いわてで農業を始めませんか
四季折々の魅惑を楽しむ自然豊かなまち「八幡平市」
岩手県のシンボル・岩手山が市の南境にそびえる八幡平市は、中央部に西森山と前森山、北側山麓に安比高原、西部地域に十和田八幡平国立公園などの奥羽山脈の山々が南北に連なる美しいまちです。神秘的なドラゴンアイ、ゴルフやスキー、スノーボードなどのスポーツが楽しめる安比高原をはじめとした全国有数の観光地を有し、自然を満喫するアクティビティも盛んです。
四季折々の変化が楽しめる八幡平市は、春は桜が咲き誇り、比較的冷涼な夏は樹々の緑が美しく、秋は美しい紅葉が訪れる人を魅了。一面の銀世界が広がる冬はウィンタースポーツの聖地として県内外から多くの観光客が訪れます。山々に囲まれた地理的な位置から、季節ごとに楽しみが広がる八幡平市の気候は、訪れる人々に多彩な体験を提供しています。
県都・盛岡市から西方向に直線で約38kmに位置し、国道282号、東北自動車道が通じる八幡平市は、都市の機能を持ちながらも自然と共生する文化が根付いています。
そんな八幡平市でりんどう農家を営む、就農6年目の夫婦が今回の主人公。お2人のお話から就農に至った経緯や農業の魅力をひも解いてみましょう!
行政のバックアップと充実の支援制度が、夫婦二人三脚の就農を後押し
くちばし状に突き出した直径2cmほどのベル形の花弁が愛らしい「りんどう」は、岩手県の特産の花です。特に八幡平市で育てられている「安代りんどう」は、品質・生産量ともに日本一として知られています。
旧安代町(現:八幡平市)でりんどうの栽培が始まったのは昭和46年。やませ(※)の影響を受けやすく、水稲の不作が頻繁に起こることから、農家の経営安定を目的に水稲に代わる品目として栽培が始まりました。
(※)やませ:北日本の太平洋側で春から夏に吹く冷たく湿った東よりの風のこと。
「市内の至る所で栽培されているりんどうは、私たち八幡平市民にとって身近な花です。知人の生産者が“りんどう栽培は楽しいよ”と話していたこともあり、以前から興味がありました」
と、話すのは、山田 早矢香(やまだ・さやか)さんです。現在、ご主人の山田 英介(やまだ・えいすけ)さんと夫婦二人三脚で安代りんどうを栽培しています。早矢香さんのご両親は水稲を栽培する兼業農家だったとはいえ、お2人に農業経験はほぼありません。会社員だった英介さんはなぜ、花き農家の道を選んだのでしょう。
「会社勤めをしていたとき、いずれ県外への転勤が避けられない状況になりました。地元が好きな私は八幡平市で生計を立てるため、農業という新しい道を選ぶことを決意しました」(英介さん)
農業経験がゼロに等しい2人の支えになったのが、八幡平市の就農支援制度です。就農を決意したとはいえ、何もわからなかった英介さんは市に相談をし、就農に向けた研修制度があることを知ります。
「市内のりんどう生産者のもとで最長2年間、研修を受けることができると聞き、これなら農業経験がない私でもやっていけると思い、研修制度を利用することにしました。研修先では栽培や収穫など技術的な指導のほか、営農に関する知識も得られ、独立就農までの準備をしっかり整えることができました」
と、話す英介さんが利用したのは、八幡平市新規就農者等支援事業です。市内の先進的農家で年間150日以上かつ1200時間の研修を受ける場合、研修期間のうち2年を限度として基本額の12万5千円※のほか、18歳未満の扶養家族がいる場合は1人あたり月額2万円の子ども加算、さらに月額2万円を上限とする家賃補助を受けることができます。つまり、研修期間中も収入を得ながら農業を学ぶことができるため、経済的負担を軽減することができます。
※夫婦で研修を受ける場合の月額は18万7500円
2年間の研修を経た英介さんは2017年に、 早矢香さんと共に営農をスタート。現在、約95アールのほ場で美しいりんどうを愛情込めて育てています。
いわてで農業を始めませんか
りんどう農家の挑戦と成長を支える丁寧な支援とアットホームな雰囲気
取材に訪れた8月中旬、最盛期となるお盆の出荷を終え、秋のお彼岸に向けた準備が始まっていました。早朝4時半からの収穫作業は、10月まで続きます。ほ場には竜胆色(りんどういろ)と呼ばれる青みがかった薄い紫色の他、可憐なピンク色のりんどうが咲き誇っていました。
