おいしいリンゴの選び方
おすすめの品種を紹介する前に、まずはおいしいリンゴの選び方を解説します。
ツルや皮のハリを確認する

まずは、「ツルが太くてピンと張っているか」どうかがチェックポイントです。
ツルは、リンゴと枝をつなぐ部分。葉で作られた養分がツルから供給されることで、リンゴは育っていきます。つまり、ツルが太くてしっかりしているということは、栄養をたくさん受け取り、おいしく育っている証拠。太いツルがピンと張っている、新鮮なものを選びましょう。
また、鮮度を確かめるために、皮の色やハリがあるかどうかもチェックしましょう。赤い品種ではなるべく色鮮やかなもの、黄色の品種では緑が濃すぎないものを選ぶのがおすすめです。
お尻の色を確認する
リンゴは熟すにつれて、お尻(ツルのついていない側)の色が緑から黄色へと変わっていきます。リンゴをひっくり返して、お尻の色を確認しましょう。
お尻の色がクリーム色のものが1番いい状態です。緑色が濃いと未熟の可能性が、黄色が濃すぎても過熟で柔らかい可能性があります(皮が赤い品種では、お尻部分まで赤く着色する場合もあります)。
重さを確認する
手に持って、リンゴの重さを確認しましょう。サイズの割に重いものは、果汁が豊富に含まれていて適度な硬さがあり、食感もいいです。同じぐらいのサイズのリンゴをいくつか持ってみて、ズッシリと重みがあるものを選ぶといいでしょう。
品種にもよりますが、リンゴはあまり大きくなく、中玉ぐらいのもののほうが味はいいとされています。いくつか同じぐらいのサイズのものを持ってみて、ズッシリと重みがあるものを選びましょう。
スーパーで買えるおすすめのリンゴ10選
さあ、ここから本題です。比較的スーパーでもよく見かけるリンゴの中から、花マル農園がおすすめする10種類を選びました。
品ぞろえはお店によってさまざまなので、中には近所のお店では見かけない品種もあるかもしれません。
たとえばスーパー大手のオオゼキは変わった品種を仕入れていることが多く、店舗によっても品ぞろえが大きく違うのでおもしろいです。イオン系列のスーパーは、新品種をたくさん置いていることが多いですね。ロピアやオーケーストア、ヤオコーあたりは生鮮食品に力を入れているので、リンゴの種類も豊富です。
さまざまなスーパーをのぞいてみると、思わぬ出会いがあるかもしれませんね。
ふじ

1939年に誕生したリンゴ。日本だけでなく、世界で一番栽培されているリンゴです。甘みが強く、ほのかに酸味もあって、リンゴといわれるとこの味を想像する方も多いでしょう。
甘い香りは親のデリシャス譲り。肉質はやや粗いですが、硬めの食感も魅力です。かんだ瞬間にジューシーな果汁とともに、芳醇(ほうじゅん)な甘みと風味が口いっぱいに広がります。
「ふじ」は蜜が入るリンゴとしても有名ですが、温暖化の影響で年々蜜が入りにくくなっています。蜜の正体はソルビトールという糖の一種で、甘味の感じやすさは砂糖の6割ほど。そのため、蜜の有無はさほど甘味には関係ありません。
しかし、蜜にはソルビトール以外にもエチルエステル類という香り成分が多く含まれるため、食べた時に口の中に香りが広がり、風味を強調させる役割があります。これが蜜入りリンゴがおいしく感じる理由です。
10月から翌年の8月ごろまで長期間出回りますが、12月ごろに出回るものは「サンふじ」と呼ばれ、袋をかけずに完熟に近い状態で収穫されたもの。味も濃く、蜜も入りやすい特徴があります。ぜひ味わいを比べてみてください。
また、突然変異によって収穫時期が早くなった「昂林」など、いわゆる「早生ふじ」と呼ばれる系統もありますが、味は通常の「ふじ」より果肉が柔らかく、さっぱりした味わいです。
王林


青森県のご当地アイドルの名前の由来にもなった王林ですが、実は福島県生まれのリンゴです。1943年に初めて実がなり、1952年に命名されました。すでに70年以上の歴史があります。
皮にはヒビ状のサビが目立ちますが、味の良さや日持ち性、栽培性にも優れることから、親のゴールデンデリシャスに置き換わる形で普及しました。現在、日本ではふじ、つがるに次いで栽培の多い品種です。
酸味は少なく、甘みを強く感じやすいのが特徴。果肉はやや緻密で、硬すぎず、柔らかすぎもしない適度な食感です。果汁は多く、熟してくると非常に強い特有の甘い香りが出ます。
冷蔵状態だと非常に日持ちがいいのですが、常温で保存すると果肉が柔らかくなりやすいため、一般的には「果肉の柔らかいリンゴ」と思われてしまっています。
ジョナゴールド

