梅はどれくらい種類がある?
梅は300種類以上もの品種があるといわれており、そのうち食用できる実をつける品種は約100種類です。和歌山県が日本で最も有名な生産地として知られていますが、じつは全国各地でさまざまな固有の梅が生産されています。梅の種類は大きく「花梅」と「実梅」に分かれますが、この分類はあくまで目安ですので、どちらかが食用として優れているわけではありません。
梅の種類14選
南高(なんこう)
- 梅干し
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
南高は大粒で皮が薄く、種が小さいのが特徴です。果肉は柔らかくジューシーで、完熟すると鮮やかな黄色と紅色が混じった色になります。味はフルーティーで、酸味と甘みのバランスが絶妙です。
梅干しはもちろん、梅酒や梅ジュースにもぴったりで、梅の豊かな香りとまろやかな酸味が楽しめます。
旬の時期は6月〜7月で、この時期に収穫される完熟梅で漬ける梅干しが特においしいとされています。
小粒南高(こつぶなんこう)
- 梅干し
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
小粒南高は、南高よりひと回り小さい粒が特徴ですが、果肉は厚く、種が小さいため、梅干しに最適です。外見は南高と同じく、完熟すると黄色から紅色に色づきます。
味は南高と同じで、特に梅干しや梅酒にぴったりです。
旬は6月〜7月で、この時期に収穫された完熟梅が特においしく、豊富な果肉とフルーティーな香りを楽しむことができます。
古城(ごじろ)
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
古城は、南高よりも果実が硬いことが特徴です。熟す前は鮮やかな緑色の青梅で、表面が傷ついていないものが良いとされています。
酸味がしっかりしており、梅酒や梅ジュースに最適です。硬い果実は漬け込んでも崩れにくく、美しい琥珀色の梅酒に仕上がります。
旬の時期は5月下旬〜6月にかけてで、特に新鮮な青梅が出回る季節です。
白加賀(しろかが)
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
白加賀は、やや黄緑がかった皮としっかりした果肉が特徴の梅で、南高よりも少し小粒です。果肉は繊維が少なく、緻密で肉厚で、酸味が強く爽やかな味わいが楽しめます。
梅酒や梅ジュース、梅ジャムにぴったりで、酸味を生かした梅干しもおすすめです。硬めの果肉と厚めの皮が昔ながらの梅干しとして親しまれています。
旬は5月〜6月にかけてで、特に関東地方で多く栽培されています。
紅映(べにばえ)
- 梅干し
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
紅映は、熟すと鮮やかな紅色に染まる美しい外見が特徴で、名前の通り、口紅を塗ったような色合いになります。果肉は厚く、種が小さいため食べやすく、繊維が少ないので柔らかくジューシーです。
酸味が少なく、まろやかな味わいで、梅干しや梅酒、梅ジュースに最適です。特に、上品な香りと酸味が生かされた梅酒は、他にはない独特の味わいを楽しめます。
紅映梅の旬は6月〜7月で、福井県で主に栽培される希少な品種です。
剣先(けんさき)
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
剣先は、名前の通り先端がやや尖った楕円形で緑色の外皮が特徴的な梅です。表面は光沢があり、毛じ(もうじ)が少なく滑らかです。果実の大きさに対して種が小さいため果肉が多く、食べ応えがあります。味は桃のようなみずみずしい酸味が特徴です。
また、実が硬いため、梅酒や梅シロップなどに加工することがおすすめです。
剣先の旬は5月下旬〜6月にかけてで、主に福井県で栽培される希少品種です。
露茜(つゆあかね)
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
露茜は、外見は鮮やかな紅色の美しい梅です。果実は約50~70グラムと大きく、実は短い毛で覆われて光沢があります。
酸味が少なく、まろやかな味わいが特徴で、梅酒や梅ジュース、ジャムなどに最適です。シソを使わなくても自然な紅色の加工品が作れるため、見た目も華やかに仕上がります。
