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農協離れ、指導者不足、コスト削減…JAつくば市が選んだ打開策とは?

農協離れ、指導者不足、コスト削減…JAつくば市が選んだ打開策とは?

農協離れを解決するには、新しい取り組みが必要では?
我々が提供できる、付加価値とはなんだろうか?
ここで頑張れば、生産者の収入UPにも繋がる!

思いを巡らせるJA職員が出会った人物、踏み出した一歩とは?キーマンにお話を伺います。

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キーマンの1人、JAつくば市 西部営農経済センターの小林さん

農協離れ、コミュニケーション不足が大きな課題

━━早速ですが、JAつくば市にはどのような課題があったのでしょうか?

私が担当している地区では約20年前にネギの栽培がはじまり、生産者と同時に物流量も増えていきました。当初は圃場も見に行けたのですが、だんだんと捌くので精一杯になり、現場に足を運べなくなったんです。

俗にいう「農協離れ」も起きたのですが、こちらの目が奥まで行き届かなくなってしまったのが原因の1つですね。

━━今回、農協離れの打開策として、新たな取り組みをスタートされたとお聞きしました。

はい。「1本1万円のネギ」で知られる、ねぎびとカンパニーの清水 寅社長との連携をスタートしました。

有機肥料などの資材契約だけでなく、栽培のノウハウや利益を上げるためのアドバイスなども含めて、生産者に付加価値を提供できる体制の構築をはじめたんです。

もう1人のキーマン 初代葱師 清水 寅 (しみず つよし)

ねぎびとカンパニー株式会社代表取締役
300万本に数本しか取れない1本1万円の奇跡の葱「モナリザ」、家庭菜園用として誰でも美味しいネギを育てられる「寅ちゃんねぎの苗・肥料」を販売。日本の農業に一石を投じたいという強い意思のもと、美味しさを徹底追求しながら世界で戦える企業農家を目指す。

━━清水さんの視点では、JAつくば市にどのような課題があるように思われますか?

「JAつくば市が」というより、そもそも農業界において、実際に作物を作っている人が指導をする仕組みがありません。教えても自分の収入にはなりませんから。

いい方法を教えてもらえないし、自分のやり方も変えようとしない。たとえば「この肥料いいですよ」と言われても、変えない人が多い印象ですね。

━━農家としては失敗が命取りですし、自分のやり方を変えにくいかもしれないですね。

そうですね。肥料の話をすると、以前は気象の問題やコスパから化成肥料が広まっていました。しかし近年、化成肥料のコストが上がっています。

ほかにもいろいろな理由で有機肥料が見直され、国も有機肥料を中心にしていく動きがありますが、それでもやり方を変えられずにいる人が少なくないんですね。

※注:農林水産省は「みどりの食料戦略システム」において、2050年までに化学農薬の使用量を50%、化学肥料の使用量を30%、それぞれ削減するとともに有機農業に取り組む面積を100万haに拡大するなどの目標を掲げている。

肥料に関しては、生産者がJAではなくホームセンターや通販などで購入されるケースも増えていますね。そういった意味でも接点が減少しているんです。

我々が持っている知識や情報をお知らせしたくても、なかなか難しいのが現状ですね。

僕自身、師匠に教わりながらネギ農家になりましたから、人に教わる良さを誰よりも知っています。有機肥料についても、どのように使えばいいのか、エビデンスに基づいて実践した内容をお伝えできる。

なので、資材提供だけではなく、栽培指導も含めてご協力したいと思っています。なんなら資材を購入されていない生産者に対しても、指導していきたいですね!

資材を買っていなくても栽培指導を実施、その真意とは?

━━ある意味、清水さんのスキルやノウハウを無料で提供してしまう行為ですが…どのような思いで取り組まれているのでしょうか?