アメリカのニューヨーク州試験場で誕生した品種です。1968年に命名され、1970年に秋田県果樹試験場によって日本に導入されました。
優良な中生種(なかてしゅ)として急速に普及し、保存技術の進歩にともなって、長期保存されたものが夏頃まで流通しています。しかし、酸味があることや栽培性の悪さから、徐々に数を減らしつつあります。
酸味はありますが、しっかりした甘みもあり、とってもジューシー。爽やかな風味があり、味のバランスが非常にいいリンゴといえるでしょう。果肉が軟らかいものも多いですが、収穫直後のものは、かむとパキッと音が鳴るほど歯切れがいい品種です。
長期間流通する品種ですが、10月から11月の旬の時期にぜひ食べてみてもらいたいリンゴです。
トキ

1985年に青森県五所川原市の土岐氏が王林と紅月を交配し、誕生したといわれている品種です。その後の遺伝子解析により、片親は紅月ではなく、ふじであることが明らかになりました。名前からはつい鳥のトキをイメージしてしまいますが、品種名の由来は育成者の名字です。
親のふじや王林と同等の濃厚な甘さがあり、酸味はごくわずか。肉質は引き締まっていて、適度な硬さがあります。果汁も多く、ふじと同じくらいのジューシーさです。
また、日持ちに優れていて、柔らかくなりにくい印象です。一般的には赤いリンゴが好まれる傾向にありますが、9月から10月に食べるなら、この品種をおすすめします。
味や食感がいいため、急速に栽培規模が増えています。また、黄色い見た目から中秋節の贈答需要に合わせて、台湾などの国外にも多く輸出されています。
しかし、9月上旬から中旬にかけては未熟な果実が流通することも多いため、9月下旬以降の、皮が黄色くて香りが強いものを選ぶといいでしょう。
つがる

1930年に青森県りんご試験場で誕生した品種です。初結実は1941年ですが、着色が悪く、当時は品種化されなかったそう。
しかし、食味が非常に優れていたため、1973年に品種化され、つがると命名されました。その後は早生(わせ)の優良品種として急速に普及しましたが、現在は温暖化の影響で果肉が柔らかくなりやすいため、徐々に栽培されなくなってきています。
酸味はほとんどなく、強い甘みが口の中にじんわりと広がります。甘い香りと風味はりんごの中でもトップクラス。肉質は緻密で、空気が入ったような軽い食感が特徴的です。
本来は歯切れのいいリンゴですが、軟化しやすいため、店頭ではすでに柔らかくなってしまっているものが多いのが欠点。購入時は何個か持ってみて、重いものを選ぶといいでしょう。購入後は冷蔵庫で保存してください。
シナノゴールド

長野県が開発し、1999年に品種登録された黄色いリンゴです。食感は硬めですが、果汁が多く、かむ度に果汁の持つ甘みと風味がともに広がります。
親のゴールデンデリシャスからは甘酸っぱい風味と深い甘みを、千秋からは適度な酸味とパリッとした食感を受け継いだ優等生。酸味はやや強いですが、深い甘みもあり、バランスが取れた味わいです。
食味だけでなく日持ちも優れていて、冷蔵保存されたものが秋口から翌年初夏まで長期にわたって流通しています。黄色いリンゴの代表格として、全国の産地で栽培が増えているほか、海外でも「yello」の商標で販売されており、国内外ともに評判のいい優良品種といえるでしょう。
シナノスイート

1978年に長野県果樹試験場がふじとつがるを交配し、誕生した品種です。1984年に初結実し、1996年に品種登録されました。
当時、試験場では「甘いだけのリンゴ」という意見もあったなか、一緒に調査をしていた学生の「こういう甘いリンゴがあってもいい」とのひと声で品種化されたそう。
酸味はほとんどなく、ふじよりも甘みを感じやすいリンゴです。サクッとした軽くて歯切れのいい食感はつがるに似ています。果汁も非常に多く、甘い風味や香りもつがる譲り。
果肉はそこまで硬い品種ではありませんが、日持ちがするためサクサクとした食感が長期間楽しめます。10月から11月上旬に出回るリンゴの中では一番おすすめです。
果実が成熟するにつれて、皮の表面にワックス状のロウ物質が分泌される「油上がり」が生じやすい品種です。油上がりが生じたものを食べても問題ないので、気にせず購入してみてください。
秋映(あきばえ)

長野県中野市の小田切氏が千秋とつがるを交配し、1993年に品種登録したリンゴです。
一番の特徴は、黒に近い紅色の果皮。現在主流のリンゴの中で、皮色が最も濃いといっても過言ではありません。長野県ではその色味を生かし、シナノスイート、シナノゴールドと合わせて「りんご三兄弟®︎」としてPRしています。
最近の品種としてはやや酸味が強めで、甘みと酸味のバランスがいいリンゴです。食感はやや粗く、10月に旬を迎えるリンゴの中では歯応えがある品種です。
果肉は硬めですが、かんでいるうちに果汁があふれてきます。風味も良好で、硬くて甘酸っぱいリンゴが好きな方におすすめです。
ぐんま名月

