取材協力いただいた農家/新山 麗佳さん
▼プロフィール
・年齢:38歳
・就農年数:4年目(2021年就農)
・出身地:東京都
・地域:岩手県北地域・野田村
・規模:ブロッコリー3ha、きゅうり25a、ねぎ30a
・活用資金・事業:農業次世代人材投資資金【経営開始型】(農林水産省)
・営農形態:1人(本人。収穫時の臨時雇用あり)
・暮らし:夫と子ども3人の5人暮らし
※2024年10月現在
東京から移住して子どもの頃の夢を叶える
――野田村に移住したきっかけを教えて下さい。
私は東京都出身で、子どもの頃は父と家庭菜園をしていました。プランター栽培でしたが、すごく楽しかったのを覚えています。採れたてのキャベツを食べたときには、あまりのおいしさに感動しました。将来はキャベツ農家になりたいと思ったのですが、東京では難しくて…。でも野田村出身の夫と出会い、結婚を機に移住。夫の実家が米農家をしていたので、一気に農業が身近になりました。
――どんなことがきっかけで就農したのでしょうか。
あるとき夫が、ブロッコリーの新規栽培の体験会に参加したんです。それがきっかけで「これは私の仕事だ」と直感し、やってみようと思いました。子育てが落ち着いてきて、自分にできることを模索しはじめたのもきっかけの一つです。
先輩農家に助言をもらいながらスタート
――就農当時、大変だったことはありますか?
私は農業の経験が全くないので、就農一年目の頃は地域のいろんな農家さんに教えてもらいました。何かあるたびに自分の知識のなさを実感しましたし、何をすればいいかわからないことが一番大変でした。特にブロッコリーを初めて作付した年は、大失敗。悩んでいたら、ほかの農家さんから「肥料がいけない。しっかり考えてやらないと」と、アドバイスをもらったんです。あの頃は必要な肥料の量さえ理解していませんでした。
――それでも今は順調に規模を拡大されていらっしゃいますね。就農当時からどれくらい拡大したのでしょうか。
今はブロッコリーを春と秋に育てていますが、就農直後は春の栽培だけで50aくらい。きゅうりは8aくらいの規模でした。この地域は遊休農地がたくさんあるので、そういう場所を利用させてもらいながら規模を拡大しています。ブロッコリーは種まきからスタートして、苗の段階から病気が発生しないよう注意しながら育てています。どちらかというと春よりも秋の方が病気の発生が多く、どうしたらもっと良いものが作れるか試行錯誤する毎日です。
大変さの中にある農業の魅力
――就農する際に利用した制度はありますか?
農林水産省の農業次世代人材投資資金(経営開始型)を活用しました。農業は何かと機械や設備が必要なので、こうした支援がなければ難しいと思います。今も支援を受けながら機械などの購入に充てています。
――新山さんが思う、農業の魅力を教えてください。
一番のやりがいは、自分が育てた野菜をたくさんの人に食べてもらえることです。もちろん大変なこともたくさんあって、台風のさなかにきゅうりの収穫をしたこともあります。ものすごい暴風雨でしたが、きゅうりは待ってくれません。こんなときまで収穫しなくてはいけないなんて大変だと思いました。でも、だからこそ無事に収穫できたときの喜びは格別です。いつも、おいしそうにできたなぁって喜びを噛み締めながら作業しています。
――これほどの規模だと、家庭との両立が大変そうですね。
朝は3時半頃に起きて畑に出ていて、家事まで手が回らないのが正直なところです。どうしても溜めがちになりますが、子どもたちが成長して手伝ってくれるようになったので助かっています。家族はもちろん、地域の皆さんにも応援してもらっているおかげで、ここまで続けてこられたと感じています。
豊かな食と人の温もりが野田村の魅力
――休日の過ごし方や、野田村の魅力について教えてください。
休日はドライブがてら、ほかの地域の畑を見に行っています。先日は盛岡のねぎ畑を眺めてきました。あとは道の駅へ立ち寄って、どんな野菜が販売されているのかもチェックします。野田村の良いところは、なんといってもおいしいものが豊富にあることです。山ぶどうは日本一の生産量を記録したことがありますし、ワインやジャムにしても絶品です。また、海の幸でオススメなのは「荒海ホタテ」です。野田村の海はプランクトンが豊富で、大きくて身の締まったホタテが育ちます。これを食べたらほかのホタテが食べられなくなるくらい大好きな特産品です。あとは、村の人たちの温かさも魅力。ちょっと車ですれ違うときにも挨拶してくれますし、「いつも頑張ってるね」と、声をかけてもらうことも多いです。地域での新規就農者の仲間が増え、地域で切磋琢磨しながら、農業に取組めることも魅力の一つです。
目標は、理想の野菜を作ること
――今後の目標について教えて下さい。
まずは、今育てている野菜を自分が理想とする姿に近づけることです。その上で、さらに規模を拡大しながら違う野菜の栽培も検討しなければいけないと思っています。自分が好きで、なおかつ需要があるものを作り続けていきたいです。
多くの人に喜んでもらえる農業にぜひ挑戦を!
――最後に、就農を目指す人へメッセージをお願いします。
最初は必要な機械や資材を揃えたり、野菜の知識を身につけたりと大変なことが多いと思います。日々勉強ですし、経験を重ねることでしか対処できないトラブルもあります。それでも私は、今こうして自分が作った野菜を多くの人に届けられることがうれしいですし、挑戦して良かったと感じています。やりたいと思ったら、ぜひ自信を持ってチャレンジしてほしいです。
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