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ちぢみ雪菜ってどんな野菜? 旬や栽培方法、おいしく食べるレシピを紹介

sato tomoko

ライター:

ちぢみ雪菜ってどんな野菜? 旬や栽培方法、おいしく食べるレシピを紹介

寒い冬に甘みが増す「ちぢみ雪菜」は、宮城県を代表する冬野菜のひとつです。寒さにさらされることで葉がちりめん状に縮み、糖分が蓄えられて、シャキシャキとした歯応えと甘みが強くなります。β-カロテンやビタミンK、カルシウムなどの栄養も豊富で、栄養価の高い野菜として注目されています。本記事では、ちぢみ雪菜の特徴や栄養、育て方、おいしい食べ方について詳しく解説します。情報提供:仙台農業協同組合

ちぢみ雪菜と仙台雪菜

1.収穫期を迎えたちぢみ雪菜_仙台市農業協同組合

画像提供:仙台農業協同組合

雪菜はアブラナ科アブラナ属ツケナ類の野菜で、主に雪の降る寒い地域で栽培されていることからその名が付けられました。関東北部から東北南部の寒冷地が栽培に適しており、宮城県の特産品となっています。

雪菜にはいくつかの種類があり、それぞれ品種も異なる別物です。

寒さで葉がちりめん状に縮み肉厚になったものを「ちぢみ雪菜」と言います。冬の霜に当たることで葉に糖分が蓄えられ、甘みを増すことが特徴で、宮城県仙台市とその近郊で冬野菜として盛んに栽培されています。

一方の仙台雪菜は、葉は肉厚の丸型でちぢれはなく、小松菜に似た形をしています。雪の多い地域の冬期の野菜不足対策として江戸時代ごろに栽培が始まり、現在では仙台の伝統野菜のひとつに数えられています。

また、雪菜は山形県置賜地方でも伝統野菜として栽培されています。その方法は独特で、生長した雪菜の株を一旦抜いて束ね、雪の下で育て、とう立ちした花茎を収穫するというものです。漬物(ふすべ漬け)などにして食べられています。

雪菜についてくわしくはこちら
雪菜ってどんな野菜?  旬や栽培方法、おいしく食べるレシピを解説【日本伝統野菜推進協会監修】
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ちぢみ雪菜とはどんな野菜?

ちぢみ雪菜は、冬の寒さに当てて「寒締め(かんじめ)栽培」された雪菜です。寒締め栽培とは、収穫可能な大きさに育てた野菜を寒気に当てて糖分や栄養を高める栽培方法で、雪菜の他には、ホウレンソウや小松菜などで行われています。

ちぢみ雪菜は伝統野菜の仙台雪菜(在来種)とは品種が異なり、中国から日本に入ってきたタアサイ系統の野菜がルーツとされています。葉が丸く肉厚で縮れている他、表面に光沢があり濃い緑色をしています。

味の特徴

縮んでいない雪菜よりも甘みが強く、シャキシャキとした歯触りがあるのが特徴です。ほのかな苦みと寒締めによって増した甘みがほどよく調和したクセのない味わいで、一見硬そうですが、とてもやわらかく用途が広い野菜です。

旬の時期

宮城県の特産品であるちぢみ雪菜は、12月から2月ごろまで出荷され、この時期が最も甘みを増す旬の時期です。JA仙台管内では、5度以下の気温で10日間以上寒さに当てたものを「ちぢみ雪菜」として出荷しています。

含まれている主な栄養や効果

寒さで養分を蓄えたちぢみ雪菜は、特にβーカロテンが小松菜以上に豊富に含まれ、野菜が不足しがちな冬の栄養補給に適しています。

β-カロテン

体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、目の健康に役立つとされています。強い抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去する働きが期待されています。βカロテンは、油に溶ける脂溶性ビタミンで、油と一緒に取ると吸収率がアップします。

ビタミンK

血液中のプロトロビンの生成に必要なビタミンで、血液の凝固性を維持し、止血・解毒・利尿作用を有します。骨形成の調整にも必要とされています。熱に対して強い性質を持つので加熱調理をしても失われず、摂取することができます。

