次世代を担うリーダー30名が参加
「アグリビジネス次世代トップリーダー養成講座 農業法人におけるリーダーシップを磨くつどい」は、同講座の現役生はもちろん、卒業生も参加。51人の参加者のうち、30人は農業者。次世代のトップリーダーを目指す参加者たちが、卒業生による話題提供やゲストスピーカーによるトークセッションなどから、リーダーシップを磨きました。
ゲストスピーカーは、農林水産省農産局地域作物課長の石田大喜(いしだ・ひろき)さん、SBテクノロジー株式会社執行役員CMO兼リデン株式会社代表取締役の上原郁磨(うえはら・いくま)さん、株式会社マイナビ地域活性CSV事業部事業部長の横山拓哉(よこやま・たくや)の3人。モデレーターは株式会社宮城フラワーパートナーズ代表取締役の今野高(こんの・たかし)さんです。
セミナーは、主催者である、みやぎ産業振興機構の小林徳光(こばやし・のりみつ)副理事長の挨拶からスタート。「今回のセミナーに参加をした1人1人が、改めてリーダーシップについて考えるような集いになってほしい」と期待を込めました。
続いて、モデレーターの今野さんからはセミナーのゴールが共有されました。「皆さんの今日のゴールは“気付き”を得ること。今やっていること、これから目指すことへの壁を乗り越えるための何かに気付いてほしい」という今野さんのメッセージに参加者は耳を傾けました。
リアルな体験談に共感
次に卒業生からの話題提供です。卒業生を代表し、株式会社イグナルファームいちご部門農場長の伊藤渓士(いとう・けいし)さんが壇上に立ちました。
伊藤さんは自身の経営で、従業員が辞めないためには職場の環境や自分自身を整えることも重要と感じたことを、イチゴの病気の3つ原因「主因(病原菌)・素因(植物の免疫力低下)・誘因(栽培環境の悪化)」になぞらえて発表。リアルな体験談と対策には、「考えていることが丸っと同じで、目標・進捗・日々のルーティンの意味の共有を真似しようと思いました!」(男性30代・農業法人リーダー・就職10年)という感想もあがりました。
組織を導くときに大切な従業員の“腹落ち”
話題提供の後は、ゲストスピーカーが各自の農業との縁、現在の取り組みなどを語りました。石田さんからは現在、農林水産省で行っているサトウキビの取り組みについてなど。上原さんは37歳で大学院に通い直した自身の経験や、現在、会社で提供する農作業記録アプリ「agmiru」 などを紹介。横山からはマイナビ農業の紹介などを行いました。
その後、プログラムはトークセッションに。今野さんの「リーダーとはポジションであり、リーダーシップとは能力。そしてリーダーシップでは、ゴールを示す・導く・進める過程で決めていく・責任を持つ・仲間を増やす、という5つをすべき」というリーダーシップ像の提示を皮切りに、ゲストスピーカーたちによるトークセッションが繰り広げられました。
トークセッションでは「従業員が腹落ちしていない状態で事業を進めるとうまくいかない」というテーマに一同がうなずき、会社の方針や目標などを、本音で語り、従業員に納得してもらうことの重要性が語られました。
参加者からも「相手を本気にさせるには、自分の本気の姿勢を見せないといけないのだと思いました」(女性40代・農業法人リーダー・就職5年)、「普段の会話量を多くすることや、方針を伝える際は建前ではなく本音で話すことを忘れないようにしたいと思います」(男性40代・農業法人・就職1年目)と、腹落ちのさせ方へヒントがあったという感想が集まりました。
活気あふれるセミナーは3時間にもわたりましたが、それでも時間が短かったと参加者が感じ、その後の交流会でも“気づき”に溢れた時間となりました。
多くの“気付き”が生まれたセミナー
ある参加者は「リーダーの悩みは皆、似ていると気づいた」(男性20代・家族経営・就職4年目)と話しました。受講生や卒業生、またゲストスピーカーも、リーダーとして似た悩みを共有する同志だったのかもしれません。
セミナーのゴールとされた「“気付き”を得ること」は、セミナー内容はもちろん、参加者のコミュニケーションからも生まれたことでしょう。それぞれの分野で一層のリーダーシップを発揮していくことが期待されます。