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相次ぐ農作物の盗難、効果的な防止方法とは? 犯罪抑止にもつながるシステム導入

相次ぐ農作物の盗難、効果的な防止方法とは? 犯罪抑止にもつながるシステム導入

札幌市豊平区の環状通りに植えられ、収穫体験などで地域の住民に親しまれている「リンゴ並木」では、2023年9月26日に約400個のリンゴの盗難が発生。2022年は約1000個ものリンゴが盗まれたこともあり、札幌市は今年初めて被害届を提出しました。こうした農作物の盗難事件は全国各地で起きており、被害の件数も増えています。例えば農業産出額全国3位の茨城県では1月〜7月末までに発生した被害件数が前年対比1.3倍、被害金額も2.3倍になったという報道も。生産者は盗難を防ぐためにどういった対策を取ればいいのでしょうか。

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農作物の盗難は生産者にとって深刻な問題

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全国で発生する農作物の盗難被害。農林水産省の調査(※)によると、多様な品目で被害が発生しており、モモやブドウといった果樹のほか、ハクサイやキャベツといった野菜もほ場から盗まれています。

被害金額は把握できた事案のうち9割が50万円未満ですが、中には100万円を超える被害もあります。

「収穫時期と盗難の時期が重なることは多く、警察に被害届を出す時間もなかったという生産者の声はこちらにも届いている」と農林水産省の担当者。被害額が少額だと被害届を出しに行くこと自体が手間で、泣き寝入りしている生産者も多いようです。そのため、実際にはもっと多くの盗難が起こっている可能性もあります。

被害は金銭的なものだけではありません。「心を込めて育てた農産物が盗難にあってしまうことは、少額といえどもつらい」と語るのは被害にあったことのある千葉の生産者。

農作物の盗難は生産者の意欲を低下させ、最悪の場合には離農につながるおそれも。下がり続ける日本の食料自給率のさらなる低下を引き起こしかねないともいえるでしょう。

※ 出典:農林水産省「農作物の盗難の実態と対応策

システム導入で盗難防止に効果

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そんな中、有効な盗難対策の試みを始めたJAがあります。

JA南アルプス市管内では、名産のモモやブドウなどの盗難が相次いでいたことから、2023年5月に果樹農園の新しい盗難抑止システムを導入。有償で組合員に貸し出しを開始しました。

新システムは、本体、通信子機、さらにその孫機にあたるセンサーの3台を組み合わせ、果樹園全体で侵入者を感知できるのが特徴。センサーが人の熱に反応すると赤いランプが点滅するとともに、約90デシベルを発する大音量の警告音が鳴る仕組み。さらに、生産者へ侵入を知らせるメールがリアルタイムで自動的に送信されます。

実は、JA南アルプス市では2018年から同様の盗難抑止システムの貸し出しを行っていましたが、旧システムではセンサーを1台しか使用していなかったため、誤作動もあったとのこと。一方、新システムでは守備範囲も感度も格段に上昇しました。

JA南アルプス市の担当者によると「リアルタイムで盗難被害が分かる最新システムによって、今年は犯人を即座に逮捕できるほど効果がありました。昨年と比べると、盗難被害は確実に減少しています。効果的なシステムなので、まだ盗難被害がない方も、事前に導入するのがおすすめ。ただし、新システムは高価なので、当組合のように組織単位で使用するのがよいでしょう」とのこと。

実際、機器を設置したところは盗難被害がなかったとのこと。抑止力の面でも効果が高いといえそうです。

盗難防止、すぐにできる対策は

農林水産省によると、具体的な盗難対策は主に次に挙げたものが有効なようです。。

・収穫物は持ち帰る
・保管庫は施錠する
・収穫用の道具は鍵付きの倉庫などに片付ける
・ネットや柵を設置する
・防犯カメラなどを設置する
・地域の生産者や警察と協力してパトロールを強化する

対策にはお金がかかる場合も多いでしょう。対策の費用が高額になる場合は、地域のJAや自治体などに補助金が活用できないか相談してみてはどうでしょうか。。

盗難が起こる前に対策をし、大事な農作物を守りましょう。

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