カルシウム

ミネラルの一種で、歯や骨の形成に役立つ他、筋肉を収縮させる働きがあるとされています。

ちぢみ雪菜の育て方

2.ちぢみ雪菜の種

寒さに強いちぢみ雪菜は比較的栽培しやすい野菜です。暑さが和らぐ9月から10月が種まきの適期です。プランターで育てる場合は、野菜用培養土を使用します。

畑の準備

種まきの2週間前までに畑に苦土石灰を散布して土と混和させます。種まきの1週間前までに堆肥や化成肥料を施して60〜70cm幅の畝を立てます。

種まき

条間約20cm、深さ約1cmのまき溝を作ってすじまきします。水やりは土が乾いたら行います。過湿状態は発芽不良の原因となるので、水のやりすぎには注意しましょう。

間引き・管理

順次間引きをして最終的に株間5cm程度にします。追肥は最終間引きの後、必要に応じて畝間か条間に施します。

収穫

草丈が20~30cmになれば収穫できますが、何回か霜に当てると寒締めされ、甘みが増します。

ちぢみ雪菜を育てる時に注意したい病害虫と対策

害虫被害が少ない秋まきがおすすめです。とはいえ、アブラナ科の作物は多くの害虫から被害を受けやすいため適切な防除が必要です。アブラナ科作物の連作を避け、防虫ネット等での防除を心がけましょう。

コナガ

アブラナ科の植物を好んで産卵し、幼虫がその葉や新芽を食害します。真夏を除く春から秋の暖かい時期に発生しやすく、薬剤での防除が難しいので、網目の細かい防虫ネットや寒冷紗を使って成虫の侵入を防ぎましょう。防虫ネットはアブラムシ対策にも有効です。

ヨトウムシ

夜行性の蛾の幼虫で、夜になると活動を始めて葉を食害します。土中で越冬して春から秋にかけて葉裏に大量に産卵するので、日頃から作物を観察して卵を発見し、孵化する前に取り除きます。防虫ネットをかけて成虫を侵入させないことも有効な対策です。

アブラムシ

窒素成分の過多で発生しやすく、日当たり・風通しの悪い環境で増殖し、葉裏や新芽に寄生して汁を吸って作物を加害します。見つけたら水で洗い流す、粘着テープで取り除くなどして除去しましょう。黄色に集まる性質を利用して、黄色の粘着板を設置する方法もあります。

おいしいちぢみ雪菜の選び方

茎と葉の状態を確認しましょう。茎にツヤとハリがあり、葉は濃緑で厚みがあり、シャキッとしているものが新鮮です。

ちぢみ雪菜の保存方法

乾燥を防ぐために湿らせた新聞紙などで包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。できれば立てておくと更に長持ちします。

ちぢみ雪菜の基本的な食べ方とレシピ5選

性質が近い小松菜と同様に、主に加熱調理して食べます。おひたしや和え物、炒め物、煮物、浅漬けなど用途はいろいろ。クセが少なく、甘みもあるので、どんな料理にも合います。ここでは、ちぢみ雪菜を使ったシンプルなレシピを紹介します。
※レシピ画像は小松菜で代用

ちぢみ雪菜の煮びたし

4.煮びたし

おひたしや煮びたしは、ちぢみ雪菜の定番料理のひとつ。冷めてもおいしいので作り置きにも適しています。

材料(2人分)
・ちぢみ雪菜 1/2束(約100 g)
・だし汁   200ml (だしパックや顆粒だしでも)
・しょうゆ  大さじ1/2
・みりん   大さじ1/2
・酒    大さじ 1/2
・塩     少々
・ かつお節  適量

作り方
1. ちぢみ雪菜は洗って根を切り落とし、食べやすい長さに切り、茎と葉を分けておく
2. 鍋にだし汁を入れて中火にかけ、しょうゆ、みりん、酒、塩を加え、軽く混ぜて煮立たせる
3. だし汁が煮立ったら、まず茎を鍋に入れて1分ほど、次に葉を加え入れて更に1〜2分煮て、ちぢみ雪菜がしんなりしたら火を止める
4. 火を止めたら鍋ごと少し冷まし、ちぢみ雪菜に味を染み込ませる(冷める過程で味がつく)
5. 器に4を盛り付け、上から煮汁を少し注ぎ、仕上げにかつお節をたっぷりとかける

