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豊かな自然とふれあい、新たな農業の可能性を広げるまち「雫石町」
面積608.8平方キロメートルと、東京23区とほぼ同じ広さの雫石町は、県都・盛岡市、秋田県仙北市など8市町村と隣接する人口約15,000人が暮らす自然豊かなまちです。周囲の岩手山や駒ヶ岳を中心とした雄大な山々や水田と、日本の原風景が広がる町内には、日本最大級の民間総合農場「小岩井農場」や、個性豊かな温泉宿を有する「鶯宿温泉(おうしゅくおんせん)」、県内屈指の規模を誇る「雫石スキーリゾートエリア」など、豊かな観光資源が点在しています。
気候は四季がはっきりとしている内陸性気候に属し、夏は比較的涼しく、冬は寒冷な日が続きます。首都圏からは秋田新幹線「こまち」で約2時間30分と好アクセスなことに加え、JR盛岡駅までは電車で最短17分など、交通網が発展していることも魅力の1つです。
農業に目を向けると、葛根田川、雫石川、南川の3つの河川流域に田畑が広がり、水稲を中心に野菜、花き、畜産と多彩な農畜産物が育まれています。
この恵まれた自然環境に導かれ、移住就農をしたのが三宅 博都(みやけ・ひろと)さんです。現在、株式会社みのり片子沢(かたこざわ)の専務として活躍する三宅さんが移住先に雫石町を選んだ理由や、雇用就農に至った背景から、雫石町での移住就農がもたらすメリットを探ります。
素晴らしい景色に魅了され、「地域おこし協力隊」として家族で移住
「40歳を機に、農業に本格的に取り組んでみたいと考えていた時、たまたま雫石町の移住ツアーに参加したことが移住就農をしたきっかけです。参加するまで岩手に関する知識はほとんどなかったのですが、冬の雫石町に広がる一面の銀世界にすっかり魅了され、移住を決意しました」
と、移住のきっかけを語る三宅さんは岡山県出身。電子部品メーカーの技術者として東京や米国・シリコンバレーで勤務経験がある三宅さんは、40歳を前に企業の歯車の一員として働くことに疑問を感じ、これからの人生を見直すきっかけを探していました。会社員として忙しい日々を送る中、自宅の家庭菜園で収穫の喜びを体感。本格的に農業をやってみたいと考えるようになったと言葉を続けます。
「移住ツアーで雫石町を訪れたことをきっかけに、移住を真剣に考えるようになった私は、何度か通ううちに町が農業振興支援員としての地域おこし協力隊を募集していることを知りました。農業未経験者の目線で地域農業の魅力を発信する農業振興支援員としての活動は、就農の大きな足がかりになると思い、応募を決めました」
2016年9月、地域おこし協力隊として家族4人で雫石町に移住した三宅さんファミリーは、「岩手県雫石町南畑コテージむら」という広々とした農地付きの住宅で自ら農作物の生産に取り組み始める傍ら、雫石町農業指導センターでの「町の農業振興支援に係る業務」を通じて、さまざまな作物を栽培する生産者と携わり、営農の知識を深めていきます。
そんな三宅さんにターニングポイントが訪れたのは、地域おこし協力隊就任から約1年半が経った頃です。担い手を探していた株式会社みのり片子沢の根澤社長に声をかけられたことをきっかけに、雇用就農の道を選択します。
「根澤社長と話をする中で、最も惹かれたのが土地利用型農業です。高齢化や担い手不足により、離農する農家さんの農地をお預かりし、(株)みのり片子沢が耕作するこの方法は、農業振興はもとより、地域の田園風景を守ることにつながると考えました」
雇用就農と土地利用型農業で新たな可能性を追求
一般的に新規就農には、独立就農と雇用就農の2つの選択肢があります。三宅さんが雇用就農を選んだのは、(株)みのり片子沢が手掛ける土地利用型農業に魅力を感じたことに加え、リスク回避も大きな理由の1つです。
「非農家出身かつ、移住者の私には、農業の知識はなく、農地や農業機械もありません。新規就農者には行政の補助事業や市町村の手厚い支援制度がありますが、私が興味を抱いた土地利用型農業を個人で行うには、資金面や労働力に限界があります。雇用就農は働きながら経験を積むことができ、より多くの農地を耕作できるメリットがあります。また、将来的に独立就農を目指す方にとっても、雇用就農は働きながら営農の準備を進められるため、ステップを踏む意味でも利点があると思います」
