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農業の人手不足に“オール山形”で立ち向かう。多様な人を農とつなげる山形県の新たな挑戦とは

農業の人手不足に“オール山形”で立ち向かう。多様な人を農とつなげる山形県の新たな挑戦とは

全国の産地が頭を抱える農業の労働力不足問題。農業従事者の高齢化と減少が深刻化する山形県では、平成30年度から県内の各団体が連携し、新たな視点で農業労働力の確保に向けた取り組みを推進しています。令和3年度からは農林水産省の農業労働力産地間連携等推進事業を活用した新たなプロジェクトが始動。県境や業種の垣根を越えて、多様な人が農業とつながる山形県の事例をご紹介します。

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多くの人手が必要なさくらんぼ。短期集中の人手確保に官民一体で取り組む

さくらんぼ、ラ・フランスなどの果実をはじめ、水稲、枝豆など、恵まれた自然条件が育む個性豊かな作物で知られる山形県。近年では、果実と園芸作物の産出額が増加傾向にある一方で、農業従事者の高齢化と減少が深刻な課題となっています。

そこで、山形県では県やJAなどの官民の機関・団体が連携し、平成30年度に「山形県農業労働力確保対策実施協議会」を発足。“オール山形”の心意気で持続可能な産地の未来に向けて、労働力の確保に取り組み始めました。

「特に人手不足が顕著だったのが、収穫が短期に集中するさくらんぼです。これまでもJAの無料職業紹介所やハローワーク、シルバー人材センターなどで募集をかけてきましたが、それでは十分な人手を確保することはできず、協議会として他産業や他産地との連携を強化することにしたのです」(山形県農林水産部/加藤恵理 主査)

当初は仙台や東京方面からさくらんぼ収穫の労働力を確保していましたが、コロナ禍で状況は一変。
「県外からの人手確保が難しくなったことを受け、コロナ禍で休業を余儀なくされた飲食店や観光業の方に一時的にさくらんぼの収穫に協力していただいたり、農業に協力してくださる『産地サポーター企業』の手を借りながら他産業との連携を強めていきました」。(加藤主査)

現在、産地サポーター企業は92社までに拡大し、建設業や観光業など多彩な業種の企業が山形の農業とつながっています。


1日でも、半日でも。マッチングアプリで潜在的な労働力を掘り起こす

さらに、令和3年度からは農業労働力産地間連携等推進事業を利用し、農作業の人手を必要とする農業者と空いた時間を使って働きたい人をつなげるマッチングアプリ「デイワーク」を活用した取り組みも始めました。

「とにかく人手が足りないので、1日でも半日でも働ける方にはぜひ協力してもらいたい。デイワークを導入したのは、そういった農家の方の声に応えるためでした。導入を始めてから本業が休みの週末にお小遣い稼ぎとして副業で働いてくださる方、農業にリフレッシュを求める方、子育て中の方など、幅広い方々が参加してくださり、令和4年度には前年度の2倍に利用が増え、手応えを感じています」(加藤主査)

受け入れた農家の9割以上がデイワーク経由の雇用について「満足」と回答、今後も続けたいという意向を示しており、採用方法の選択肢が広がったという点でも評価できる取り組みとなっています。

さくらんぼの魅力は予想以上!他産地連携で山形の農業のポテンシャルに気づく

コロナ禍で一時的に縮小せざるを得ない状況になっていた他産地連携も令和4年度には再開。協議会ではさらにステップアップを図るため、大手旅行会社と連携し、九州地方から労働力を受け入れる新たな取り組みを実施しました。

旅行会社や九州の農業事業者と連携して、他産地からの労働力の確保と交通・宿泊の手配、作業内容の調整を委託し、地元では生産者からの作業依頼に基づいてJAグループが労働力需要の取りまとめや農作業委託契約の事務代行などを行いました。

参加者には、九州の農業関係者をはじめ、幅広い層の方が集まりました。参加の動機は「山形に行ってみたかった」「仕事関係者や友人からの紹介」などさまざまで、最も多かったのは「さくらんぼの収穫をしてみたかった」という回答でした。

「九州地方の人にとって、山形はあまり馴染みのない土地です。さくらんぼやラ・フランス自体、九州にはない果物ということもあり、だからこそ“行ってみたい”と思われる魅力があることを知ったのは大きな発見でした」(JA全農山形/佐藤大輔 調査役)

農業へのハードルを下げ、みんなが少しずつ農業に関われる重層的なしくみが大事

協議会では、このような取り組みを通して、「農業に対するハードルを下げ、多様な人が1割の時間でも農業に携わってくれることが大事」と言います。

「現場で見ていても、一日就農しただけでも農業に目覚める方もいらっしゃいます。この取り組みを通して、もう一度農作業をしてみたいと思っていただき、リピーターになっていただき、いずれはプロの農家になっていただくような裾野を広げるきっかけになっていければ、と願っています」(佐藤調査役)

「山形県は令和4年度、本当にいろいろなことに取り組みました。情報発信もかなり力を入れてやってきたと思います。この取り組みをここで止めないように、担当者が変わっても熱意を持って続いていくことが大事だと考えています」(加藤主査)

農業に関わる組織・団体だけでなく、自治体にとっても、高齢化や人口減少に伴う農業労働力の確保は共通の課題です。山形県で行われた取り組みは、地域の農業課題に対してそれぞれの強みを生かして一歩踏み出し、横のつながりを広げていくことで、新しい解決策や可能性を数多く見出した事例ではないでしょうか。“オール山形”の心意気で取り組む山形県の挑戦はこれからも続きます。

問い合わせ

山形県農業労働力確保対策実施協議会(事務局:山形県農林水産部農業経営・所得向上推進課)
TEL:023-630-3405
MAIL:ynoshotoku@pref.yamagata.jp

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農業現場における労働力不足を解消するため、農林水産省では、「産地内における労働力確保を推進するための取組」「農繁期の異なる他産地・他産業との連携等による労働力確保の取組」に対して支援を行っています。本ページで紹介する事…
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