旬の時期は6月〜7月中旬とやや遅めで、熟した果実は特に梅酒やジュースにすると美しい紅色が楽しめます。
豊後(ぶんご)
- 梅干し
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
豊後は、梅と杏の交雑種で、40〜60グラムと少し大きい果実が特徴です。実は淡い黄緑色で、果実の真ん中にくっきりとした線が入っており、見た目も美しいです。果肉は厚く、種が小さいため、食べられる部分が多く、酸味が少なく程良い味わいです。
梅酒や梅ジュースやシロップなどにぴったりで、特に梅酒やシロップにすると爽やかな風味が楽しめます。
豊後の旬は6月下旬〜7月上旬で、寒冷地でも栽培される耐寒性の強い品種です。
鶯宿(おうしゅく)
- 梅干し
- カリカリ梅
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
鶯宿は、古くから日本に伝わる在来種で、平安時代の歌にも登場するほどの歴史を持つ品種です。果実は25〜30グラムと中粒で、緑色の皮と硬い肉質が特徴です。
酸味が強いので、梅酒や梅ジュースにぴったり。また、カリカリ梅にも向いています。
主な産地は奈良県や徳島県で、旬の時期は6月上旬〜7月頃です。青梅の状態で収穫されることが多く、強い香りも魅力です。
麗和(れいわ)
- 梅干し
- 梅酒
- 梅ジュース
麗和は、受粉樹がいらない梅の新品種で、一本だけでもしっかりと実をつけることができます。白くて八重咲きの花はとても美しく、観賞用としても楽しめるのが魅力です。開花が少し遅めなため、白加賀などの他の梅の受粉にも使いやすく、花も実も楽しめる品種です。
実は30グラム以上で、梅干しや梅酒作りにぴったり。
麗和の旬の時期は、南高と同じ6〜7月頃です。
和郷(わごう)
- 梅干し
- 梅酒
- 梅ジュース
和郷は、麗和と同じく受粉樹なしでも安定して実がつく梅の新品種です。果実は30グラム以上の大きさで、果肉が多く、核が小さいため梅干しや梅酒にぴったりです。また、ヤニ果が少ないので、品質が安定しているのも魅力です。麗和と違い、和郷の花は一重咲きで、主に果実を利用するための品種です。開花時期が遅めなので、白加賀など他の梅の受粉樹としても役立ちます。
和郷の旬の時期は、麗和と同じ6〜7月頃です。
竜峡小梅(りゅうきゅうこうめ)
- カリカリ梅
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
竜峡小梅はサイズは2〜5グラムと非常に小粒な実ながら、果肉がしっかり詰まっています。酸味が強く、しっかりとした硬い食感が特徴で、カリカリとした歯応えが楽しめます。
特に梅漬けやカリカリ梅として最適で、その食感が多くの人に愛されています。
竜峡小梅の旬は5月下旬〜6月中旬です。
甲州小梅(こうしゅうこうめ)
- カリカリ梅
- 梅酒
- 梅ジュース
- 梅ジャム
甲州小梅は、2〜5グラムの小粒ながら、種が小さく果肉が厚いのが特徴です。小梅としては食べ応えがあり、見た目は爽やかな香りを漂わせる美しい緑色です。味は酸味が効いており、特にカリカリとした食感が楽しめます。
若もぎした小梅を使ったカリカリ梅や、完熟させた梅を使った梅干しにぴったりの品種です。また、梅酒やジャムにも適しています。
甲州小梅の旬の時期は5月下旬〜6月中旬で、山梨県を代表する特産品として親しまれています。
パープルクィーン
- 梅酒
- 梅ジュース
パープルクィーンは、和歌山県のJA紀南だけが栽培する希少な小梅で、鮮やかな紅紫色の果皮が魅力的です。一般的な梅よりもアントシアニンが多く含まれており、梅酒や梅ジュースにすると美しいピンク色に仕上がります。1粒5〜6グラムと小さめですが、豊かな香りと爽やかな味わいが特徴的です。
旬の時期は5月下旬〜6月頃と短く、一般的にあまり出回っていません。
まとめ
梅には300種類以上の品種があり、そのうち約100種類が食用として利用されています。この記事では、南高や白加賀などの定番から、希少な紅映や剣先まで、14種類の梅を厳選してご紹介しました。品種によって果肉の柔らかさや酸味の強さなどの特徴が異なるため、それぞれ得意な用途があります。作りたいものや好みの味わいに合わせてお好みの梅を選び、季節の恵みを存分に楽しんでみてはいかがでしょうか?