1971年に群馬県農業総合試験場北部分場がふじとあかぎを交配して誕生した品種で、1991年に品種登録されました。
熟すと果実は黄色になりますが、日が当たった場所は赤みを帯びるため、皮の色がグラデーションになるのが特徴。現在では群馬県以外でも多く栽培されていて他県ではぐんまを取った「名月」や、北海道では「ななみつき」というブランド名で販売されていることも。
交配親のふじと比べても甘みは強く、酸味はやや少なめ。甘みが非常に濃く、キレのいい味わいです。肉質はふじより少し柔らかいですが、果汁感はより強く感じます。
風味や香りは親のふじによく似ていますが、より香り高いリンゴです。蜜も入りやすく、旬の11月半ばから12月にかけては蜜入りのものが多数流通しています。
最近ではテレビで取り上げられる機会も増え、ますます人気が出てきましたが、少し早めに収穫したものも増えてきました。皮の緑色が濃い場合は熟し切っていない場合も多いので、なるべく黄色が濃いものを買いましょう。
紅いわて

岩手県農業研究センターがつがるとプリシラを交配して育成した品種です。
正式名称は「岩手7号」で、紅いわては流通時に使われる登録商標。見た目はかなり濃い紅色をしています。
酸味は少なく、優しくじんわり広がる優しい甘さが印象的です。風味も非常に強く、ふわっと鼻に抜ける甘い香りがあります。食感はシャキシャキと硬く、ジューシーです。
他の品種と比較するとやや値段は張りますが、味や品質も安定している印象です。日持ちもすることから9月から10月中旬にかけて出回る赤いりんごでは一番おすすめです。
ちょっと珍しいリンゴ3品種
ここからは、まだ流通量はそれほど多くないけれど、今後に期待できるリンゴ品種について見ていきましょう。高級青果店では徐々に見かけることも増えてきた品種なので、もしスーパーで見かけたらぜひ買ってみてください!
はるか

岩手大学農学部にてゴールデンデリシャスとスターキンデリシャスを交配して育成されたリンゴで、2002年に品種登録されました。主に岩手県で栽培されています。
甘みが非常に強いリンゴですが、くどさはなく上品な味わい。果汁は「ふじ」などと比較するとやや少ないですが、どことなくシナモンを思わせるような、独特の甘い風味と香りがあり、食味は最高です。
食感はやや緻密で、果汁も多く、ジューシーなリンゴです。蜜も入りやすく、蜜入りで糖度15度以上のものは「冬恋(ふゆこい)」、蜜入りで糖度16度以上のものは「プレミアム冬恋」というブランド名で販売されています。
柔らかくなりにくい品種で日持ちしますが、本来の味を楽しむためには12月中に食べ切って欲しいリンゴです。
奥州ロマン

岩手県奥州市の高野卓郎氏がシナノゴールドにつがるを交配して育成した品種で、2016年に品種登録されています。正式な品種名は「高野 5号」で、奥州ロマンは商標名ですが、一般的にはこの名前で流通します。
非常に硬く、リンゴとは思えないほどの濃厚な甘みを持つのが特徴。酸味はほぼありません。風味や香りもよく、「リンゴの概念が変わった」という人もいるほど品質の高いリンゴです。
主な産地は岩手県で、10月に収穫されます。収穫後にそのまま流通するものもありますが、冷蔵で貯蔵されたものは「恋桜」というブランド名で、翌年の3月頃から出回ります。
恋桜は等級によって三つのランクに分けられ、上から順に「満開の恋」、「叶わぬ恋」、「傷ついた恋」という独自の名称を採用しています。
ムーンルージュ

長野県の吉家氏が、いろどりという果肉が赤い品種にふじを交配して育成した品種。ルージュという名前の通り、果肉が赤いのが特徴です。
甘味と酸味があり、甘酸っぱい特徴的な味。食感はふじに似ていて、しっかりとした硬さとジューシーさがあります。
吉家氏はこのムーンルージュ以外にも赤い果肉の品種を育成していますが、この品種が一番酸味が少なく、食べやすいと思います。
すべての個体で果肉が赤くなるとは限らないのが欠点で、気温が高いと果肉が赤くならないことがあります。皮の赤みが強いと果肉も赤く色付いている傾向にあるので、色味を確認して購入するのがいいでしょう。
まとめ
近所のスーパーなどで比較的気軽に買えるリンゴ。よく見かける品種から、まだ珍しい最新品種までを紹介してきました。本記事を参考に、農産物直売所や地元のスーパーなどをのぞいて、珍しいリンゴを探してみてくださいね!
執筆協力:はたんきょー(花マル農園)




















読者の声
「読者の声」機能を実装しました!
ログインをすると記事に関するコメントを投稿できます。
記事の感想など投稿していただけると励みになります!