フードロスと災害時の課題を一挙に解決、新潟大生がゼミで商品開発
「このような場に出ることができてとても光栄です。チームメンバーや先生のおかげで、自分たちが作り上げてきたアイディアを発表することができて、とてもありがたく思います」。新潟大学の佐藤拓人さん(経済科学部3年生)は、チームを代表して受賞の喜びを語りました。佐藤さんらのチームはこれまで、新潟県内のビジネスコンテストで2度の受賞歴があるものの、最終成績は2位。その悔しさをバネに、今回初めて全国規模のコンテストに挑戦し、優秀賞を手にしました。
提案したのは、アップサイクル型災害食パックごはん「さつまクルん」です。新潟大学伊藤龍史ゼミに所属する佐藤さんと水上英香さん、長井亜美さん、森成雅さんの4人が、ゼミ活動の一貫として地元企業と協力しながら商品開発を進めています。
「私たちが解決したい課題は2つあります。規格外などの理由で廃棄される野菜のフードロス削減と、災害関連死の問題です」と佐藤さんは説明します。農業法人との協働で生産者へのヒアリングを通じて、規格外野菜の廃棄が生産者の心情面でも収益面でも大きな課題となっていることがわかりました。さらに、チームメンバーの森さんが東日本大震災で避難生活を経験していることから、災害時の食の問題にも着目しました。「地震そのものは防げなくても、避難生活での災害関連死は防ぐことができる」という思いが、商品開発の原動力となりました。
商品の特徴について、今回のプレゼンに登壇した水上さんは「避難生活で気持ちが暗くなりがちだからこそ、明るくポップな商品にしたいと考えました」と語ります。パッケージの工夫として、容器の底に貼る2枚のフィルムシートには迷路や間違い探しなどのゲームをプリント。フィルムシートを1枚ずつはがして3回使用可能な容器と、災害時の心身のケアを考えた娯楽要素の組み合わせは、審査員から「私もほしい」と高い評価を得ました。
今後の展望について、「現在、パッケージの開発は完了していますが、ご飯にサツマイモを入れるには技術的な課題が残っています」と佐藤さん。これまでの活動で築いてきたネットワークを活かし、試作品の開発やテストマーケティングを重ねながら、県内外での商品展開を目指しています。
学生の視点で社会問題の解決に取り組む、彼・彼女らの挑戦から目が離せません。