「春に1株ずつ一定数の茎数になるよう間引きをし、病気や害虫に注意しながらりんどうを育てていきます。間引き作業や収穫の際には病気の原因となるウイルス感染を防ぐため、ハサミは使用しません。風通しを良くしながら、露地を中心にして栽培するのがりんどうの特徴です」(早矢香さん)
りんどうを手で折りながら収穫をする山田夫妻は現在、年間20万本を出荷しています。しかし、これまでの道のりは決して平坦なものではなかったと英介さんは話します。
「就農当時は病気や害虫が発生したり、昨年は降雹(こうひょう)被害があったりなど、自然相手の農業はどうしてもセオリー通りにいかないことがあります。そんなとき、手厚くサポートしてくれたのが研修先の先輩農家や八幡平農業改良普及センターです。対処するための薬剤や散布時期などを丁寧に教えてくれるおかげで、安心してりんどう栽培に向き合うことができました」
この丁寧な支援こそが八幡平市に就農する魅力です。人柄の良さ、アットホームな雰囲気が、山田夫妻や新規就農者の挑戦を後押ししています。
手をかけた分だけ美しく咲く。りんどう栽培の魅力
10月いっぱいまで続く収穫作業を終えると、りんどう栽培は農閑期を迎えます。英介さんはこの時期、知人の農作業の手伝いを、早矢香さんは経理など事務作業をしながら翌年の春に向け、ほ場の準備をします。
「農業は栽培から経営まで、全て自分でやらなければならない仕事です。大変なこともありますが、手をかけた分だけ成果として返ってくることにやりがいを感じます。無事に収穫を迎え、出荷をしたときの達成感は、それまでの苦労を吹き飛ばすほどの嬉しさがあります」
と、農業の魅力を語る早矢香さんが愛おしそうに見つめる青色のりんどうの花言葉は「勝利」、「正義」(諸説あり)。空に向かい、真っ直ぐに咲く花姿は、真摯にりんどう栽培に向き合う山田夫妻のようです。
「目標は年間30万本の出荷です。栽培技術を高めると同時に、徐々に規模を拡大していきたいと考えています。生産者と行政で連携を図りながら、市の特産品である“安代りんどう”を盛り上げていきたいです」
と、抱負を語る英介さん。仲睦まじく農業を営む山田夫妻の笑顔は、りんどうのように美しく、輝いていました。
八幡平市の農業は、あなたの可能性を広げる未来への扉。まずは農業体験に参加してみよう!
水稲を中心に、りんどう、トマト、ほうれんそう、キュウリ、ピーマン、畜産と、多彩な農畜産物が育まれている八幡平市は、農業に適した地域です。農業を始めたいけれど、自分にはどの品目が合っているのか知りたいという方も多いことでしょう。
ご安心ください。八幡平市では農業体験を通して、自分に合った作物を選ぶことができます。本格的な研修を始める前に農業体験もできるため、気軽に農業に触れることができるのも魅力です。
「農業体験では、さまざまな作物に触れることで農業の楽しさや厳しさを体験すると共に、自分に合った作物を見極めることができます。交通費の一部を補助する制度もあるので、まずは気軽に問い合わせをしていただければ幸いです」
と、話すのは八幡平市農林課経営支援係の笹森 孝哉(ささもり・こうや)さん。八幡平市では受け入れ先農家のマッチングの他、ほ場探しの支援など、就農準備から本格的な経営開始まで、関係機関と連携しながらさまざまなサポートをしています。
「移住者が見知らぬ土地で農業をするには、地域に溶け込めるかなど不安もあることでしょう。八幡平市の農家はみなさん親切で良い意味で“世話好き”な温かな人たちばかりです。農業へのチャレンジを、地域一丸となって支援します」(笹森さん)
地域の農家と行政が温かくサポートする八幡平市は、農業経験がゼロでも専門家のアドバイスや研修を通じて知識と技術を学ぶことができ、自分の手で作物を育てる喜びを感じ、農業を始めることができます。
八幡平市で農業を始めることは、自然との共生を感じながら成長と挑戦の道を歩む素晴らしい冒険です。自分の手で育てた作物の喜びや、地域と共に歩む成長の喜びを味わいながら、新たな未来を切り拓いてみませんか?
インタビュー動画公開中!
いわてで農業を始めませんか
■お問い合わせ■
盛岡地方農業農村振興協議会(八幡平農業改良普及センター)
〒028-7112 岩手県八幡平市田頭39-72-2
TEL: 0195-75-2233
FAX:0195-75-2269
E-mail:CE0036@pref.iwate.jp