と、雇用就農の利点を分析する三宅さんは、栽培管理や収穫などの実作業に加え、スタッフの勤怠、給与計算なども担っています。
「就農をして感じたのは、農業は法人や個人に関わらず、作物を作る技術や知識だけではなく、経営に関する知識も必要ということです。農業資材が高騰する昨今、経費を抑えながら売り上げを伸ばす工夫や、マネジメントにおいてはパートさんが気持ちよく働ける環境づくりも大切な業務だからです」(三宅さん)
取材に訪れた7月下旬はお盆に向け、りんどうの収穫が最盛期を迎えようとしていました。三宅さんとパートさんたちとのやりとりからも、みのり片子沢のアットホームな雰囲気と三宅さんへの信頼の高さが伺えます。
(株)みのり片子沢との共同成長がもたらす充実した移住就農生活
三宅さんを農業に誘った(株)みのり片子沢の根澤社長は、ドローンによる農薬散布を町内でいち早く取り入れるなど、雫石町の農業を牽引する存在です。新しい技術や機械化にもアグレッシブに取り組んでおり、三宅さんはその右腕として同社を支えています。
「現在、土地利用型農業としては水稲、施設栽培では養液栽培によるミニトマト、露地栽培ではりんどうを作付けしています。加えて、冬期間は除雪作業と年間を通した収益が得られる工夫をすることで、継続的な雇用を生むことができます。当社が安定経営をできることは、雫石町の農業の発展につながることを常に意識し、今後も地域の農業を盛り上げていきたいです」
と、抱負を語る三宅さん。改めて、雫石町での移住就農をした現在の心境をお聞きしました。
「大きな組織の歯車の1つでしかなかった前職では、自分が欠けても代わりはすぐに見つかります。雫石町に移住し、地域の方々と関わりながら農業を営むことで、微力ながらも町に貢献できること、必要とされていることを実感しています。雄大な自然と共に生きる喜びを感じられる雫石町での暮らしは私にとって、豊かな人生を築くうえで欠かせないものです」
地域貢献を自身のテーマとする三宅さんは、鳥獣被害対策として狩猟免許を取得し、雫石町鳥獣被害対策実施隊の隊員としても活動。さらに、そば処でもある雫石町の手打ちそばの美味しさに感動したことをきっかけに、自ら「岩手山そば打ち愛好会」を立ち上げ、手打ちそばを町内の方々に振る舞っています。
「非農家出身かつ、移住者だからこそ、地元の方が気づいていない雫石町の魅力を見つけることができます。地域のために何ができるか、自分が興味のあること、やりたいことから始めてみてはいかがでしょう」
と、これから移住就農を検討する方にメッセージを寄せた三宅さん。柔らかな笑顔と真っ黒に日焼けした表情が、雫石町での充実した暮らしを物語っていました。
多彩な農業と温かいサポートが待つ、理想の移住就農地「雫石町」へ
水稲を中心に野菜、花き、畜産と多彩な農畜産業が営まれている雫石町は、農業を真剣に志す方にとって、まさに理想郷と言えます。雫石町では、移住就農を希望する方に向けた支援事業を行っており、農地の賃貸借支援をはじめ、支援チームによる技術面の全面サポートなどを受けることができます。
雫石町農林課の澤口 浩己(さわぐち・ひろき)さんは、雫石町の農業の特徴や、受け入れ体制について、次のように説明してくれました。
「雫石町は水稲と野菜、水稲と花きといったように、複合経営を営む生産者が多い地域です。自分にどんな作目が合っているのか、地域の暮らしを移住前に知りたいという方はぜひ一度、問い合わせいただければ幸いです。農業で生計を立て、経営の安定化を目指すには、知識や経験、そして覚悟が必要です。雫石町では行政やJA、農業法人と連携しながら、新規就農者をサポートしていく方針です」
このように、雫石町は新たな挑戦者を歓迎し、地域全体で温かくサポートする風土が根付いています。
新規就農者にとって、見知らぬ土地でのスタートは不安かもしれませんが、雫石町の四季折々の自然が農業と暮らしを支えます。
温かい地域住民や先輩農家さんと共に成長し、輝く未来を築いてみませんか?雫石町を訪れ、まずは一歩、踏み出してみてはいかがでしょう。
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