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おかひじきはどんな野菜? 旬や栽培方法、おいしく食べるレシピを解説【日本伝統野菜推進協会監修】

連載企画:解説!全国伝統野菜

おかひじきはどんな野菜? 旬や栽培方法、おいしく食べるレシピを解説【日本伝統野菜推進協会監修】

ビタミンやミネラルが豊富な野菜として認知が広まりつつある「おかひじき」。海藻のひじきに似ていることから、その名がついたといわれています。古くから食用とされ、発祥地とされる山形県で盛んに栽培されてきました。現在も同県が生産量トップ。内陸部の置賜(おきたま)地方の伝統野菜として知られています。もともとは海岸に自生していた野生種で生命力が強く、種も市販され家庭菜園でも育てやすいこの品種。一般社団法人日本伝統野菜推進協会編集協力のもと、その育て方や食べ方、来歴とともにシャキシャキとした食感を生かしたレシピも紹介します。

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おかひじきはどのような野菜?

ざるにのせたおかひじき

おかひじきは海岸に自生するアカザ科オカヒジキ属の一年草。形が海藻のひじきに似ていることから「おかひじき」と呼ばれています。山形県南陽市が発祥の地とされ、江戸時代初期に海沿いの庄内地域に自生していたおかひじきの種が最上川を船でさかのぼり、内陸の砂地質である米沢藩領の砂塚村(現:南陽市)に伝わり、栽培されたのが始まりとされています。

ビタミン・ミネラル豊富でシャキシャキ食感

多肉質の柔らかい若芽を食用とします。味は淡泊ですが、生で食べるとわずかに塩気と後味にほのかな苦みが感じられます。アクを抜くために2分ほどゆでて食べるのが一般的。葉物野菜のような青臭さがなく、シャキシャキとした食感が特徴です。栄養成分は、カロテン(ビタミンA)、カリウム、カルシウムを多く含んでいます。

山形県が主産地

全国的に栽培されるおかひじきですが、発祥地とされる山形県が主産地です。特に置賜地区の山形市、南陽市で盛んに栽培され、「山形おきたま伝統野菜」に認定されています。ハウス栽培とトンネル栽培が主流となり、年間5回ほど種まきと収穫を繰り返しています。

旬の時期は4月~5月

おかひじきの旬は、4月~5月の若芽の時期です。15~20センチに伸びた若芽を刈って収穫し、11月ごろまで出荷されます。ハウス栽培では主に3月下旬から11月の上旬まで収穫され、全国をリレーしてほぼ通年で生産されています。

おかひじきの基本的な育て方

おかひじきの種

おかひじきは日当たりのよい砂浜に自生するので、土壌が合えば多くの収量が見込めます。プランターでも比較的簡単に栽培でき、一度摘んでもすぐに葉が芽吹くため、手入れ次第で何度も収穫できます。

畑の準備

種をまく2週間ほど前に苦土石灰をまいて耕しておきます。日当たりがよく水はけのよい土壌を選びましょう。プランターの場合は、野菜用の培養土を使います。

種まき

3月下旬から4月上旬(桜が満開になるころ)がまきどきです。深さ約1センチに作った溝に、すじまきします。溝と溝の間隔(条間)は30センチ、種と種の間隔は1センチ程度が目安です。種をまいたら2~3ミリの厚さで土をかぶせて軽く押さえます。

発芽、間引き

発芽後、順次間引いて最終的に株間を8センチ程度にします。水分が不足すると茎葉が硬くなるので、土が乾いたら水やりをします。

追肥

最後の株を間引いたのち、生育を見ながら追肥をします。

収穫

種まき後30日ほどして、本葉が7~8枚、草丈が10センチほどになったら、抜き取るか、ハサミで切り取って収穫します。

おかひじきのおいしい食べ方

おかひじきの辛子しょうゆ和え、マヨネーズ和え

おかひじきは、下ゆでして食べるのが一般的です。シャキシャキとした食感を生かしたおひたしやあえ物が定番。主産地の山形県では「おかひじきのからしあえ」が郷土料理です。子ども向けには「マヨネーズあえ」が家庭の味。クセがなく食感がいいので、サラダ、酢の物、天ぷら、みそ汁やスープなど、さまざまな料理の食材になります。

下処理は短時間でゆでる

クセのない食感に仕上げるには、ゆでてアクを抜くのがポイントです。
シャキシャキとした食感が損なわれないようにゆですぎに注意。短時間で手早くゆでましょう。

下ゆでしたおかひじき

【下ゆでの方法】
鍋にたっぷりの湯をわかし、塩を加えておかひじきを入れ、1分半から2分ほど強火でゆでたら、冷水に取り、キッチンペーパーなどで包んで水気を取ります。

