メイガの生態と特徴
メイガはチョウ目メイガ科の昆虫で、農業現場だけではなく、一般家庭でも食品に発生することのある害虫です。
一般家庭では、ノシメマダラメイガ・スジマダラメイガ・スジコナマダラメイガなどが発生しやすく、お米や小麦粉、チョコレートなど菓子類を食害することで有名です。
農業では、アワノメイガ・ウリノメイガ・シロイチモジマダラメイガ・ウコンノメイガ・マメノメイガ・フキノメイガ・フタモンマダラメイガなどがよく見られ、それぞれ好んで食害する作物が異なります。
メイガたちは種類が多く、被害の内容もさまざまです。例えば、葉や茎を食害するもの、葉を巻いて隠れ潜むもの、果実に入り込んで中から食害するものなど、一見しただけではメイガによる被害だと分かりにくいものもあります。またメイガが発生した作物は、メイガの被害跡やフンなどで汚されたり、生育が阻害され枯れてしまうこともあるので、しっかり防除を行うことが大切です。
メイガが生息している場所
メイガは世界中どこにでも生息しており、国内では沖縄以外の全ての地域で見られます。屋外では鳥の巣など不衛生な場所が発生源と考えられています。また、屋内では台所やパントリーなど、食品カスが多い場所でよく見られます。なお、米に卵がついていることもあり、常温保存している米びつなどで発生するケースもあるようです。
メイガが発生しやすい時期
メイガは寒さが苦手なため、冬には姿を消しますが、それ以外の時期は活発に飛び回ります。ただし、屋内やハウスなど温暖な場所では元気に越冬するケースもあるので注意が必要です。
種類によって発生時期に若干の差はありますが、基本的には3月下旬から10月頃までが発生時期と言えるでしょう。
また、メイガは1年間に3~5回ほど大量の卵を産むので、完全に防除するのは難しい害虫です。作物や食べ物を食害するのは幼虫の時期の数週間ですが、幼虫自体も食欲旺盛なので、随時防除をしていかなくてはなりません。
メイガが発生しやすい作物を種類別に紹介
メイガが発生しやすい作物を、メイガの種類ごとに紹介します。また、どのような特徴を持っているかも簡単に説明します。
アワノメイガ
アワノメイガはトウモコロシ・アワ・ヒエ・イネなどイネ科作物に発生します。
特にトウモロコシを食害する害虫として有名で、世界的にも防除の対象になっています。
幼虫の見た目は、数mm~2cmほどで、黄色がかった白色をしています。ふ化直後、葉肉を食べて小さな白い斑点状の食害痕を残します。約3日後には茎内部に侵入し食害します。このとき、食べカスやフンが茎の穴から排出され、時間が経つと乾燥し、木をノコギリで引いたあとにでる粉のようなカスが見られるようになります。
被害が進むと株が倒れやすくなり、収量が減少します。また、雄穂や実が食害され、商品価値を失うことがあります。
ウリノメイガ
ウリノメイガはウリ類を中心に、葉や果実に被害を与える害虫です。幼虫は葉裏から食害を始め、成長すると葉をつづり合わせながら内部で食べ進め、発生が多い場合には葉脈だけが残るほど激しい被害を引き起こします。果実も加害されることがあり、被害作物の品質が大きく低下します。
幼虫は体長24mmほどで淡緑色、背中に白い縦線が2本あります。
年に数回発生し、10~11月に蛹で越冬、翌年6月頃に成虫が現れます。その後、第1世代の成虫が7月下旬頃に発生し、以降さまざまな大きさの幼虫が見られるようになります。
シロイチモジマダラメイガ
春から秋にかけて3~4回発生し、西日本や東日本で多く見られます。エンドウやササゲにも発生しますが、エダマメやダイズを好む傾向があります。
若齢から中齢の幼虫は乳白色の体色と黄褐色の頭部を持ち、老齢幼虫になると体色が白っぽい緑色や紫色になり、体長は約1.5センチになります。
幼虫が莢(さや)内の豆を食害すると、その部分が褐色に変色し、円形の穴から緑色のフンが見られることがあります。
ウコンノメイガ
春から秋にかけて2~3回発生を繰り返し、特に7~8月に多発します。主な寄生対象はダイズやインゲンですが、イラクサ科の雑草にも発生します。
幼虫は薄緑色で、老齢になると体長約2センチに成長します。葉を食害する際には葉の縁を巻き込んでつづり合わせ、その内側から葉を食べ進めます。食害された部分は後に枯れて褐色になり、発生が多い場合には作物の生育が遅れる原因となります。
マメノメイガ
マメノメイガは、小豆や菜豆などの豆類に被害を与える害虫です。8月から9月にかけて幼虫による被害が続きます。成虫は莢の基部や柄に卵を産み、ふ化した幼虫は莢内部に侵入して子実を食害します。また、幼虫は成長点や茎、葉柄にも潜入することがあり、食害部分からは褐色のフンが多量に排出されるのが特徴です。
また、成虫は活発に飛び回るため、被害が発生した圃場(ほじょう)が近くにあると、飛んで寄ってくる可能性があるため注意が必要です。
アズキノメイガ(フキノメイガ)
アズキノメイガは春から秋にかけて3回発生し、寒冷地では1回のみ発生します。ショウガ、ピーマン、ダイズ、オクラ、ダリアなど、野菜や花のさまざまな種類に発生することが確認されています。
