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日本トップクラスの有機農家数を誇る生産組合。新規参入獲得の取り組みから見えてきたものとは?

日本トップクラスの有機農家数を誇る生産組合。新規参入獲得の取り組みから見えてきたものとは?

『有限会社かごしま有機生産組合』は1984年に設立されました。スタート時は5名だった組合員は現在160戸と、全国でもトップクラスの有機農家数。直営農場を含めた約140品目の有機農産物を鹿児島県内だけでなく、関東・関西の消費者に向けても出荷しています。設立以来、順調に活動を広げていますが、現役農家の高齢化による地域の担い手問題はここでも待ったなし。令和3~4年度にかけて、『農業人材確保・就農サポート体制確立支援事業(以下、就農支援サポート事業)』を活用し、新規参入につなげる取り組みに着手した同組合の三箇良治(さんが・りょうじ)さんを訪ねてきました。

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40年前から有機農産物とその魅力を全国へ発信

『かごしま有機生産組合』には2つの直営農場があります。県北部に位置する大口農場と、日本有数のお茶の産地・南九州市にある知覧農場。知覧農場の近くには作物の出荷作業を行う施設があり、研修生の受け入れも行っています。実は『就農支援サポート事業』を受ける前から、県内で有機農家を目指す人の育成に注力してきました。

平成21年に新規参入をバックアップする鹿児島有機農業技術支援センターを設けたり、品目ごと・地域ごとの部会で組合員同士でもサポートし合える仕組みを作ったり。また、直売店をはじめ、農業体験、県外への販路開拓など、消費者を増やす活動も進めています。

「支援や研修を行っていても、自然を相手にする農業では実際に経験してみないと分からないことが多くあるもの。有機農業では特に農地の気候風土や土壌の影響が顕著で、技術的なハードルが高く新規参入や有機農業への転換が難しい一面も。参入後は生産に追われて周辺農家との情報交換や相談に時間をさけず、離農するケースもありました」。

有限会社かごしま有機生産組合 生産事業部 主幹・三箇 良治さん

同組合で『就農支援サポート事業』に取り組んだ三箇さんは、有機農業に惹かれて製造業から転職。就農するべく専修学校で基礎を学びますが、生産だけでなく生産後の流通・販売まで視野に入れたいと15年前に入社したそうです。希望に燃え、環境が整った社員という立場で取り組んだ三箇さんでも、4〜5年目までは試行錯誤の日々だったとのこと。実体験から、新規参入の窓口や継続するための支援の大事さを痛感している一人なのです。

新規就農・継続につながる“頼れる環境”づくり

令和3〜4年で取り組まれた『就農支援サポート事業』。同組合では2年間を通じ、新規就農サポート体制の構築・実施を行いました。令和3年度には、就農希望者へのアプローチ方法や研修内容の検討、就農後のサポート体制について協議をする新規就農サポート体制構築・推進委員会を設置。受入プログラムの作成、新規就農者に対する相談体制の整備、研修プログラムの作成、新規就農者募集に関する広報活動、地域の福祉関係機関・団体との連携などを進めていきます。

続く令和4年度は、新規就農サポートとして、(1)農業就農体験、現地見学会の開催、(2)農業技術に関する研修の実施、(3)農地などの斡旋・確保、(4)新規就農サポート人材によるフォローアップ、(5)生活面の支援、(6)就農後のスキルアップ支援を実施。技術指導に現役農家や直営農場での実習を盛り込み、より実践的に有機農業を学べるようになっています。就農希望者が就農するまで、そして就農してからも頼れる環境を整備する取り組みです。

2年間で主に成果が上がったのは、(1)の取り組みでした。随時、現地見学を行い、研修指導責任者が対応することで丁寧な説明・案内を可能に。1日体験から2週間ほど泊まり込んで行う農作業体験を行い、一般・大学生・高校生が30名以上参加。その中から2名が研修生となり、(2)のステップへ進んでいます。

「消費者のみなさんは、出荷前のネギにこんなに土がついていることを知らないでしょ」と言って、ネギの皮をむいて見せてくれた三箇さん。土付きの皮の下は白く美しいコントラストです。

「今事業のベースになっているのは、組合がこれまで実践していた新規就農へのサポートです。今回は就農希望者だけでなく、学生の農業体験にも着手。きっかけは、鹿児島大学の大学院生から、農業に興味を持つ学生に農業体験をさせてもらえないか、という提案があったこと。同大学の農業体験サークルを通じて学生の体験者が増え、現場が活気づきました。一方で、学生が魅力的に感じる職場環境と、生産第一でほとんど休まず働く農業現場のギャップが浮き彫りに。同業内では気付けない部分だったので、こうした学生の視点も大事にしていきたいですね」。

はじめての人でも分かるように、出荷の手順をマニュアル化して壁に貼っています。何度も繰り返し見ながら作業できるので未経験の方でも安心です。

見えてきた大きな課題。有機農家を育てる指導員の育成が必要!

今事業期間中の農業体験で、農業での地域活性を目指す学生が同社への新卒入社を決めたというエピソードもあり、『就農支援サポート事業』を通じ、有機農業に興味を持つきっかけや飛び込む間口を広げられたと感じる三箇さん。しかし大事なのは、研修を終えてからの実践です。

除草剤を使えないため、畝の側面に生える雑草はすべて手作業で除草するそう。丁寧に管理されたほ場であることがうかがえます。

「土づくりが生産の要となる有機農業では、土を見るチカラを養う必要があります。ここでつまずいたり、行き詰まったりして農業を嫌いになってしまう人も。そんな人を無くし、有機農業って楽しいものだと自慢できる農家さんを増やしたい。そのために農家同士が協力し、技術継承や交流がかなう品目部会や地域支部を開設しています。LINEグループで部会ごとをつなげ、新規参入者が質問を投げたり、先輩農家が作付けのタイミングを知らせたりするなどで活用中です」。

とはいえ、若手育成や技術継承で先輩農家の負担が大きくなっては意味がありません。三箇さんが今後の課題に挙げたのは、新規就農者への生産指導の確立でした。現在も同社の指導員が定期的にほ場を回っているのですが、東西南北に広がる各地域の特性を把握し、適切に指導できる技術・知識を備える人材は不足しています。

機械の中にネギを入れると、空気圧でつるんとキレイに皮がむけます。加工場内はネギのいい匂いが立ち込めます。

「農家の高齢化が進む現状では、新規就農者を増やすことが急務だと考えていました。増やすだけでなく、続けてもらうためにも現場指導員を育てなくては。今後は研修生・新規就農者に対する指導員の育成にも尽力しながら、『就農支援サポート事業』で構築した新規就農サポート体制の取り組みを継続していきたいですね」。

同組合が掲げるテーマの一つである“誇れる生産、学び伝える販売”の具現化を目指し、新たな一歩を踏み出します。

■お問い合わせ■
有限会社かごしま有機生産組合
〒891-0101鹿児島県鹿児島市五ケ別府町3646
TEL: 099-282-6867
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