ちぢみ雪菜のナムル

5.ナムル

ちぢみ雪菜の甘みとにんにくの香りで食欲増進。ごま油と合せることでβーカロテンが吸収されやすくなります。

材料(2人分)
・ちぢみ雪菜      1/2束(約100g)
・ごま油        小さじ1
・しょうゆ       小さじ1
・塩          ひとつまみ
・にんにく(すりおろす)少々
・白ごま        適量

作り方
1.ちぢみ雪菜は洗って根を切り落とし、食べやすい長さに切り、茎と葉を分けておく
2.鍋に湯を沸かし塩をひとつまみ入れ、まず茎から先に入れて30秒ほど、次に葉を加え入れて更らに20〜30秒茹で、鮮やかな緑色になった冷水に取る
3.水気を絞ったちぢみ雪菜をボウルに入れ、ごま油、しょうゆ、塩、にんにくを加えて和え、白ごまを振りかけて仕上げる

ちぢみ雪菜と卵の中華風炒め

6.雪菜と卵の中華風炒め

卵のふんわり感と雪菜のシャキシャキ感が絶妙です。油で炒めることでβーカロテンも吸収されやすくなります。

材料(2人分)
・ちぢみ雪菜    1束
・卵        2個
・鶏ガラスープの素 小さじ1
・塩        少々
・ごま油      大さじ1

作り方
1.ちぢみ雪菜は洗って根を切り落とし、食べやすい長さに切る
2.卵を溶きほぐし、フライパンで軽く炒めて半熟状態で一旦取り出す
3.フライパンにごま油を足し、ちぢみ雪菜を炒める
4.鶏ガラスープの素と塩を振って味を整え、1の卵を戻して全体をさっと混ぜる

ちぢみ雪菜の浅漬け

7.浅漬け

ちぢみ雪菜の風味やシャキシャキ感が味わえるシンプルな浅漬け。肉厚で食べ応えがあるのでおかずの一品にもなります。

材料(2~3人分)
・ちぢみ雪菜    1/2束
・塩       適量(雪菜の重さの2〜3%程度)
・刻み昆布    適量
・唐辛子(好みで)1本

作り方
1.ちぢみ雪菜は洗って根を切り落とし、食べやすい長さに切る
2.ちぢみ雪菜と刻み昆布をボウルに入れ、塩を振りかけてよく揉む
3.保存袋に塩もみした雪菜を入れ、好みで唐辛子を加え、空気を抜いて半日~数日、しんなりするまで冷蔵庫におく
5.食べる際に軽く水気を絞って器に盛る

ちぢみ雪菜の和風スープ

8.和風スープ

ちぢみ雪菜の甘みとだしが相まった優しい味わい。シャキシャキ感を残したいときは茹ですぎないように。かつお節や刻みネギをトッピングしてもおいしいです。

材料(2人分)
・ちぢみ雪菜 1/2束(約100g)
・だし汁   400ml (だしパックや顆粒だしでも)
・しょうゆ  大さじ1
・みりん   小さじ1
・塩     少々
・しいたけ  適量
・豆腐    1/2丁

作り方
1.ちぢみ雪菜は洗って根を切り落とし、5〜7cm程度に切り、茎と葉を分けておく
2.しいたけ、豆腐は食べやすい大きさに切る
2.鍋にだし汁を入れ、弱火〜中火で温める
3.だし汁が沸いたら、まず茎を入れて1〜2分煮た後、葉、きのこ、豆腐を加え、更に1〜2分煮る
4.しょうゆ、みりん、塩を加えて味を整え、全体に火が通ったら火を止め、器に盛る

食べておいしく、育てて楽しい冬野菜

ちぢみ雪菜は、寒さの中で甘みと栄養価を高める宮城県の冬野菜です。仙台雪菜とは異なり、葉が縮れて肉厚であることが特徴で、寒締めによる甘みと歯応えの良さが魅力。β-カロテンやビタミンK、カルシウムが豊富で、冬の栄養補給にも最適です。

9.ちぢみ雪菜の畑

画像提供:仙台農業協同組合

育てやすく、プランターでも栽培が可能なので、家庭菜園にもぴったり。料理では、煮びたしや炒め物、ナムル、スープなど、幅広いレシピに活用できます。育てても、料理でも楽しめる、おいしい冬野菜です。

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