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熊本県で進む畜産分野における20代の新規就農。「やりたい畜産」に寄り添う就農サポートの仕組みとは

熊本県で進む畜産分野における20代の新規就農。「やりたい畜産」に寄り添う就農サポートの仕組みとは

全国で課題となっている農業の担い手不足問題。新規就農者の確保に向けて各所でさまざまな取り組みが行われていますが、畜産においては、飼育地・飼料の確保や資金繰りなどといった点で新規独立就農のハードルが高く、思うように人が集まらない現状があります。独立に向けたサポートも十分でなく、農家の下で研修を受けた新規就農希望者が独立を諦めるケースも。そのような中、熊本県の阿蘇地域では20代の畜産の新規就農が進んでおり、続々と独立しているといいます。手厚い新規就農サポートを行なう「NPO法人九州エコファーマーズセンター」を取材しました。

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担い手不足で南阿蘇村の伝統「あか牛生産」が存続のピンチ

NPO法人九州エコファーマーズセンター(以下、九州エコファーマーズ)は、熊本県合志(こうし)市(農業公園内)に事務所を構える農業専門の研修機関です。未経験者でもプロ農家を目指せるよう、必要な技術や知識を現役の農業経営者が体系的に指導しています。

吉村孫徳さん

九州エコファーマーズ事務局長の吉村孫徳さん


これまでに1,000名を超える研修生・体験生を受け入れ、修了生は熊本県をはじめ、県外各地で様々な作物・形態で就農しています。
令和3~4年度にかけて実施した農業人材確保・就農サポート体制確立支援事業では、とくに熊本県の南阿蘇村において、あか牛繁殖・肥育生産農家の新規就農者をサポートし、地域で活躍できる人材に育成することを目指しました。

南阿蘇村の農業は、1995年と2015年を比べると、耕地面積は2,414haから2,006ha、農家戸数は1,226戸から839戸まで減少。65歳未満の農業就業人口はこの20年間で684人減少するなど、農地の荒廃、担い手不足、高齢化が進んでいます。特に、阿蘇のシンボルでもあるあか牛生産の減少と草原の荒廃は顕著で、存続が危ぶまれています。

「教えるプロ」の現役農家を配置、実践研修が可能な圃場を整備

担い手を確保し、農地を守っていくために九州エコファーマーズでは、新規就農サポート体制の構築と、サポートの一環としての研修に取り組みました。
新規就農サポート体制の構築では、SNSを活用した相談体制の整備、研修プログラムの作成などを実施。南阿蘇村黒川・立野地区においては関係各所の協力を得て、畜舎・牧場・放牧場・水田等の実践研修圃場を確保、整備しました。
「農家さんは教えるプロではないため、従来の農家研修では新規就農希望者は単純な労働力になりがちでした。そこで研修用に実践的な圃場を確保し、技術を教えることのできる農家を揃えることで研修生が存分に学べる環境を作りました」と、九州エコファーマーズ事務局長の吉村 孫徳さんは話します。

今回の事業では月に一度、全研修生を対象にあか牛生産経営に関する技術習得だけでなく、稲作における農業技術を学ぶための研修を実施しました。
「九州エコファーマーズでは、日本農業の基礎は稲作であり、農業を始めるうえで畜産農家も耕種農家も稲作の知識・技術及び理念、風土、風習を体感することが必要だと考えています」と、吉村さんは狙いを話します。

研修参加者の声

南阿蘇村立野地区で研修を行う渡邉亜里沙さんは、大学時代にあか牛の放牧肥育を学んだことをきっかけにあか牛の畜産農家を目指して研修に参加しました。
「九州エコファーマーズの研修の仕組みのおかげで、牛を飼っていく自信がつきました。就農に必要な資格を研修先の農家さんに教えてもらったおかげで、研修期間にスムーズに取得できたことも良かったです」と話します。

渡邉亜里沙さん

渡邉さんの研修先には九州エコファーマーズが立てた牛舎と堆肥場があり、研修生の受け入れ態勢が整っています。渡辺さんは2年間の研修を終え、2023年4月から研修先の農家さんの下で新規雇用就農する予定です。

独立就農を目指して関東から移住した安藤大峻さんは、阿蘇地域であか牛を放牧している農家の下で研修を行っています。
「放牧肥育をしたいと思い、色々と調べる中でこの研修に辿り着きました。研修期間が就農に向けた準備期間になるので、独立を考えている自分にとってありがたいです。また、合同研修などで横のつながりができたことも、将来を考える上でとても心強いです」と話します。

安藤大峻さん

現在研修1年目で、修了後は独立して放牧農業に取り組んでいきたいという安藤さん。「牧野は地区ごとで管理しているものなので、地元の人との付き合いの大切さも研修期間で学んでいる」と話します。

新規就農者のさらなる確保に向けて取り組みを加速させる

九州エコファーマーズでは、2021年度~2022年度の間に20名の研修生を受け入れました。そのうち10名が新規独立就農、1名が親元就農、2名が雇用就農しています。

「資源や設備に恵まれたフィールドで畜産業を学び、実践できることの素晴らしさに興味を持ったり、参加したりする人が徐々に増えていると感じています」と吉村さん。
「今回の取り組みで研修生の受け入れ環境が整ったので、今後はさらに認知をあげ、受け入れ数を増やして確実に新規就農の成果があがるようにしたい。そのためには農地、中古ハウスの確保に向けて県、市町村、関係機関等の支援を受けて取り組んでいく予定です」と、今後の計画を話します。

九州エコファーマーズでは「新・農業人フェア」「マイナビ農林水産FEST] 「熊本県新規就農セミナー&就農・就業相談会」等の就農イベントに積極的に出展していくとともに、電話、Eメールでの対応や研修関係機関と連携を密にし、受入体制を充実していく予定です。同時に、研修生受入条件としている農業インターンシップを積極的に斡旋していきます。

お問い合わせ

NPO法人九州エコファーマーズセンター
TEL:096-247-3333
MAIL:ecofarmers@asoeco.jp

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