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家も農地も無い“フリーランス農家”スタイルが一冊に。書籍に詰められた思いとは

家も農地も無い“フリーランス農家”スタイルが一冊に。書籍に詰められた思いとは

年間300日以上、全国各地の農家を転々としながら農業に携わる“フリーランス農家”の小葉松真里(こばまつ・まり)さん。そのユニークな農業スタイルはなぜ生まれ、そしてどのように続けているのか。300軒以上の農家と出会ってきた経験から得た視点と将来への展望。その全てが著書『フリーランス農家という働き方』(太郎次郎社エディタス)に詰め込まれています。

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「住み込み」から農業の世界へ

北海道帯広市出身の小葉松さんはもともと新聞社に勤めていました。
それが2014年、関心のあった農業の世界へ入ることに。北海道・富良野でメロンやアスパラガス、トウモロコシなどを栽培する寺坂農園に住み込みで働き始めます。
「太陽の光を浴び、虫と鳥の鳴き声に囲まれ、仲間と汗を流して仕事をし、自分たちで収穫した野菜や地域の食材を使って一緒に料理をして食べる。今まで味わったことのない満足感」を抱いたという小葉松さん。
さまざまな栽培方法や土壌の重要性、SNSを活用した販売、マルシェなどの各種イベントといった、農業に関する知識を深めていきました。

「家無し土地無しワザ無し」で「農家」になる

しかしそこから、より農業に関わっていこうと考えるときに多くの壁があったそうです。
情報も乏しく、インターネットで検索しても、知りたい情報が見当たらない。
「新規就農って手もあるか」と考えるものの、女性一人では難しいということも感じたと言います。農地や農機具の確保や、そのために融資を受けるなども、そう簡単ではありません。

そこで小葉松さんが自身の課題の整理のために書き出したのが次の4つです。
①土地を所有し農家になるハードル
②農業の課題
③私の強み
④私の弱み
この考え方は今現在、就農を考えている人にとっても示唆が多いことでしょう。
そしてこの結果、たどり着いたのが“フリーランス農家”。特定の住む家も持たず、農地は無く、それほど農業技術があるわけでもない。けれど農業の課題に対して出来ることがあるだろうと考えます。
「やってみたいことはやろう! だめなら辞めれば良い! 道は後にできる!!」という一言に背中を押される人も居るかもしれません。

掛け合わせるという強み

富良野でメロンをPRする著者。今も全国を飛び回る

こうしてフリーランス農家を名乗り、農繁期に合わせるように全国の農家を転々としながら働き始めた小葉松さん。季節ごとに各農家が用意した宿泊施設に寝泊まりをしながら農業に携わっています。
農作業の手伝いはもちろんのこと、直売所の立ち上げに関わったり、フットワークも軽く北海道から沖縄まで各地を回ることで知り合った人をつなげていくなど、さまざまに活動しています。
「人脈を作るのが得意」ということもあり、出会った農家は300軒以上。中にはマイナビ農業をきっかけに縁が出来た人もいるのだとか。
フリーランス農家というスタイルは、農地を持っているわけではない分、一カ所に留まることはありません。だからこそ全国各地の人に会いに行くことも出来ます。そしてそこで生まれた縁から、人と人とをつなげてスキルを掛け合わせていく。これこそフリーランス農家の本領発揮と言えるでしょう。

肌感覚で得た農業の課題と魅力

多様な働き方がある昨今、農業においても従来の枠組みにとらわれない働き方が生まれています。小葉松さんが生み出したフリーランス農家は、その一つとして参考になるでしょう。また本書にはここに挙げた以外にも、小葉松さんが出会ってきた多くの農業者が登場し、農業スタイルは決して凝り固まったものでは無いことを教えてくれます。
フリーランス農家としての働き方の苦労や、実際に多くの農家を見てきたからこその業界の課題など。率直な思いに溢れた本書には、多くのヒントが詰まっています。

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