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新規就農者の生活を空き家で応援! 農業人口減少・空き家増加を打破する対策があった

新規就農者の生活を空き家で応援! 農業人口減少・空き家増加を打破する対策があった

古くから豊富な農林産物にあふれ、一級河川菊池川が南部に流れる熊本県山鹿市。豊かな自然に囲まれたこの地で、就農者を増やす試みが行われています。裏庭の家庭菜園が付いた5DKの戸建ての家賃はなんと2万円。入居者の方は2024年春から新規就農者になる予定とのことで、金銭的にも安心して農作業に取り組めます。人口減少に伴い「農業の担い手不足」「空き家の増加」問題が深刻化する昨今。
今回は、田舎暮らしのトレンドから、ユニークな社会問題の解決方法に迫ります。

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農業を本業として営む人は2000年からの20年間で半減

出典:農林水産省「食料・農業・農村をめぐる情勢の変化 (人口減少下における担い手の確保)」

新規就農者の人数は、毎年5万人程度増えているものの、その伸びは毎年少しずつ鈍化。新規就農者の数とは裏腹に離農者の増加が著しく、本業として農業を営む人は、2000年からの20年間で半減しています。農林水産省は「農地の集約化」「農作業のスマート化」などの対策を講じてはいますが、それでも基幹的農業従事者の数は減り続けるいっぽうです。

空き家数は毎年確実に増えている

出典:総務省統計局「明日への統計2023 平成30年住宅・土地統計調査」

空き家の数は1950年代から増加の一途をたどっており、住宅・土地統計調査でも毎年増え続けていることが分かります。
空き家所有者向けのアンケート調査によると、空き家の管理における心配事が「住宅の腐朽・破損の進行」だと答えた人は全体の50%超。リスクを未然に防ぐためにも、空き家の管理対策は各地域で「重要性の周知」「解決策の実行」が求められています。

新規就農者に空き家を安く貸し出すことで生活の不安を解消

新規就農者に空き家を使用してもらうアイデアは、農業人口の減少問題と、空き家の増加問題を解決する手助けになるかもしれません。新規就農者が離農してしまう理由の一つに、お金や生活の不安があります。新規就農者の約6割が農業だけでは生計が立てられない状況にあるという調査もあるのです。空き家に破格の安さで住んでもらうことで、就農者を呼び込む試みは、新規就農者の心理的な弊害を取り除くだけでなく、キャッシュフロー面の支えにもなることでしょう。
山鹿市では、地域生活課主導で移住者のための施策が複数用意されています。移住希望者と空き家を繋ぐ「空き家バンク」。移住希望者向けに先輩移住者が主催する「移住イベント」などもその一環です。

山鹿市の「空き家バンク」に関するX(旧Twitter)の投稿

空き家の改修費や家財処分、引っ越しにかかる費用が一部補助金として受け取れるのも、移住希望者にとっては移住を決断する決め手になります。                                   若者の田舎暮らしへの興味は高まっています。地域へ移住してもらい農業の新たな担い手を増やすには、空き家を活用して地域住民との交流を深めるなどの試みが必要です。地域と若者をつなげるプロジェクトが、就農者増加の起因になるだけではなく、地方創生にも役立てられる日もそう遠くなさそうです。

 

<参考>
農林水産省「令和3年新規就農者調査結果」
農林水産省「食料・農業・農村をめぐる情勢の変化 (人口減少下における担い手の確保)」
総務省統計局「明日への統計2023 平成30年住宅・土地統計調査の結果より」
国土交通省「令和元年空き家所有者実態調査」
全国農業会議所「新規就農者の就農実態に関する調査結果(令和3年度)」

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