地域の農協として組合員と一体になった販売体制の確立を模索
JAむかわの拠点となるむかわ町鵡川地区は北海道の道央圏に位置し、地域を横断する一級河川「鵡川」に沿って、水田を主体とする農用地が開かれている。昭和27年から合併が行われていない数少ないJAの一つだ。北海道のJAとしては比較的小規模だが、JAむかわの基本理念にもあるように「小さくても」地域農業を振興し組合員を守る存在として、これまで農産物の生産・販売には特にこだわりを持って活動を行っている。
そのための取り組みの一つとして、組合員との出荷予定数量のやりとりも行ってきたが、これまではFAXが主体ということで、集計に手間がかかるだけでなく、受信に関してのトラブルやインク代、通信費などFAXを利用するが故の問題も発生しており、有利販売を目指す取り組みのはずが、却ってJA職員の業務負担を増やす事態となっていた。
そのような状況で、集出荷予約機能のついた『nimaruJA』を発見したJA職員は直接問い合わせを行う。話を聞く中でJAの抱える課題をしっかりと解決できるサービスだと判断し、組合員全体での一斉導入を行った。
有利販売の促進とJA職員の業務負担削減の両方を期待し導入
以下、JAむかわ営農部蔬菜園芸課阿部さんへの『nimaruJA』導入に関するインタービュー内容となります(インタビュアーは『nimaruJA』を運営する(株)kikitori福士)。
福士:nimaru 導入前の課題や貴社の状況について教えてください。
JAとしてより効率的な販売につなげていくために、近年、多くの品目で組合員さんからの出荷の予定を把握し、配車の効率化や有利販売につなげる取り組みを行ってきました。
しかし、組合員さんとの紙のやり取り(出荷の予定)情報を集めていたため、1枚1枚FAXに書かれた情報をエクセルに手入力し、集計も一つひとつ行っていたため非常に手間がかかってしまっていました。
有利販売を目指したいものの、一方で職員の手間も増えてしまい組合員との出荷予定の事前把握の取り組みの難しさを感じていました。
福士:nimaruを導入するにあたっての現場職員の方々のご意見を教えてください。
もともとnimaruのようなデジタルツールを導入する場合、一部の組合員さんからではなく一斉に全体で取り組みを開始したいと考えていました。
そのような形で取り組む場合には幅広い年齢層の組合員さんが手軽に使えることがとても大切なため、年配の組合員さんなども普段使っているLINEを窓口にしたnimaruには期待が持てました。
また、こうした組合員さんとのデジタル化の取り組みはJAの職員側にも、組合員さんのサポートで負担がかかってしまうという話をいろいろな所で聞いていました。特に私たちのように一斉にたくさんの組合員さんに取り組みに参加をしてもらう場合には、いかに職員側にも負担なく組合員さんにシステムに登録いただけるかということも重要なポイントでした。
そうした意味でも登録シートのQRコードを読み込むだけで登録ができるnimaruは現場の担当者も使いやすそうだなと感じました。
想像を超える利用率で確かな手応えを実感。今後は他部署での利用へ
福士:どのように組合員さんにnimaruを拡げていきましたか?
まずはkikitoriさん(nimaruの運営会社)と何名の組合員さんにnimaruを利用してもらうかという目標の数字を決め、組合員さんごとの登録用QRコードの入ったA4 1枚の登録シートを全員分作成してもらいました。
出荷に来られる組合員さんに声をかけてnimaruを紹介し、登録シートをお渡ししていきました。また、出荷予定の連絡だけでなく、JAから発信している営農情報などの情報についても、nimaruを使って簡単にスマホで受け取れることなどもお伝えするとたった2、3週間で100名を超える組合員さんにnimaruの利用を開始して頂けました。現場の担当者も予想を超える勢いでの組合員さんの利用に驚いており、ある意味嬉しい誤算となりました。
福士:これまでFAXを使われてきた組合員さんからの声などはいかがでしょうか?
たくさんの組合員さんがこれまでのFAXによる情報の受け取りや出荷予定の連絡からnimaruを使ったやり取りに切り替えてくれ、評価は上々です。実はこれまでFAXによるやり取りですと、営農情報以外にも様々な情報が組合員さんへ届くため、組合員さんによってはFAXが受信できる許容範囲を超えてしまったり、用紙やインク代、FAXの通信費の負担といったマイナスの側面もあり、利便性や費用対効果も踏まえてnimaruの利用へ切り替えてくれた組合員が多いように思います。
福士:nimaruを導入してみて、現場の職員様の反応やご意見などはいかがでしょうか?
期待していた通り、たくさんの組合員さんから自動的に入ってきた入荷の予定情報を自動で集計できるので、現場の作業がとても楽になりました。
また、スマホを持っておらず、従来通りのFAXで連絡のくる組合員さんの情報についても、職員側で組合員さんの代わりにnimaruに入力し、管理ができるので、エクセルなど他のツールを使うことなくnimaruのみで入荷予定の管理ができ、職員としても覚えることが少なくて助かっています。
福士:今後のnimaruの活用に関する展望などがあれば教えてください。
既に多くの組合員さんにnimaruを使ってもらっていますが、他部署でもnimaruを組合員さんとのデジタルの窓口として活用していくことも検討しています。
また、FAXと違って停電時などにも情報を発信することができるので、災害に備えた情報発信手段としての利用もできると考えています。
これからもより一層利用者を増やして、業務の効率化や販売の最大化を目指していきたいと考えています。
福士:貴重なお話しをお伺いさせて頂きありがとうございました。