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北海道⇔九州で労働力を補い合いながら、有能な「個の人材」を育てる

北海道⇔九州で労働力を補い合いながら、有能な「個の人材」を育てる

日本全国、多くの農家、農業法人が抱えている共通の悩みが「労働力不足問題」。家族や小規模での経営体が、高齢化や後継者がいないことにより離農を余儀なくされるケースが増えています。その農地を近隣で引き受けることにより1経営体あたりの農地面積は拡大の一途。人が増えないのに仕事は増えることになり、労働力不足はより深刻度を増しています。その対策の一つとして注目されているのが、労働力を補い合うための産地間の連携です。実際に取り組みつつ、人材育成を行っている北海道の取組を紹介します。

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1戸あたりの農地拡大に抱いていた、「需要に応えられない」という危機感

日本屈指の農業王国、北海道十勝地方の豊頃町に本社を置いているのが株式会社北海道グリーンパートナーです。「2015年の設立以来、委託された畑の契約栽培を主に行ってきました。夏場の大根生産が主力です。2017年には農地所有適格法人、株式会社北海道ベジオスを子会社として設立しました。大根の他、南瓜やブロッコリーも栽培しています。」と話すのは代表取締役の高田清俊さんです。

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広大な自社圃場で大根を生産しています

いま北海道では、1戸あたりの農地面積が増加傾向にあります。この状況に「早くから危機感を覚えていた」と高田さん。「耕地面積が増えると機械化を進めざるを得ませんが、大根を始めとする園芸作物の機械化には限界があり、どうしても人間の労働力が必要になります。しかし地域で農業に携われる絶対人数が足りないのでどうしようもない。当然、機械化で対応可能な小麦、豆類、ビート、馬鈴薯といったいわゆる畑作4品への移行がどんどん進むため、園芸作目の作付は減る一方です。」

鹿児島の農業法人との連携に活路を見出す

四季のある日本では、一つのエリアで年中栽培を行えない作物があるのは当然のこと。「大根、ブロッコリーなどは暑さに弱いため、猛暑に見舞われる地域では夏場に栽培できません。その期間を冷涼な北海道で対応するわけですが、作る農家が減れば求められる量を供給できなくなる可能性が高まるのです。」と高田代表は話します。

「これではいけない。」と考えた同社は、対策としてまず日本人の派遣会社を利用しました。しかし、派遣される方は未経験者も多く、メンバーも都度異なるため、単純な作業以上のものは依頼できず、戦力となる労働力を安定して確保する観点からは物足りないと感じたそうです。
次に考えたのが海外からの特定技能外国人を受け入れることです。しかし「在留期間というものがありますからね。仕事を習得してもらうのに加えて言葉の壁も。慣れた頃には帰国というジレンマがありました。」

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北海道グリーンパートナー代表の高田清俊さん

更に、季節によって農作業量が大きく変わり、報酬が安定しないことも問題だったそうです。「極端に言えば、農繁期は100人必要。しかしそれ以外は10人で事が足りる仕事量。それが現実だったのです。雇用する私たちも、働きに来てくれた方もこれではハッピーにはなれません。」

そんな中、同様の悩みを持っていた鹿児島県の大崎農園より、『お互い大根を生産しているので人的交流をしたい。』と連絡を受けたのがきっかけで始まったのが、労働力の産地間連携の取組です。
十勝の仕事のピークは7~10月のおよそ4か月。仕事が多い時期にお互いの職場で活躍している社員や特定技能外国人のスタッフを行き来させることで、雇用側は労働力を確保でき、働く側の安定収入にもつながります。

「国が行っている『農業労働力産地間連携推進事業』を活用しました。おかげで移動に掛かる費用をまかなうことができました。何せ北海道と九州ですから、飛行機料金の負担も大きいのですよ(笑)。こういった施策が拡充、継続されるとありがたいと思っています。」

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鹿児島の大崎農園との連携スキーム

個々の能力や思いを把握して「また働きたい」と言われる職場に

本当の意味での労働力の継続的な確保は、人数合わせではいけないとも高田代表は語ります。「働く側も私たちをしっかり見ているのです。仕事の場で接していれば何を考えているかわかるものですよね。大勢の中の『1人』ではなく『●●さん』という個をちゃんと見ることが必要。頑張っている、仕事ができる人には特定技能外国人スタッフの中でリーダー役を担ってもらい、対価となる手当をもちろん支給しています。」

日本人が転職するように、特定技能外国人が滞在期間の中で職場、職種を変えるケースも珍しくないそうです。「報酬はもちろん大切ですが、『ここでまた働きたい』と思ってもらうために信頼関係を築くことが何より重要だと私は考えています。そうすることで、地域間移動をしてもまた翌年、戻ってきてくれるものなのです。雇う側も見て育てる努力と注ぐ愛情を欠かしてはいけませんね。」

複数産地との連携で、働き手により安定した報酬を与えられるように

北海道グリーンパートナーとして出来ることはまだあると高田代表は考えています。「現在行っている鹿児島との人材交流を、近隣で繁忙期が似ている宮崎県や熊本県の法人さんとも行えないか話しています。こういった連携が盛んになってくれると嬉しいですね。」

さらに農繁期が変動する可能性を踏まえて、仕事ができない期間をなるべく発生させないよう、福井県内で契約栽培ができないか交渉を進めているといいます。「労働力不足は北海道や九州だけの話ではありませんからね。そこでは特定技能2号の外国人の方に活躍してもらいたいと考えています。」

地域の枠を越えて、互いが育成した有能な「個」を必要な時期に補い合う産地間連携。労働力不足に悩んでいるなら、可能性の一つとして検討してはいかがでしょうか。

【取材協力】
株式会社北海道グリーンパートナー

【農業労働力産地間連携等推進事業に関するお問い合わせ】
株式会社マイファーム
農業労働力確保支援事務局

MAIL:roudouryoku@myfarm.co.jp
TEL:050-3333-9769

そのほかの取組をチェックする
農業労働力産地間連携等推進事業 産地事例ポータルサイト
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