに、清水さんの栽培指導とはどのようなものになりますか?
そのために有機肥料を使い、これまで10aに35,000本作付けしていたものを、43,000本以上を作付けして収穫できるようにするとか、1番コストがかかる出荷資材費や人件費をどう抑えるかとか、あらゆる視点で効率化のお話もしたいと考えています。
初代葱師が描く大きなビジョン、知識の共有をスタンダードに
━━今回の取り組みによって、どのような変化を期待していますか?
━━それは非常に大きなメリットですね。
━━JAつくば市をモデルケースに、全国的な広がりを期待したいですね。
「知識は共有するもの」という考えが農業界のスタンダードになるべきだし、そんな話を気軽に聞ける地域のリーダーみたいな存在が必要です。それを育てる取り組みもしていきたいですね。
JAつくば市でこれからはじまる、ねぎびとカンパニーとの資材契約&栽培指導。農業経営において大きな転換期を迎えている今、このひとしずくの取り組みが、農業界への大きな波紋へとつながっていく予感がしました。
【お問い合わせ】
ねぎびとカンパニー株式会社
〒994-0075
山形県天童市大字蔵増字宮田4389-1
TEL/FAX:023-665-4930過去記事はこちら
\\ぜひコチラもCheck!!//
▶清水寅 Twitter
▶初代葱師 清水寅 Instagram
▶初代葱師 清水寅
▶ねぎびとカンパニー株式会社 オフィシャルサイト
著者:宮崎新之
撮影:荒金大介