『RN-700』 を活用し、会計事務所が米の検査機関に
日本海に面し、水稲栽培が盛んな地である石川県。そこで、会計・税務サービスを展開する税理士法人宮田会計は、生産者を中心に会計代行を行う一方、農業分野のコンサルティングにも力を入れている。
現在は株式会社アグリマネジメントを設立し、登録検査機関としての活動を本格的にスタートさせた。まったく異なる業界からの参入、その経緯はどのようなものだったのか。同社農作物検査員の百海靖雅さんに話を伺った。

株式会社アグリマネジメントの百海靖雅さん。約1年にも及ぶ研修を修了し、検査員へ
「どこかに農家の都合に合わせてくれるような検査機関はないの」―きっかけは水稲農家からの相談だったという。当該地域では農業者同士が検査機関として登録し合い、お互いの米を検査。それぞれの生産者が、登録検査機関としての役目を担っていた。
しかし、検査の予定が入ると米の収穫を止めなければならず、適切な収穫期を逃す恐れがある。お互いの予定もあるが、収穫は一気にやってしまいたい。だが、検査をしないと出荷できない。そんな、登録検査機関の代行が負担となっていたのだ。
話を聞いた百海さんは、このような状況を改善すべく「当社が検査をすれば、刈り取りの手を止めなくていいし、お客様の満足にもつながる」と登録検査機関への参入を決意した。本業の会計業務が、米の収穫期である9、10月には落ち着くことも決め手だった。
登録検査機関への参入に向け、百海さんは検査員を養成する研修に参加。検査補助として実務も積んでいき、とある研修会場で株式会社ケツト科学研究所の判定器『RN-700』と出会う。

令和4年度より農産物検査が改定。水分計も併用すれば、機械鑑定で必要な項目を網羅することも可能に
「日頃から米を見慣れていない業種なので知識が浅い。けれども、機械から得られた情報は、私たちの判定を裏付ける根拠となりました。また『RN-700』は、試料を入れたトレイを差し込むだけで結果が出る。使い勝手の良さも魅力でした」。
そして、2018年。百海さんの所属する株式会社アグリマネジメントは検査機関として登録されると、『RN-700』のデモ器を使ってスタートを切ることとなった。
目視では分かりにくい胴割粒も機械で判別! データをもとに適切な栽培支援も
「ゼロベースからのスタートだからこそ、いいものを入れよう」という同社代表取締役宮田𠮷弘さんの意向もあり、2022年に『RN-700』を購入。本格的に検査業務に乗り出したアグリマネジメント。
昨年は加賀市の農業法人の検査を請け負い、『RN-700』を車に積んで現地に出向いた。デモ器を通して使い方は理解していたものの、初めての生産者で『RN-700』を使う時は、ケツト科学研究所の福島一貴さんの立ち会いがあった。
「目視の補助として使っていたので、目視に合わせた感度の調整は、福島さんの力を借りました。機械にパソコンを連携させて判定結果を取り込むのですが、その設定もしてもらい心強かったです」と手厚いサポートについて話す。
あらかじめフレコンから抜き出してあった試料を目視と機械で判定し、3、4時間でフレコン20〜30袋を検査。『RN-700』の導入は、等級決定に迷う時間をなくし、結果的に検査スピードもアップさせた。数ある検査項目の中でも、百海さんが最も多く活用したのは胴割粒の判定だ。
「青色や茶色になっている被害粒は目視でも分かりやすいですが、胴割粒は分かりづらい。とても見落としやすい要素。それが機械だと画像できれいに確認でき、お客様に見せることもできます」

また、『RN-700』は判定結果の詳細が、エクセルデータと測定時に撮影した画像で残せることもメリットの一つ。
「お米を見て、未熟米が多ければ早刈りに注意、虫害が多ければ防除対策を考えたりと、お客様と翌年に向けた会話が生まれました。今後、データが蓄積していけば、栽培の検討材料として活用できるので、お客様にフィードバックしていきたい」と、経営支援に向けた意気込みを語った。
本体の清掃不要、故障しにくい構造 効果的な使い方を手厚く支援
判定器の導入は、今回のように初めて検査を行う機関の力となるだけでなく、目視では判定しづらい項目の判別、作業の効率化、データを活用した支援などのメリットが得られる。
ケツト科学研究所の『RN-700』は、コンパクトなサイズのため持ち運びが可能。駆動部がなく、本体側の清掃が不要な構造で、事務所の一角はもちろん、精米工場、JAのカントリーエレベーターなどでも使用されている。
また、同社は全国で納品時や機器の使い始めに導入支援を行うなど、サポート体制が充実していることも特長の一つだ。
「機械の初期設定はお客様自身でもできますが、初めて使われる時は不安もあると思います。加えて、お米は生きもの。年度や品種、地域によって粒質が違い、目視の補助として使う場合は、検査員一人ひとりに合った精度の調整も必要で。当社はそのようなところに応えるメーカーです」。そう話すのは、ケツト科学研究所の福島さん。

株式会社ケツト科学研究所の福島一貴さん。導入支援から現場に合わせた設定まで幅広く対応している
同社は、実際に機械を触って使用感を確かめる機会を大切にし、研修会場ではブースを出展。更に、デモ器の貸与も行うなど、これから機械判定を始める企業にも安心の体制といえるだろう。
「それぞれの機関での使い方に応じて全面的に協力していきたい」。そんな思いを持つ、ケツト科学研究所。穀粒判定器に興味のある方は、ぜひ一度検討してみてほしい。
[商品名]
穀粒判定器『RN-700』
[価格]
『RN-700』
63万8000円(税込)(うるち玄米用)
67万1000円(税込)(玄米うるち整粒メモリ有)
72万6000円(税込)(うるち玄米・精米用)
[問い合わせ先]
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