氷水にさらしてシャキシャキに

新鮮で柔らかいおかひじきの若芽は、生でも食べられます。その際、氷水にさらすことでよりシャキシャキとした食感が楽しめます。同様に下ゆでしたおかひじきをシャキッと冷やせます。

おかひじきのおすすめレシピ5選

食感のよさとクセのなさで、さまざまな料理に活躍するおかひじき。その特徴を生かしたシンプルでおいしいレシピを集めました。

おかひじきとタマネギのサラダ

おかひじきとタマネギのサラダ

2種類の野菜でシャキシャキした食感が味わえるサラダです。新タマネギで作るのがおすすめ。

材料(2人分)
おかひじき 50g
タマネギ  1/2個
かつお節  1パック
ポン酢   大さじ1

作り方
1.下ゆでしたおかひじきは、4~5センチの長さに切る
2.タマネギは薄くスライスして水にさらし、水気を切る
3.ボウルに1と2を入れ、かつお節、ポン酢を加えて混ぜ合わせる
※ポン酢の代わりにマヨネーズとしょうゆであえてもおいしい

おかひじきとニンジンのナムル

おかひじきとニンジンのナムル
シンプルなのに彩りよく、作り置きにも適しています。おかひじきのシャキシャキ食感とごま油の香りで箸が進みます。

材料
おかひじき 80g
ニンジン  40g
ごま油   大さじ1
しょうゆ  小さじ1
酢     小さじ1
白すりごま 小さじ1
塩     適宜

作り方
1.下ゆでしたおかひじきは、4センチ程度の長さに切る
2.ニンジンは千切りにして塩(分量外)をまぶして15分ほど置き、水気を取る
3.ボウルに1と2を入れ、ごま油、しょうゆ、酢を加えて混ぜ合わせ、塩で味を整え、白すりごまをかける
※すりおろしたニンニクやショウガで下味をつけるとパンチの効いた味に

おかひじきと油揚げのみそ汁

おかひじきと油揚げの味噌汁

みそ汁の具としても手軽に使えて、ミネラル豊富。油揚げは相性抜群です。

材料(2人分)
おかひじき 40g
油揚げ   1/2枚
だし    300ml
みそ    大さじ1

作り方
1.おかひじきは根元のかたい部分を切り落とし、3センチの長さに切る
2.油揚げは熱湯をかけて油抜きし、縦半分に切って細切りにする
3.鍋にだしを煮立て、1と2を入れて2~3分火にかけ、みそを溶き入れる
※具材としてミョウガをスライスして加えても合う

おかひじきのオムレツ

おかひじきのオムレツ

おかひじきの歯ざわりと、ふんわり卵が好相性。手早く作れる一品です。

材料(作りやすい分量)
おかひじき 80g
卵     2個
みりん   適宜
しょうゆ  適宜
サラダ油  適宜

作り方
1.下ゆでしたおかひじきは、2センチほどにざく切りにする
2.ボウルに卵を溶き、おかひじき、みりん、しょうゆを加えて混ぜ合わせる
3.フライパンにサラダ油をひいて熱し、2を入れ、軽くかき混ぜながら焼き、半熟状になったら半分に折りたたんで焼き上げる。
※具材にハムやツナを追加すると食べ応えがさらにアップ

おかひじきのかき揚げ

おかひじきのかき揚げ

おかひじきは生のまま使い、カリッと揚げます。彩りもよく目にもおいしい一品です。

材(2人分)
おかひじき 40g
桜えび   大さじ2
天ぷら粉  40g
水     60ml
揚げ油   適宜

作り方
1.おかひじきは洗って水気を切っておく
2.ボウルに天ぷら粉と水を入れて混ぜ、おかひじきと桜えびを加えて混ぜ合わせる
3.揚げ油を中温(170~180℃)に熱し、2をおたまですくってそっと入れ、サクッとするまで揚げる
※好みで塩または天つゆでいただきます

ミネラルたっぷり“陸のひじき”は、暑さに強い夏の栄養野菜

山形県の内陸部で栽培され、郷土の夏の味覚として食されてきた「おかひじき」。もともとは沿岸部に自生する野生種で、産地では生産者がその種を自家採取して守っています。1975年ごろから首都圏市場への出荷が始まり、広く知られるようになりました。その栄養価の高さと食味のよさで、同県外でも生産・出荷され、目にする機会も増えています。
おかひじき_山形県鶴岡市産

一見、風変わりな野菜ですが、食べ方はシンプル。下ゆでしていろいろな料理に使える万能野菜です。おひたしやあえ物が定番ですが、見かけたら手に取って、アレンジレシピを考案してみるのも楽しみです。種も市販され、プランターでも栽培でき、夏場に何度も収穫できるのも魅力。家庭菜園の一品種に加えてみてはいかがでしょう。

編集協力:一般社団法人日本伝統野菜推進協会 

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