老齢幼虫は乳白色の体色に褐色の模様があり、体長は約2センチに成長し、茎に潜り込んで作物を食害します。幼虫が茎を食害すると、その部分より先がしおれて枯れるのが特徴です。食害箇所には細かい木くずのような黄褐色のフンが見られるため、他の病害虫と区別しやすいです。被害は目立ちますが、全ての株や茎がやられるほどの多発はあまり見られません。
アズキノメイガはかつてフキノメイガと呼ばれていました。しかしフキノメイガとしてひとまとめで呼ばれていたものを、フキに寄生するものをフキノメイガ、それ以外の作物に寄生するものをアズキノメイガと分類するようになりました。
フタモンマダラメイガ
フタモンマダラメイガは、もともとカキやクリを好む害虫として知られていましたが、近年ではリンゴやナシ、ブドウ・モモ・スモモ、ブルーベリーなどさまざまな果樹類に発生するようになり、被害が拡大しています。
幼虫は若齢~中齢では乳白色、老齢では緑色を帯びた淡褐色をしています。
幼虫が木の表面近くに入り込むと、その部分が黒くなり、糸でつづられたような虫のフンが目立つようになります。特に枝の分かれ目や、剪定したあとが被害に遭いやすいです。一度被害を受けた木は更に卵を産み付けられて加害が増え、木全体の元気がなくなることがあります。
ナシやリンゴなどでは果実にも入り込んでしまい、内部を食べることで実が傷みます。この被害は袋をかけた果実でも起こるため、防ぐのが難しい場合があります。
メイガの駆除におすすめの殺虫剤・農薬
三明デナポン粒剤5
トウモロコシに発生するアワノメイガを効果的に退治できる薬剤です。
直接薬剤を作物に振りかけて使うので、面倒な調合などが必要ありません。大規模農園では効率が良くないですが、栽培数の少ない家庭菜園などでは問題にならないでしょう。
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アファーム乳剤
ウリノメイガの防除に使うことができる薬剤です。
農業の現場でもよく使うことのある農薬で、ウリノメイガ以外にも30種類以上の害虫防除に使えます。
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トレボン乳剤
マメノメイガやアワノメイガ、シロイチモジマダラメイガ、アズキノメイガなどさまざまな種類のメイガ類防除に使用できる薬剤です。
適用が広く、速効性と残効性にも優れている優秀な農薬です。
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STゼンターリ顆粒水和剤
ウリノメイガやシロイチモジマダラメイガに使うことのできる有機農薬です。
自然界にいる天然微生物(B.t.菌)が作る有効成分から作られているため、安全性も高く、環境負荷も少ない農薬です。
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殺虫剤や農薬を使わずにメイガを駆除する方法
農薬を使わずにメイガを駆除したいときは、地道に捕殺していきましょう。
メイガの幼虫は葉や果実を食害するため、被害箇所をよく観察して早めに取り除きましょう。葉を食べる幼虫は比較的見つけやすいですが、果実や葉の裏に隠れることもあるため、普段と違う箇所(枯れたり萎れたりした部分)を注意深く調べることが大切です。疑わしい場所を中まで確認し、発見した場合はその部分ごと取り除いて駆除します。定期的な観察と丁寧な対応が、メイガの大量発生を防ぐポイントです。
メイガを抑制するために気を付けること
メイガによる被害を抑えるためには、そもそも圃場に入れないこと、数を減らしてやることが大切です。そのためには、物理的防除を行いましょう。
フェロモントラップを使う
フェロモントラップは、性フェロモンを使って雄の成虫をおびき寄せて捕獲する道具です。
組み立てが簡単で長期間効果が持続しますが、成虫を誘引するため、卵や幼虫には効果がありません。
また、出入口付近に設置すると外から成虫を引き寄せる可能性があるため、設置場所に注意しましょう。
網掛けを行う
ハウス栽培・露地栽培問わず、ネットを掛けることも大切です。
ハウス栽培では、扉や換気窓に細かい網目のネットをかけましょう。露地栽培では、トンネルを作り、網目の細かいネットをかけてメイガが近寄れないようにしましょう。
また、メイガは圃場に残った作物の残渣(ざんさ)に潜む習性があるため、収穫後に残渣を放置しないことが重要です。
まとめ
メイガは農作物に深刻な被害を与える害虫ですが、適切な予防と駆除を行うことで被害を効果的に抑えられます。フェロモントラップや網掛け、捕殺や農薬散布など、作業は大変です。農業の現場では徹底的に行いますが、家庭菜園では無理をし過ぎないようにすることも大切かもしれません。もし少しでもメイガの被害を抑えたいという場合は、ぜひ本記事を参考にしてメイガの防除を行ってみてください。