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韓国農業の最新事情 日本農業との違いとは?

韓国農業の最新事情 日本農業との違いとは?

日本と韓国はとても近くにあり、多くの観光客が行き来していますが、お互いの農業についてあまり知られていないこともあります。ここ20年で韓国の農業生産額は2003年の32兆ウォンから2022年には58兆ウォンに増え、82%も上昇しました。特にコメを除く野菜や果樹、畜産分野での持続的な成長が見られます。本記事では、マイナビ農業を運営する地域活性CSV事業部の金保庚(キムボキョン)が、韓国農林畜産食品部大臣への取材をもとに最新の韓国農業事情をご紹介します。

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生産売上高は約13倍!一方で農家の数は……

著しい成長をみせる韓国農業ですが、農業法人などの大規模化された経営体が農業の中心として成長している一方で、高齢化が進み農家の数自体は減少しています。作物栽培や家畜飼育の農業法人は大きく増加し、農業法人の農業生産売上高は2003年の0.9兆ウォンから2022年には11.6兆ウォンにまでなり、実に13倍も 増加しました。しかし、20年間で農家の数は24%減少し、経営主の70歳以上の割合も大きく増加しています。

慶北スマートファームイノベーションバレーの写真 (ミニトマト栽培)

平均農家収入 は2003年の2687万ウォンから2022年には4615万ウォンに上昇しましたが、これは農業収入が増えたわけではなく、農外収入と移転収入の大幅な増加によるものです。2022年の農業収入は、主要な農畜産物の価格の下落や原材料価格の急騰により下落しています。

将来に向けた韓国の農業戦略

韓国は日本と同じく食料自給率が低い国ですが、食料自給率向上のために、粉質米・小麦・大豆などの戦略作物を中心に注力しています。2022年度の穀物年度食料自給率は前年比4.9ポイント上昇の49.3%、穀物自給率は22.3%で、前年の20.9%から1.4ポイント上昇しました。 穀物需要の最大の比重を占めるコメの自給率は84.5%から104.8%に大幅に上昇しています。

農業の将来に向けては、若年農業人3万人の育成を目指して総合対策を策定しています。「初期収入、農地、資金、住宅」など、若者の安定的な定着と成長に必要なカスタマイズされた政策を実施しています。農地の賃貸・売買支援事業を若者に優先的に支援し、事業予算と支援規模を前年比で大幅に拡大しています。

初期収入不安を緩和するため、最長3年間、月額最大110万ウォンの定着支援金を支給しており、支給対象者も4千人から5千人に拡大しました(’23年:4千人 → ’24年:5千人)。

また、農家の労働力不足に対しては、外国人労働力と国内労働力の供給を継続的に拡大しています。農業分野の外国人労働力の割り当て人数を拡大し、制度改善も行っています。韓国農業の未来については、デジタル技術やICT、AIを活用してスマート農業を推進し、農業を高収入・先端産業へと変革していく方針です。これと並行して、若い世代が農業に挑戦できるように支援を強化し、農業をより魅力的な産業にしていく計画です。

金堤スマートファームイノベーションバレーでのキュウリ栽培の写真

ウクライナ戦争などによる影響で国際穀物価格が急騰したことで、食糧安全保障に対する懸念が増大しました。しかし、国際穀物価格は2022年下半期から徐々に下降し、最近では平年水準に回復しています。韓国政府は、戦争などの外部ショック時でも主要食糧の中長期的な供給安定を堅固にするために、主要穀物の国内生産基盤の拡充および安定的なグローバル食糧供給網の確保を目指す政策を打ち出すなど、食糧安全保障強化策を持続的に推進する計画です。

尚州イノベーションバレーの賃貸温室では、イチゴ、トマト、キュウリなどを栽培しており、賃貸期間は3年です

日本食材は韓国でも人気

日本での韓流グルメの人気を受けて、韓国は日本市場を非常に重要視しています。特に日本での韓流ブームもあり、韓国食品の輸出には大きな期待を寄せています。韓国から日本への主要な輸出品目には、たばこや調製食料、菓子、パプリカ、キムチなどがあります。これらの商品は日本市場で非常に人気があり、特にパプリカやキムチには大きな需要があります。
逆に、韓国で人気のある日本の食材には、海産物や日本式しょうゆ、みそ、インスタントカレーなどがあります。最近は韓国でも日本の食文化を楽しむ雰囲気が高まっています。

今後も国際会議において、食料安全保障、サプライチェーン、気候危機への対応などについて、共同の努力と協力を継続しながら、双方の技術協力や人的交流などを強化していくことを期待しています。

株式会社マイナビ 地域活性CSV事業部 地域CSV事業開発部金保庚が韓国農林畜産食品部大臣を取材しました。

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