単に肥料を買っていただけるだけなら、とてもシンプルな関係です。でも「この肥料を使えばOK」と思われるのが嫌なんですよ。

収量を増やして収入を上げるには、どのコストを削減すべきか?など、別の視点も含めて見直しが必要だと考えているからです。

━━生産者の方に「この肥料を使えばOK」と、単純な考えでいてほしくないんですね。

はい。そして、今の若い生産者には時間がない。そもそも儲かっていない。そういう人たちには、技術を身に着けてもらうしかないですから。

それに、生産者は横のつながりが非常に弱い。うまくいった人の話を聞く機会がとても少ないのが現状です。生産者が県をまたいだ交流をして、ゆくゆくは日本として大きくまとまってほしいと思います。

━━生産者同士はいわばライバルですが、まとまれば「県」や「日本」という大きな視点で農業について考えられるようになるんですね。

そうですね。ネギだと、千葉県と同じくらいの広さで作付けされたものが中国から輸入されています。

そこで、知識や技術をシェアし、日本全体でネギの収量を上げられたとしたら…どうなるでしょう?

━━中国から輸入しなくてよくなりますね。

はい。つまり、日本の生産者の収入UPにも繋がります。仮に、供給が国内の需要を上回った場合は、海外への輸出も考えられる。

それを実現するには、小さなまとまりではダメ!今は視点を変える分岐点だと考えています。

━━ちなみに、清水さんの栽培指導とはどのようなものになりますか?

野菜には売価調整があるので、そんなに値上げもされません。つまり、農家は収量を上げて、コストを下げるしかないんです。

そのために有機肥料を使い、これまで10aに35,000本作付けしていたものを、43,000本以上を作付けして収穫できるようにするとか、1番コストがかかる出荷資材費や人件費をどう抑えるかとか、あらゆる視点で効率化のお話もしたいと考えています。

私どもは知識や情報はあっても、実践的な部分については経験が不足しています。そういった意味でも、清水さんが生産者として実践し実感してきたお話は、多くの生産者に共感していただけるのではないかと思うんです。

植え付けから収穫・梱包・出荷に至るまで、年間を通してお伝えしていきたいですね。ガソリンや梱包材など、いろいろな物が値上がりしているからこそ、今までと同じではダメなんです!

初代葱師が描く大きなビジョン、知識の共有をスタンダードに

━━今回の取り組みによって、どのような変化を期待していますか?

一気にすべてが変わることはないと思っています。まずはモニタリングとして協力してくださる生産者を募って、その方をサポートする。そうすると、周囲の方にも興味を持っていただけると思います。まずは結果を見せる!それが第一歩ですね!

毎年2月ごろに講習会を実施しているので、それを機に最初の取り組みができればと考えています。そこからはタイミングを見て、知識や経験をシェアする時間を作っていきたいですね。

ちなみに、僕が推奨する栽培方法で生産されたネギは、ねぎびとカンパニーでお引き受けしようと考えています。つまり、生産者の方にとって、出荷先が増えるんです。

━━それは非常に大きなメリットですね。

はい。清水さんとの取り組みが刺激となり、ネギ以外の作物にも広がるのではないかと期待しています。

つくば市は気候がよく、いろいろな作物が生産されていますが、取り組みを続ける中で新しい名産が生まれたら嬉しいですね!

僕はネギしか分からないですが、絶対にほかの生産物でも活用できる知識やノウハウがあるはず。そこはどんどんお役立ていただきたいです!

━━JAつくば市をモデルケースに、全国的な広がりを期待したいですね。

その上で、僕の課題は「わかりやすくする」こと。僕たちしかできないものじゃなくて、どんな人でも簡単にできるような仕組み作りが着地点かもしれません。

「知識は共有するもの」という考えが農業界のスタンダードになるべきだし、そんな話を気軽に聞ける地域のリーダーみたいな存在が必要です。それを育てる取り組みもしていきたいですね。

***

JAつくば市でこれからはじまる、ねぎびとカンパニーとの資材契約&栽培指導。農業経営において大きな転換期を迎えている今、このひとしずくの取り組みが、農業界への大きな波紋へとつながっていく予感がしました。

【お問い合わせ】
ねぎびとカンパニー株式会社
〒994-0075
山形県天童市大字蔵増字宮田4389-1
TEL/FAX:023-665-4930

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▶初代葱師 清水寅 Instagram
▶初代葱師 清水寅
▶ねぎびとカンパニー株式会社 オフィシャルサイト 


著者:宮崎新之
撮影:荒金大介

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