20棟120エリアの管理・制御や3D表示を可能にする「Sfumato」
オムニア・コンチェルトでは2021年の創業以来、農林水産業用の環境制御盤を開発、製造、販売を行っている。
同社が扱っている「Sfumato(スフマート)」は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末からハウスの制御機器を遠隔監視・制御することができる農林水産業用環境監視制御システム。ハウスの状態は数値だけでなく、3Dを駆使した画面で表示することが可能で、ハウス内の状況を直感的に捉えられるようになっている。もちろん、3D表示だけでなく、平面図での表示や、観測した数字をグラフ化することも可能。

携帯でも見やすく管理もしやすい
同社が展開する環境統合制御機器「コンチェルト(OCES‐1000)」などとの連携が可能で、温度、湿度、気圧、照度、CO₂濃度など、数多くのセンサによる観測を行いながら複数の個別エリアをそれぞれ独立して制御可能となっている。

環境統合制御機器『コンチェルト(OCES‐1000)』
1つの制御盤で20棟ものハウスを制御し、無線制御を利用できるため大規模な配線なども不要。ハウス内は6エリアに分割できるため、全120エリアのコントロールが可能で、センサ数も計500個程度まで割付設置することができる。
「一般的な環境統合制御装置20台分を、弊社環境制御盤1台で管理・コントロールできるようになる。しかし、センサ数が多くなっても管理が複雑にならないよう、3D化などわかりやすく表示できるように工夫しています(オムニア・コンチェルト 藤原慶太 代表取締役)」

株式会社オムニア・コンチェルト 代表取締役 藤原慶太さん
すべてのセンサに番号が付与されており、同社及び藤原氏の特許技術でセンサやパネルを遠隔で各エリアに割付できる。そのため、ハウス内に複数種類の植物を生育している場合でも、各エリアを効率よく個別独立制御できるようになり、CO₂の局所施用や照度管理などを適切に行うことが可能となる。

センサには番号が一つずつ付与されている
このため、液化炭酸ボンベや燃焼式発生器などによるCO₂の施用量や照明などの電力利用を必要最低限に抑えられ、環境に配慮した農業を実現することができるようになっている。さらに、太陽光などの再生可能エネルギーとも連携。もしセンサ故障などが発生しても周囲の別のセンサでリカバーしたり、通信トラブルに対処できるように複数の通信網を装備していたりと、故障や緊急時にも強い仕様となっている。
さらに観測されたデータや画像、設定値はローカル(制御盤内)にも保管されるため、過去の観測データから今年の生育予測を立てることも容易にできるようになる。またセンサが故障しても、隣接する他の番号のセンサが、故障したセンサのエリアを簡単にカバーできるため、トラブルにも強いシステムである。
オフィスグリーンのハウス管理に「Sfumato(スフマート)」を活用
今回、スフマートを導入しているNECフレンドリースタフのハウスでは、オフィスグリーンの生育が行われている。
NECフレンドリースタフはNECグループの特例子会社として様々な障がいを持った社員の方々が、オフィスキーピング、事業場内の緑化維持、そしてオフィスに設置した観葉植物のメンテナンスや品質の悪いものを回収、ハウス内で再生させるオフィスグリーン事業を行っているという。
そして今回のスフマートの導入にあたり、さまざまな制御・管理が直感的にわかることで障がいを持った社員の方も、農業に携わりやすくなるのではないかと考え、NECフレンドリースタフではオフィス向けの観葉植物栽培の試験的な取り組みを開始。オムニア・コンチェルトの最新技術提供、東京農工大学の植物に関する知見、グリーンコンチネンタルのオフィスグリーンに関するアドバイスなどを受けて、障がい者雇用とテクノロジーを融合させた観葉植物栽培の最適モデルとなるように取り組んでいる。
「今回の取り組みに日本最高のオールスターチームが揃ったと考えています。みなさんが障がい者雇用の発展のために、お持ちの知見、ノウハウ、テクノロジーを提供くださり、データを活用し最高品質の栽培方法確立に積極的に取り組んでくださっているので、ここで作りあげたノウハウを独占することなく、日本の障がい者雇用のためにオープンにしていきたいと思います(NECフレンドリースタフ 西村洋 代表取締役)」

NECフレンドリースタフ株式会社 代表取締役 西村 洋さん
実際に導入されているハウスを見学したところ、ハウス内の操作盤からLED照明の点灯・消灯などが簡単に行うことができていた。センサやタイマーによって消灯や点灯を自動化することも可能。このほか、CO₂発生装置や遮光カーテン、空調なども制御盤から一括で管理できるという。
また、これらの操作をスマホやタブレット、PCなどからも行うことができる。3D表示になっているので、ハウスのどのエリアがどういう状況にあるのかが直感的にわかるため、管理も容易だ。
「新しい制御盤を導入しているこちらのハウスでの生育を成功させていきたいですね。せっかくこれだけの人たちが集まったので、時間がかかるかと思いますが、成功を楽しみにしっかりと取り組んでまいりたいと思います(東京農工大学 二谷貴夫客員教授)」

東京農工大学 客員教授 二谷貴夫さん
「素晴らしい設備を拝見させていただきました。観葉植物に果樹を検討するというお話がありましたが、非常に新規性があって興味深いです。我々もいろいろと協力していきたいと考えています。今回のシステム制御も、これまでにない仕組みで観葉植物以外でもいろいろなところで活用できるように感じました。観葉植物でなく、果実などの食用生産に特化した植物でも活用できるんじゃないでしょうか(東京農工大学 鈴木栄 准教授)」

東京農工大学 准教授 鈴木栄さん
温度、湿度、日照状況などによるハウスのコントロールを条件によって自動化できるほか、生育している作物に異常があれば感知できるようになっている。平易な作業は障がいのある方にも任せることができるため、導入によって障がい者雇用へのハードルを下げることになる。
「植物の流通をさせていただいている立場からすると、今回のような取り組みで障がい者の方を雇用しているというケースが日本では非常に少ないんですね。この取り組みがロールモデルとなって、全国に広がっていくと素晴らしいのではないかと考えています。今後は、同じ植物であっても、今回のような障がい者雇用という背景やストーリーのある方を選ぶ、という風潮に切り替わっていくのではないでしょうか(グリーンコンチネンタル 中村壮博 代表取締役)」

グリーンコンチネンタル株式会社 代表取締役 中村壮博さん
「Sfumato」によるスマート農業で社会に貢献
三者による今後の検討会では、いわゆる観葉植物だけでなく、紅葉期が長く落葉も比較的少ないブルーベリーほか、バナナ、トマトといった果樹や実をつける植物をオフィスグリーンとして利用していくことはできないかなどが検討された。
オムニア・コンチェルトでは、施設園芸、林業、藻類培養、植物工場、露地栽培、養殖など幅広い分野の制御盤を取り扱っており、スフマートは、さまざまな植生物に対応できるため、今後、多様化されてくる農林水産業をスマート化させる可能性を秘めている。
「障がいのある方だけでなく、今後高齢者もどんどん増えていく中で、安心して働くことができるようにスマート農業のように技術で貢献していきたい。私どもは技術を内製化しており特許も数多く取得しているので、スピーディに導入、アップデートしていくことができます。今後はいろいろな部分を自動化し、AIなども活用して、農業に従事される方の負担を減らしていければと考えています(オムニア・コンチェルト 藤原代表)」
農業の効率化と持続可能性を確立する、オムニア・コンチェルトの「Sfumato(スフマート)」。スマート農業に興味のある方は、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。

ぜひ一度お試しください
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